尋常性白斑は、皮膚の色が部分的に抜けて白くなってしまう病気です。
尋常性白斑は、汎発型、分節型、限局型(未分類型)の3つに分類されます。
汎発型
全身のあらゆる部位に出現
<発症しやすい部位>
皮脂の多く出る部分
手足で外部からの刺激が加わりやすい部分
腰・腹などすれやすい部分
分節型
神経に沿って身体の片側のみに出現
数ヶ月~半年の間に一気に現れる
<発症しやすい部位>
顔や首
限局型(未分類型)
局所性に1カ所だけ生じる
尋常性白斑の原因
尋常性白斑の原因はまだ解明されていません。自律神経のバランス異常、遺伝、酸化ストレスなどの説があります。また、白斑部の皮膚では、免疫細胞の一部が色素を作る細胞を攻撃している状態が見られることから、局所的な自己免疫異常が疑われます。
皮膚の一部が白くなる原因には、以下のような病気も考えられるため、尋常性白斑と見分けるために必要に応じて検査を行います。
感染症
機械的な摩擦や圧迫、寒冷、温熱、日光、水などの物理的刺激により起こります。多くは数分~数時間で消えます。
炎症後白斑
湿疹や日焼け、ケガなどにより皮膚が強いダメージを受け、メラノサイトの機能が一時的に低下することで、湿疹やケガが治った後にも色ムラが残ってしまうことがあります。尋常性白斑と比べると、境界がぼやけて見えます。
保湿などのスキンケアで徐々に改善します。
白色(単純性)粃糠疹
一般的に“はたけ”と呼ばれるものです。子供の顔に多くみられます。自然に改善します。
老人性白斑
5ミリくらいの小さい白斑がパラパラと出現します。老化によるメラノサイトの減少が原因で起こります。治療は必要ありません。
白斑の治療
尋常性白斑は、治療を開始しても病気の進行を完全に止めたり、白くなった皮膚を元に戻したりすることが困難な難病です。
治療は、薬物療法、光線(紫外線)療法、植皮・外科手術などです。
また、カモフラージュメイクなど白斑をカバーするための方法などがあります。
まれにではありますが、甲状腺の病気や糖尿病、自己免疫性疾患などの他の病気を合併することがあります。
必要に応じて血液検査を行い、内科をご紹介させていただくこともあります。
薬物療法
薬物療法
ステロイド外用薬
白斑の外用治療として最も多く使われており、免疫の異常や炎症を改善します。
長期的に使用すると、皮膚委縮や血管拡張などの副作用が出ることがあるので注意が必要です。汎発型の白斑の場合は、ステロイド外用薬の効果が低くなるため、光線治療が第一選択となります。
タクロリムス軟膏(保険適用外)
海外で高い治療効果があるとされていますが、長期に使用さいた場合の安全性は不明です。3ヶ月~4ヵ月をめどに効果測定を行うことが推奨されています。
光線(紫外線)療法
※3割負担で1回約1,000円
1990年代から尋常性白斑の治療でも長波長紫外線(UVA)と中波長紫外線(UVB)を用いた治療が取り入れられるようになりました。
中波長紫外線(UVB)に含まれる有害な波長を取り除き、治療効果の高い波長だけを照射することができる「ナローバンドUVB療法」と「ターゲット型エキシマライト」です。
光に対する感受性を高めるお薬を飲んだり塗ったりしてからUVAを照射する「PUVA療法」も、尋常性白斑に効果があるとされていますが、ナローバンドUVB療法の方が効果は高いという報告があります。
効果を上げるためには、週1回~2回以上の通院が必要です。
当院では、「ターゲット型エキシマライト」の治療が可能です。
植皮・外科手術
白斑部分に体の正常な皮膚の一部を移植します。白斑の拡大が止まり、状態が変わらなくなった尋常性白斑に対して行われます。
分層植皮術、吸引水疱表皮植皮術、1ミリミニグラフトなどの方法があります。
この治療を検討する場合は、総合病院や大学病院へご紹介致します。
カモフラージュメイク
顔や首、手の甲などの露出部の白斑を白斑専用の化粧品を用いて目立たなくさせる方法です。
目立たなくさせるための方法であるため、根本的な治療法ではありません。
また、保険適用外となります。
文責:みのお花ふさ皮ふ科 院長 角村 由紀子(皮膚科専門医)