1 【リンヴォック(ウパダシチニブ)】とは
リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ)は、アトピー性皮膚炎の治療に用いられる内服薬(飲み薬)です。アトピーなど免疫の異常によって起こる、炎症の信号を伝える「JAK(ヤヌスキナーゼ)」というタンパク質の働きを細胞内でブロックする「JAK阻害薬」に分類されます。
従来のステロイド外用薬などでは十分な効果が得られない、中等症から重症の成人および12歳以上のアトピー性皮膚炎の患者様に使用されます。大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医が患者様のアトピーの症状をしっかりと見極め、リンヴォックの適応となるか適切な診断を行います。
2 【リンヴォック】の特徴
リンヴォックは1日1回服用する「錠剤(内服薬)」であり、以下のような優れた特徴を持っています。
- 高いかゆみ抑制効果と即効性:
投与開始の翌日には劇的なかゆみの改善が認められています。今すぐつらいかゆみを止めたい方に適したお薬です。 - JAK1への高い選択性:
アトピー性皮膚炎に関与する複数のサイトカイン(炎症のシグナル)の働きを抑えます。特に「JAK1」という部分を選択的に強くブロックするため、高い効果と安全性が期待されています。
3 適応疾患と服用方法
適応となる疾患
- 既存の治療で効果が不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎
(その他、関節リウマチ、関節症性乾癬など複数の他の疾患でも承認されています)
服用方法
- 用量: 通常、成人および12歳以上(体重30kg以上)の方には、15mg錠を1日1回、毎日服用していただきます。患者様の症状や状態によっては、倍量の30mg錠に増量することも可能です。

- 服用のタイミング: 食事の影響を受けないため、1日の中でご自身の生活スタイルに合った時間帯に飲むことができます。ただし、飲み忘れを防ぐために、毎日同じ時間に服用することをおすすめします。
4 使用する上の注意点
リンヴォックは免疫を抑える働きがあるため、皮膚科専門医の継続的な管理のもと、以下の点に注意して使用する必要があります。
- 事前の検査と定期検査が必須:
投与を開始する前には、血液検査と胸部X線検査(レントゲン)を行い、結核やB型肝炎などの感染症がないかを確認します。服用中も定期的な血液検査で安全性を確認します。

- 副作用のリスク:
帯状疱疹、肺炎などの感染症にかかりやすくなる可能性があります。また、上気道感染、ニキビ(ざ瘡)、頭痛、肝機能障害などが報告されています。特に帯状疱疹を発症するリスクは高く、リンヴォック投与前にシングリックスによる帯状疱疹ワクチンを接種することをおすすめします。 - 飲み合わせの注意(禁忌):
リンヴォックの代謝に影響を与えるため、グレープフルーツ(ジュースを含む)の摂取は控えてください。また、セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)を含む食品やサプリメントも避けてください。
5 薬価や治療費について
リンヴォックの最新の薬価と、1ヶ月(30日分)の費用の目安は以下の通りです。
(※2025年4月時点の薬価情報に基づく)
| 薬剤名 | 1錠あたりの薬価 | 30日分の薬価 | 30日分の自己負担額 (3割負担の場合) |
|---|---|---|---|
| リンヴォック錠15mg | 4,329.73円 | 129,892円 | 約 38,967円 |
| リンヴォック錠30mg | 6,629.76円 | 198,892円 | 約 59,667円 |
※上記の金額は薬剤費のみの目安です。別途、再診料や検査費用等が加算されます。
※「高額療養費制度」を活用することで、自己負担額を抑えられる場合があります。詳しくは当院スタッフまでご相談ください。
花ふさ皮ふ科グループ リンヴォック処方実績
千里中央・江坂駅前・みのお 各院合計:
累計 14例
(2026年2月末現在)

6 FAQ(よくあるご質問)
Q1: リンヴォックはどのような人が対象になりますか?
A1: 従来のステロイド外用薬などによる治療を一定期間行っても、十分な効果が得られない12歳以上(体重30kg以上)の中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者様が対象です。大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医が診察のうえ、内服の適応かどうかを判断いたします。
Q2: リンヴォックの治療費は1ヶ月でどのくらいかかりますか?
A2: 2025年4月時点の薬価で計算した場合、1ヶ月(30日分)の3割負担の薬剤費は、15mg錠で約38,967円、30mg錠で約59,667円となります。ただし、高額療養費制度や医療費助成制度を利用することで、実際の支払額を大幅に軽減できる場合があります。
Q3: リンヴォックの効果はいつ頃から実感できますか?
A3: 即効性が非常に高いお薬で、臨床試験の結果によると、投与を開始した翌日には有意なかゆみの改善が認められています。
Q4: リンヴォックの副作用にはどのようなものがありますか?
A4: よく見られる副作用として、上気道感染、ニキビ(ざ瘡)、帯状疱疹などがあります。また、重大な副作用として肺炎などの重篤な感染症や肝機能障害が報告されているため、定期的な血液検査で安全を確認しながら治療を進めます。特に帯状疱疹を発症するリスクは高く、重症化することがあり、リンヴォック投与前にシングリックスによる帯状疱疹ワクチンを接種することをおすすめします。
Q5: リンヴォックを服用する際に食べてはいけないものはありますか?
A5: お薬の血中濃度が上がり作用が強く出すぎるおそれがあるため、「グレープフルーツ(ジュースを含む)」の摂取は控えてください。また、お薬の効果を弱めてしまう「セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)」を含む食品やサプリメントも摂取を避けてください。
リンヴォックのポイントまとめ
リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ)は、12歳以上(体重30kg以上)の中等症から重症のアトピー性皮膚炎に用いられる、1日1回投与のJAK阻害薬(内服錠剤)です。JAK1を選択的にブロックすることで、投与翌日からかゆみを劇的に抑えるという優れた即効性を持ちます。服用にあたっては皮膚科専門医による診断が必須であり、感染症や肝機能障害などの副作用を防ぐため、事前の胸部X線や定期的な血液検査によるモニタリングを行います。また、グレープフルーツの摂取は控えてください。2025年時点の薬価に基づく30日分の費用(3割負担)は、15mg錠で約38,967円、30mg錠で約59,667円ですが、高額療養費制度が適用される場合があります。大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、専門医が安全に配慮した治療計画をご提案します。
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参考文献(Evidence)
- Guttman-Yassky E, et al. Lancet. 2021;397(10290):2151-2168.
▶︎IL-13阻害薬レブリキズマブの第III相臨床試験(ADvocate試験)で、中等症〜重症アトピー性皮膚炎患者において皮膚症状(EASIスコア)やかゆみを有意に改善したことを示した主要臨床試験。 - Reich K, et al. Lancet. 2021;397(10290):2169-2181.
▶︎レブリキズマブの有効性と安全性を評価した第III相試験で、プラセボと比較して皮疹改善率(EASI-75)や患者報告アウトカムを有意に改善したことを示した大規模ランダム化比較試験。 - Katoh N, et al. J Dermatol. 2021;48(12):e349-e409.
▶︎日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021で、外用療法・免疫抑制薬・生物学的製剤などを含む最新の治療アルゴリズムを提示した指針。
医学的根拠について
本記事は日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび国際医学論文に基づき、皮膚科専門医・アレルギー専門医を取得している医学博士・花房崇明が医学的観点から監修しています。

