蕁麻疹(じんましん)や花粉症などのアレルギー症状に悩む際、処方箋でよく目にするのが「ザイザル」です。
しかし、この薬を「単なる強いアレルギー薬」として片付けてしまうのはもったいない話です。
実はザイザルには、生活の質(QOL)を劇的に変える戦略的な活用法が隠されています。
1. ザイザル(レボセチリジン)とは
ザイザル(一般名:レボセチリジン塩酸塩)は、第2世代抗ヒスタミン薬に分類されるアレルギー治療薬です。
先発品の名称である「ザイザル(Xyzal)」は、アルファベットの最後である「XYZ」に由来し、「アレルギー治療の決定版(the last word in allergy treatment)」を目指すという意味が込められています。
ザイザルは、ジルテックの中からアレルギーに効く成分だけを抜き出した薬です。「より少ない量で、効率よく、副作用を抑えて効かせる」ために開発されたのが、ジルテックの光学異性体を利用したザイザル(レボセチリジン)なのです。
| 項目 | ジルテック | ザイザル |
|---|---|---|
| 成分 | セチリジン | レボセチリジン |
| 効果(抗アレルギー) | 強い | ジルテックより更に強い |
| 処方量 | 10mg(通常) 症状に応じて倍量可 |
5mg(通常) 症状に応じて倍量可 |
| 眠気 | やや出やすい (運転禁止) |
ジルテックより抑えめだが眠気はでる (運転禁止) |
2. ザイザルの特徴
ザイザルは、乳幼児から高齢者まで幅広い年代が使用できるよう、複数の基剤(剤型)が用意されています。
- ● 錠剤(5mg): 成人や学童期のお子様(7歳以上)に標準的なタイプ。

- ● OD錠(ジェネリック): 口の中でラムネのように溶けるため、水なしで服用可能。外出の多い方に最適です。
- ● シロップ(先発): 用量調節が容易で、小さなお子様でも服用しやすい液体タイプ。生後6ヶ月以上から服用可能です。

- ● ドライシロップ(ジェネリック): お子様に人気の「いちごミルク風味」などに調整されており、薬を嫌がるお子様の継続率を高めます。
3. 適応疾患と服用方法
適応疾患
- 湿疹・アトピー性皮膚炎に伴う皮膚の痒み
- 蕁麻疹(じんましん)
- アレルギー性鼻炎(花粉症など)
服用方法
通常、成人は1回5mgを1日1回、就寝前に服用します。
ザイザルは服用後約1時間で血中濃度が最大になります。寝る前に飲むことで、翌朝のつらい症状(モーニング・アタック)を効率よく抑え、かつ眠気のピークを睡眠中に持ってくることができる合理的な設計となっています。
※蕁麻疹の治療で服用される方は効果が不十分なら倍量投与(1日2回朝および就寝前1錠ずつ服用)も可能です。
4. 使用する上の注意点
ザイザルは非常に優れた効果を持つ反面、以下の点に注意が必要です。
- 眠気: 就寝前服用により軽減されますが、翌朝に眠気が残る場合があります。
- 自動車の運転について: 第2世代の中でも眠気が比較的強く出るため、添付文書上で「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」と明記されています。
- インペアード・パフォーマンス: ご本人が眠気を自覚していなくても、判断力が低下するリスクがあるため、運転が不可欠な方は必ず医師にご相談ください。
- 腎機能による調節: 主に尿から排泄されるため、腎機能が低下している方は投与量の調節が必要です。
5. 薬価と費用
※2024年度以降の薬価基準に基づいた目安です。薬剤費のみの計算であり、別途調剤基本料等がかかります。
| 薬剤名(5mg/1錠換算) | 1錠あたりの薬価 | 30日分の総額(10割) | 30日分の自己負担(3割) |
|---|---|---|---|
| ザイザル錠 5mg(先発) | 約41.1円 | 1,233円 | 約370円 |
| レボセチリジン錠 5mg(後発) | 約14.6円 | 438円 | 約132円 |
| レボセチリジンOD錠5mg(後発) | 約16.4円 | 492円 | 約148円 |
6. よくある質問(FAQ)
Q1: ザイザルは子供でも飲めますか?
A1: はい。ザイザルは生後6ヶ月から服用が認められており、抗ヒスタミン薬の中でも非常に早い段階から使用できるのが特徴です。乳幼児の痒みによる睡眠不足や、アレルギー・マーチの抑制に有効です。
Q2: なぜ「1日1回、就寝前」の服用なのですか?
A2: 24時間効果があり、服用後約1時間で血中濃度がピークに達するため、就寝前に飲むことで、最も眠気が出やすい時間帯を睡眠中に重ねることができます。また、アレルギー症状が悪化しやすい明け方〜起床時(モーニング・アタック)に高い効果を発揮させるためです。
Q3: ザイザルを服用中に車の運転はできますか?
A3: 添付文書上、自動車の運転は禁止されています。ザイザルは効果が強い反面、眠気や集中力低下を引き起こす可能性があるためです。仕事等で運転が避けられない場合は、皮膚科専門医にご相談の上、運転制限のない他の薬剤への変更を検討します。
Q4: ジェネリック医薬品(レボセチリジン)との違いは何ですか?
A4: 有効成分は同じですが、ジェネリックには「水なしで飲めるOD錠」や「いちごミルク味のドライシロップ」など、独自の工夫が施された剤型があります。また、薬価も先発品の約3分の1程度と経済的です。
Q5: ザイザルの最新の薬価と3割負担の費用を教えてください?
A5: 先発品のザイザル錠5mgは1錠約41.1円です。30日分処方された場合、3割負担の方の薬剤費は約370円となります。ジェネリック(レボセチリジン錠)の場合は1錠約16.4円で、30日分3割負担で約148円程度です。
7. 皮膚科専門医によるザイザル解説まとめ
- 適応: 湿疹・アトピー性皮膚炎の痒み、じんましん、花粉症。生後6ヶ月から使用可能。
- 飲み方: 1日1回「就寝前」。モーニング・アタックを抑制し、日中の眠気を軽減。
- 注意点: 強力な効果の裏返しとして、服用中の自動車運転は禁止。
- メリット: ジェネリックはOD錠やドライシロップ(いちごミルク味)など種類が豊富。
- 費用: 30日分の3割負担額は、先発品で約370円、ジェネリックで約148円。
大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、
患者さんのライフスタイルに合わせた最適なアレルギー治療を提案しています。
参考論文
Bousquet J, et al. Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma (ARIA) guidelines.
Journal of Allergy and Clinical Immunology
▶アレルギー性鼻炎治療の国際ガイドラインで、第2世代抗ヒスタミン薬(レボセチリジンなど)が第一選択治療として推奨されていることを示した重要論文。
Potter PC, et al. Levocetirizine improves symptoms and quality of life in patients with persistent allergic rhinitis.
Journal of Allergy and Clinical Immunology
▶レボセチリジンが鼻症状や生活の質(QOL)を有意に改善することが示された、持続性アレルギー性鼻炎患者を対象とした臨床試験。
Church MK, Maurer M. H1-antihistamines and urticaria: how can we predict the best drug for our patient?
Clinical & Experimental Allergy
▶レボセチリジンが強力な抗ヒスタミン作用と長時間効果を持つ薬剤であることが解説されている、H1抗ヒスタミン薬の薬理作用や臨床効果を整理したレビュー。
本記事は日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび
国際医学論文に基づき、
皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房崇明が
医学的観点から監修しています。


