【エムラクリーム(局所麻酔剤)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

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1 エムラクリームとは

エムラクリーム(EMLA Cream)は、皮膚に塗布することで一時的に感覚を麻痺させる局所麻酔剤です。

名称の由来は、英語の「Eutectic Mixture of Local Anesthetics(局所麻酔薬の共晶混合物)」の頭文字に由来しています。
本来、リドカインとプロピトカインは常温では結晶(固形)ですが、これらを特定の割合で混ぜ合わせることで融点が下がり、常温で液体状になる「共晶(ユテクティック)」という現象を利用しています。
これにより、高濃度の麻酔成分を効率よく皮膚に浸透させることが可能になりました。

2 エムラクリームの特徴

皮膚科診療において、エムラクリームは「痛みの常識」を変えた画期的な外用剤です。

  • ダブルの麻酔成分: 一般的な局所麻酔薬「リドカイン」に加え、「プロピトカイン」の2種類を配合。1種類のみを使用する場合と比較して、皮膚への浸透性が格段に向上しており、約2倍の鎮痛効果を発揮します。
  • 基剤の種類: 水に油を分散させた「クリーム剤」です。伸びが良く、後述する「密封療法(ODT)」を行うことで、皮膚の角質層を通過し、真皮層にある神経末梢まで麻酔成分を届けます。
  • 皮膚科専門医の視点: 従来の注射による麻酔そのものが痛みを伴うのに対し、エムラクリームは「塗るだけ」で除痛ができるため、お子様の処置や痛みに敏感な方のQOL(生活の質)を大きく向上させます。

3 使用方法、適応可能処置

適応可能処置

皮膚レーザー照射: あざ治療(保険適応の場合も可)、シミ取り、ほくろ摘除、医療脱毛など

正しい使い方(密封法)

単に塗り込むだけでは不十分です。皮膚科専門医が推奨する「密封療法(ODT)(Occlusive Dressing Technique)」を必ず行いましょう。

  1. 事前の剃毛: 毛があると密着せず効果が半減します。
  2. 厚塗り: 皮膚が透けない程度(約1〜2mm厚)に塗ります。目安は10cm²あたり1gです。
  3. 密封(ラップ): 塗布部を食品用ラップ等で覆い、隙間がないようテープで固定します。空気を遮断することで浸透が深まります。
  4. 放置時間: 通常30〜60分程度の塗布で効果が現れます。

4 使用する上の注意点

安全に使用するために、以下の事項を必ず守ってください。

  • 「120分以内」を厳守: 塗布時間が2時間を超えてはいけません。長時間塗りすぎると、成分が血管内に過剰吸収され、めまい、吐き気、心拍数低下などの全身副作用(麻酔中毒症状)を招く恐れがあります。
  • 粘膜・傷口には塗らない: 傷がある部位や粘膜は吸収が早すぎるため、通常は使用を避けます。
  • 体重による使用量の制限あり: 体の小さなお子様は、体重や月齢により「最大塗布量」と「時間」が厳密に決まっています(例:1歳未満は最大1g・60分まで)。
  • 副作用: 塗布部位の赤み、腫れ、一過性の蒼白などがみられることがあります。

5 エムラクリームの費用

※大阪の花ふさ皮ふ科グループの自費診療(美容皮膚科)で使用する場合の価格です。詳細は各院へお問い合わせください。

項目 費用(税込)
ご自身で塗布可能な場合 1,650円
看護師が塗布する場合 2,200円

FAQ(よくある質問)

Q1:エムラクリームを塗ってからどのくらいで効果が出ますか?
A1:通常、塗布して密封してから30分〜60分程度で効果が現れます。皮膚科専門医の指導のもと、処置、治療のタイミングに合わせてご自宅または院内で塗布していただきます。
Q2:エムラクリームの費用を教えてください。
A2:大阪の花ふさ皮ふ科グループの自費診療(美容皮膚科)で使用する場合は、1回1,650円〜2,200円の価格となります。ご自身で塗布可能な場合は1,650円、ご自身での塗布が難しく看護師が塗布する場合は2,200円となります。詳細は花ふさ皮ふ科グループ各院へお問い合わせください。
Q3:市販のラップで密封しても大丈夫ですか?
A3:はい、医師の指示の下であれば問題ありません。専用の医療用フィルムがない場合は、ご家庭にある食品用ラップで代用可能です。隙間なく密閉することで麻酔成分が皮膚の奥まで浸透します。
Q4:2時間以上塗っておけば、もっと強力に効きますか?
A4:いいえ、大変危険です。「120分以内」と呼ばれるルールがあり、2時間を超えると成分が血液中に過剰に吸収され、麻酔中毒症状(めまい、吐き気等)を起こすリスクが高まります。必ず120分以内に拭き取ってください。
Q5:子供の予防接種にも使えますか?
A5:使用可能です。ただし、お子様の場合は体重によって最大塗布量(1g〜2gなど)や時間が制限されます。安全のため、必ず皮膚科専門医や小児科専門医の指示に従って使用してください。

【皮膚科専門医解説】エムラクリームの要点まとめ

  • 効果: リドカインとプロピトカインのダブル配合により、従来の約2倍の浸透力を持つ塗る麻酔薬。
  • 重要テクニック: 厚塗り(10cm²に1g)し、ラップで覆う「密封法(ODT)」が必須。
  • 安全ルール: 副作用防止のため、塗布時間は最長120分まで
  • 主な用途: レーザー治療、脱毛の痛み緩和。

大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医の管理のもと、痛みを抑えた安全な治療を提供しています。
2026年2月より笑気麻酔も千里中央院へ導入しております。詳しくは千里中央院へお問い合わせください。

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参考文献

Eichenfield LF, et al.
Eutectic mixture of local anesthetics (EMLA): a review of clinical use in dermatology and pediatrics. Pediatrics. 2002.
▶︎EMLAの作用機序と臨床応用をまとめたレビューで、外用のみで有効な皮膚麻酔が得られることを示した基礎かつ代表的論文。

Taddio A, et al.
Effectiveness of topical anesthetics in reducing vaccination pain in children: systematic review. Lancet. 2009.
▶︎ワクチン接種時の疼痛に対する系統적レビューで、外用麻酔薬が小児においても有効かつ安全に痛みを軽減することを示した高水準エビデンス。

Ferreira AO, et al.
Topical anesthetics in dermatologic procedures. Journal of Dermatological Treatment.
▶︎皮膚科処置(レーザー・小手術)における外用麻酔の有効性をまとめ、エムラが実臨床で広く使用される標準的麻酔であることを示したレビュー。

医学的根拠について
本記事は日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび国際医学論文に基づき、皮膚科専門医・アレルギー専門医を取得している医学博士・花房崇明が医学的観点から監修しています。

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