円形脱毛症は頭髪が円形~楕円形に抜けてしまう皮膚病で、「10円はげ」と言われることがあります。
見た目以外の自覚症状が少ないことから、人からの指摘で気づくことも多いです。
男性と女性での発症の差はみられませんが、人口の約1%が発症していると考えられています。
また、子どもでも発症することがあります。
円形脱毛症の分類
単発型
円形脱毛症のなかで最も多くみられる症状
豆粒大から500円硬貨ほどの比較的小さな脱毛が1カ所~数か所にできる
多発症
脱毛部が2カ所以上あり、何度も繰り返す
蛇行型
後頭部や側頭部などの髪の生え際に帯状に繋がって脱毛する
全頭型
多発型が頭部全体に広がる症状
ほとんどの髪が抜け落ちる
汎発型
頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛、脇毛など全身の毛が抜け落ちる
円形脱毛症の原因
身体には細菌やウイルスなどの外敵から身を守る「免疫」という仕組みがあります。
免疫の暴走によって、自分自身の細胞を攻撃してしまうことを自己免疫疾患と言います。
円形脱毛症は、局所的な自己免疫疾患の一種と考えられています。
免疫にかかわる細胞であるリンパ球が、誤って成長期の毛包を攻撃・破壊してしまうため、
毛包が休止状態となります。
免疫機能の異常が起こる原因は、感染症やストレス、遺伝的素因などが考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
円形脱毛症の方の40%以上がアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患をもっていると言われており、
甲状腺疾患や尋常性白斑、SLEなどの自己免疫疾患を合併することがあります。
また、毛症の原因には、梅毒や微量元素(亜鉛・鉄など)の欠乏によるものなどもあるため、血液検査をすることがあります。
円形脱毛症の治療方法
塗り薬
ステロイド外用剤
脱毛範囲の縮小効果を期待して、セラフィンやグリチルリチンなどを併用することがあります。
ステロイド外用剤や、注射が効かない場合には、ステロイドの内服を行うこともあります。
アトピー素因がある場合は、抗ヒスタミン剤の内服も有効と言われています。
フロンジ外用液
血液促進や発毛促進効果があります。ステロイド外用剤と併用します。
飲み薬
脱毛範囲の縮小効果を期待して、セラフィンやグリチルリチンなどを併用することがあります。
ステロイド外用剤や、注射が効かない場合には、ステロイドの内服を行うこともあります。
アトピー素因がある場合は、抗ヒスタミン剤の内服も有効と言われています。
ステロイド局所注射
円形脱毛症の症状がひどく、長期化している場合に月1回くらいの頻度で脱毛部に直接接種します。
<副作用>注射部位の疼痛、萎縮、血管拡張、皮膚の陥没等
紫外線療法
脱毛斑部にエキシマライトという治療機を用いて紫外線を照射します。1週間に1~3回程度の頻度で数ヶ月治療を行います。
<副作用>照射部位に軽い痒み、ヒリヒリ感、赤みが生じることがある
凍結療法
脱毛班部を液体窒素で冷却し、脱毛範囲を縮小させる効果があると言われています。治療の際に多少の痛みを感じ、治療後に水疱が生じることがあります。
局所免疫療法(SADBE等)
人工的にかぶれを起こす薬剤を頭皮に塗り、かぶれを起こすことで発毛を促します。
子供にも行うことができ、重症の脱毛に進められる治療です。
保険適用外となり、また、当院では行っていません。
局所免疫療法(SADBE等)
点滴によってステロイドを短期間(3日間ほど)で大量に投与する治療法です。進行が早く、頭髪全体や体毛まで抜けてしまうような重症の脱毛症に対して行われます。
発症後6ヵ月以降は効果が落ちるため、発症後の6ヵ月以内に行います。
大量のステロイドを点滴で投与するため入院が必要です。ステロイドバルス療法が必要な場合は、総合病院や大学病院をご紹介いたします。
文責:みのお花ふさ皮ふ科 院長 角村 由紀子(皮膚科専門医)