ほくろは、メラニン色素を産生するメラノサイトが変化し母斑細胞が増殖してできた良性腫瘍です。
医学用語では「色素性母斑」または「母斑細胞母斑」といいます。
一見、ほくろのように見えても、基底細胞がん(皮膚がん)や悪性黒色腫(メラノーマ)であることもあります。
これらが疑われる場合は総合病院や大学病院をご紹介させていただきます。
ほくろの種類
ほくろは実に様々な種類があり、母斑細胞の存在する深さやメラニン色素産生の有無などによって分類されます。
境界母斑
母斑細胞が真皮表皮接合部という浅い部分に限局して存在する
真皮内母斑
母斑細胞が真皮という深い部分に限局して存在する
複合母斑
境界母斑と真皮内母斑の混合型
Clark母斑
体幹四肢、足底に多く、1㎝以下の楕円形であることが多い中央が濃く、外側は色が薄くなる
Unna母斑
体幹に多く、1㎝くらいの大きさであることが多い柔らかくふくらんでいて、桑の実状、くびれがある
Miescher母斑
顔や頭に多く、ドーム状に膨らんでいる毛が生えていることもある
セルフチェックの参考に!ほくろと悪性黒色腫を見分けるABCDルール
下記のABCDに該当するものがある場合、悪性黒色腫の可能性もあります。
きちんとした診断には切除後に病理組織検査をする必要があります。
ABCDルールに当てはまる、当てはまらないは関係なく、心配なほくろがあればお気軽にご相談ください。
A(Asymmetry)
ほくろの形が左右対称でない
B(Borderless)
ほくろの辺縁が不明瞭
C(Color)
ほくろの色が均一でなく、濃淡が混じっている
D(Diameter)
ほくろの直径が6-7mm以上ある
ほくろの治療
ほくろの治療は、手術もしくは炭酸ガスレーザーによる除去です。
サイズや状態、ライフスタイルに応じて治療法を選択していきましょう。
手術
メスを用いてほくろを切除し、糸で縫合します。
摘出したほくろは病理検査を行い、良性のほくろであることや取り残しの有無を確認することができます。
- ・母斑細胞を完全に取り除くため、再発の可能性は低い
- ・傷跡が目立たなくなるまで時間がかかることがある
炭酸ガスレーザー(保険適用外)
炭酸ガスレーザーを用いて、皮膚に含まれる水分とともにほくろの組織を蒸発させることで母斑細胞を除去します。
病理検査はできないため、良悪性や取り残しの確認はできません。
- ・深い部分に母斑細胞が残っていた場合は再発の可能性がある
- ・出血がなく、手術と比較すると傷跡が早く目立たなくなりやすい
文責:みのお花ふさ皮ふ科 院長 角村 由紀子(皮膚科専門医)