皮膚から盛り上がっている小さなできものの総称を「イボ」と言います。
イボには大きくわけて「ウイルスが原因のイボ」と「加齢や紫外線が原因のイボ」があります。
当院では、皮膚科専門医がイボの種類を診断し適切な治療法をご提案します。
放置しておくと増えてしまうものもあるため、イボにお悩みの方はお気軽にご来院ください。
治療にかかる費用目安
今のところ、イボに対する特効薬は残念ながら存在しておりません。いずれ自然に治る場合もありますが、放置すると大きくなったり、数が増えたりするので、通常は液体窒素という−196℃の冷たい液体を含ませた綿棒や、スプレーで患部に吹きかけることででイボを凍らせて治していきます。
イボ等冷凍凝固法(保険適用):約630円~810円
- ※3割負担の場合です。
- ※そのほかに初診料や再診料、処方箋発行料がかかります。
ウイルスが原因のイボと治療法
イボの原因となる最も代表的なウイルスは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」です。
現在、見つかっているだけでも220種類以上の型があります。
ヒトパピローマウイルスは、目に見えないほど小さな傷から侵入し、数週間~数年間の潜伏期間を経て、目に見える大きさのイボに成長します。
主にヒトからヒトへの直接的な接触により感染しますが、銭湯やプール、ジムなどの公共施設で感染する可能性もあります。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
原因となるウイルス:HPV2,HPV27,HPV57等
数ミリ~1㎝程度で表面がざらざらとした固い丘疹です。色は肌色や褐色で、痛みなどの自覚症状はありません。
比較的、お子様に多い傾向があります。
他人への感染力は強くないので、プールやお風呂を控える必要はありません。
できやすい部位
- ・傷ができやすい手指や足
- ・ひっかくことの多い肘や脇
※イボを触った手で傷などがある部位を触ると広がるので触らないようにしましょう。
治療方法
- ・液体窒素による凍結療法
- ・サリチル酸絆創膏
- ・ヨクイニン内服
- ・活性化ビタミンD外用(保険外)
ミルメシア
原因となるウイルス:HPV1
ドーム型のイボで、時に圧痛や赤みを伴います。
できやすい部位
- ・手のひらや足のうら
治療方法
- ・液体窒素による凍結療法
- ・ヨクイニン内服
尖圭コンジローマ
原因となるウイルス:HPV6,HPV11等
鶏冠状やカリフラワー状の丘疹です。
性感染症のため、性パートナーへの感染予防が必要です。
できやすい部位
- ・外陰部や肛門周辺
治療方法
- ・液体窒素による凍結療法
- ・イミキモドクリーム外用
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
原因となるウイルス:HPV3,HPV10等
数ミリ~1㎝程度で扁平なイボです。色は肌色や淡紅色です。
比較的、若い女性に多い傾向があります。
できやすい部位
- ・顔や手、背中
治療方法
- ・液体窒素による凍結療法
- ・ヨクイニン内服
液体窒素による凍結療法について
液体窒素療法は、液体窒素という‐196℃の冷たい液体を含ませた綿棒やスプレーを患部に吹きかけ、イボを凍らせることで治していくという治療法です。
凍結によってウイルスに感染した細胞を壊死させる直接的な効果とウイルスに対する体の免疫力を高めて、自身の免疫力でイボを治療する間接的な効果も期待できます。
一方で、痛みを伴う、1~3週間の間に1回の間隔で複数回繰り返す必要があります。
長期間にわたる治療になるため、あきらめず根気強く通院し、治療していきましょう。
ダーモスコピーという特殊な拡大鏡などで、イボが消えたことを確認しますが、ウイルスは基底細胞という皮膚の深い細胞に感染しています。
そのため、再発してくる可能性もありますので、再発があればすぐに再診してください。
数ミリ~1㎝程度で扁平なイボです。色は肌色や淡紅色です。
比較的、若い女性に多い傾向があります。
<液体窒素による治療後の副作用や注意点>
水ぶくれや血豆、血疱ができることや、跡型(瘢痕:はんこん)になることがあります。
大きな水疱が出た場合や、痛みがものすごく強いという場合は、ばい菌による二次感染などの可能性もありますので、早急に受診してください。
加齢や紫外線が原因のイボ
加齢や紫外線が原因でできるイボは、主に、老人性イボと呼ばれる脂漏性角化症と中年イボと呼ばれる軟性線維腫の2つがあります。
脂漏性軟化症は、紫外線によるメラニンの生成が亢進してできる老人性色素斑(日光黒子、シミ)の進行により表皮の角化細胞が増殖することで発症すると考えられています。
軟性線維腫は紫外線や摩擦などでできるイボです。軟性線維腫も老化現象の一種ですが、10代からできることもあり、首や脇の下など擦れる部分にできることが多いです。
脂漏性角化症(老人性イボ)
原因:長年の紫外線
数ミリ~数センチの大きさで盛り上がりがあり、表面がざらざらしています。
色は褐色や黒色です。中年以降の方に多い傾向にあります。
できやすい部位
- ・首、脇の下、鼠径部
治療方法
- ・液体窒素による凍結療法
- ・手術
- ・炭酸ガスレーザー(保険外)
軟性線維腫(スキンタッグ・アクロコルドン・中年イボ)
原因:紫外線、加齢、摩擦
1~3㎜程度、米粒状で柔らかく、色は褐色や肌色です。
中年以降の方に多い傾向にありますが、10代からできることもあります。
できやすい部位
- ・手のひらや足のうら
治療方法
- ・液体窒素による凍結療法
- ・手術
- ・炭酸ガスレーザー(保険外)
脂漏性角化症(老人性イボ)・軟性線維腫(スキンタグ・アクロコルドン)も液体窒素凍結療法で治療します。
軟性線維腫(スキンタグ・アクロコルドン)は専用のハサミで切除することもあります。
また脂漏性角化症は炭酸ガスレーザーで治療すると跡形が目立たずにきれいに取り切ることができますが、保険適応外(自由診療)になります。
なお、皮膚癌と区別が難しい場合は、一部を切除し顕微鏡で細胞を観察する検査をすることもあります。
MOVIE
イボ(尋常性疣贅)に関する動画