帯状疱疹は、ウイルスによって発疹と神経痛が引き起こされる病気です。
ピリピリとした刺すような痛みが現れ、その後、皮膚に水ぶくれや湿疹がみられます。
身体の左右どちらか一方に帯状に症状が現れます。
痛みの程度には個人差がありますが、長期間、神経痛が続くこともあります。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹はヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされます。水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、水ぼうそうとして発症します。
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節に長期間潜伏します。加齢やストレス、疲労などにより免疫力が低下すると、再びウイルスが活動を始め、神経を伝って皮膚に達することで帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹は人にうつることはありませんが、水ぼうそうにかかったことのない人、ワクチンを打っていない人には水ぼうそうとしてうつる可能性があります。
帯状疱疹の症状
帯状疱疹は、身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に発疹が現れることが一般的です。
胸から背中にかけての出現が多いですが、目の周りなども発症しやすい部位です。
皮膚症状の経過と痛みについて
帯状疱疹は前駆症状から始まり、発症、皮膚症状が治まった後も後遺症として帯状疱疹神経痛が残ることがあります。
前駆症状
発症前に、片側の神経分布領域に、皮膚の違和感や痒み、ピリピリとした感覚が数日~1週間ほど続きます。
発症~1週間
痛みを伴う、赤い斑点の上に水ぶくれが多発します。
水ぶくれは破れてただれた状態(びらん)や潰瘍になります。
軽度の発熱やリンパ節の腫れ、頭痛などがみられることがあります。
1週間~2週間
日の当たる部位にできる茶色のシミ
肝斑
両頬や額に左右対称にでき、薄い褐色のシミ
脂漏性角化症
表面の盛り上がったシミの一種であるイボ
炎症性色素沈着
ニキビや熱傷などの痕が残った状態
治療
ワクチンについて
2016年3月から、50歳以上の方を対象とした帯状疱疹発症予防のためのワクチンが接種できるようになりました。
水ぼうそうにかかったことのある人は免疫を獲得していますが、免疫は年齢とともに弱まってしまいます。ワクチン接種によって、免疫を強化し帯状疱疹を予防します。
ワクチンを接種すれば、必ず帯状疱疹にかからないというわけではありませんが、発症後の症状を抑える効果があります。
また、帯状疱疹後神経痛などの後遺症の予防にも繋がるといわれています。
日常生活の注意点
- ・帯状疱疹は疲れているときに発症しやすい傾向にあります。
早く治すためにも十分な栄養補給と休養が大切です。 - ・患部を冷やすと、痛みが強くなります。入浴などで温めることを心がけてください。
- ・入浴後は清潔なタオルで軽くおさえるように水気をとり、外用薬を使用してください。
- ・水ぼうそうのリスクを避けるため、小さなお子様や妊婦さんにはできるだけ接触しないようにしましょう。
文責:みのお花ふさ皮ふ科 院長 角村 由紀子(皮膚科専門医)
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