【モイゼルト軟膏(ジファミラスト)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

アトピー性皮膚炎

1. モイゼルト軟膏とは

モイゼルト軟膏は、2022年に日本で発売された新しいアトピー性皮膚炎治療薬です。有効成分は「ジファミラスト」で、日本で初めて承認された「PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬」の外用薬というカテゴリーに属します。

【名称の由来】
肌の「潤い(Moisture)」を「確かに(Certainly)」取り戻したいという願いを込めて「モイゼルト(Moizerto)」と名付けられました。皮膚科専門医の視点からも、バリア機能の回復をサポートし健やかな肌を目指すというコンセプトが明確な薬剤といえます。

2. モイゼルト軟膏の特徴

モイゼルト軟膏の最大の特徴は、ステロイドを含まない「非ステロイドの抗炎症外用薬」である点です。

  • 作用機序: 炎症を引き起こす物質を産生する「PDE4」という酵素をブロックし、細胞内のcAMP濃度を高めることで、炎症とかゆみの両方を抑えます。
  • 基剤(剤形): 「軟膏」タイプのみです。刺激が少なく皮膚を保護する力が強いため、乾燥した患部にも適しています。
  • 副作用の少なさ: ステロイドで見られるような皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)、血管が浮き出る(毛細血管拡張)、毛深くなる(多毛)といった副作用の心配がほとんどありません。
  • デリケートな部位に: 顔や首、脇、陰部などの皮膚が薄い部位にも使用しやすいのが大きなメリットです。

3. 適応疾患・使用方法

適応となる疾患

アトピー性皮膚炎

正しい使い方(用法・用量)

  • 回数: 通常、1日2回、患部に塗布します。
  • 濃度: 成人には通常1%製剤を使用します。小児(生後3ヶ月以上)には通常0.3%製剤を使用しますが、症状に応じて1%製剤も使用可能です。
  • 塗り方のコツ: 強く擦り込まず、皮膚の上に「のせるように」やさしく塗るのがポイントです。塗った後にティッシュが軽くくっつく程度が適量の目安です。

4. 使用する上の注意点

  • 感染部位は避ける: 皮膚感染症(細菌、ウイルス、真菌など)がある部位には、原則として使用を避けるか、適切な治療を優先する必要があります。
  • 粘膜への使用: 眼や口の中などの粘膜、またはひどい傷やただれがある部位には塗らないでください。
  • 妊娠・授乳中の方: 妊娠中、またはその可能性がある方、授乳中の方は必ず医師に相談してください。
  • 4週間を目安に: 1%製剤を使用し、4週間以内に症状の改善が見られない場合は、治療方針をもう一度見直す必要があります。

5. 薬価と費用(3割負担の場合)

販売名 1本(10g)の価格 3割負担時の費用
モイゼルト軟膏 0.3% 1,367円 約410円
モイゼルト軟膏 1% 1,463円 約439円

※2024年現在の薬価に基づきます。
※別途、診察料や処方箋料などがかかります。

6. よくあるご質問(FAQ)

Q1. モイゼルト軟膏はステロイド剤と一緒に使えますか?
A1. はい、可能です。炎症が強い時期はステロイドで一気に抑え、落ち着いてきたらモイゼルト軟膏で維持する「プロアクティブ療法」への活用も、専門医の判断により一般的によく行われます。
Q2. 赤ちゃんにも使えますか?
A2. 生後3ヶ月以上の乳幼児から使用が認められています。小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした試験でも、高い有効性と安全性が確認されています。
Q3. 顔に塗っても大丈夫ですか?
A3. はい、非ステロイド薬であり皮膚萎縮の副作用が少ないため、顔や首などのデリケートな部位にも適しています。ただし、眼に入らないよう注意し、もし入った場合はすぐに流水で洗い流してください。違和感や痛みなどが続く場合は眼科の先生にご相談ください。
Q4. モイゼルト軟膏の1本あたりの費用はいくらですか?
A4. 2024年現在の薬価(3割負担)では、10g入りチューブ1本あたり、0.3%製剤で約410円、1%製剤で約439円となります。
Q5. 塗り忘れた場合はどうすればよいですか?
A5. 気づいた時に1回分を塗ってください。ただし、次の塗布時間が近い場合(3-4時間)は飛ばして、次から予定通り塗ってください。2回分を一度に塗ることは避けてください。

7. 重要ポイントまとめ

モイゼルト軟膏(一般名:ジファミラスト)は、日本初の「外用PDE4阻害薬」として承認された新しいアトピー性皮膚炎治療薬です。最大の特徴は非ステロイド性抗炎症剤でありながら、炎症やかゆみの根本原因となる酵素を阻害する高い効果を持つ点です。

ステロイド特有の皮膚萎縮、毛細血管拡張、多毛などの副作用が少ないため、顔や首などの長期ケアにも適しています。生後3ヶ月の乳幼児から成人まで幅広く使用可能で、1日2回の塗布で症状を安定させます。

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関連動画

参考文献(Evidence)

  1. Saeki H, Baba N, Ito K, et al. Difamilast, a selective phosphodiesterase 4 inhibitor, ointment in paediatric patients with atopic dermatitis: a phase III randomized double‐blind, vehicle‐controlled trial. Br J Dermatol. 2021;186:40-49.
    小児アトピー性皮膚炎患者における選択的PDE4阻害薬ジファミラスト軟膏の有効性と安全性:第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験
  2. Lu LC, Chao CM, Chang SP, et al. Clinical efficacy and safety of topical difamilast in the treatment of patients with atopic dermatitis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Expert Rev Clin Pharmacol. 2022;15:1471-1478.
    ▶アトピー性皮膚炎患者に対する外用ジファミラストの臨床的有効性と安全性:ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびメタアナリシス
  3. Saeki H, Imamura T, Yokota D, et al. Difamilast ointment in Japanese adult and pediatric patients with atopic dermatitis: a phase III, long-term, open-label study. Dermatol Ther. 2022;12:1589-1601.
    ▶日本人の成人および小児アトピー性皮膚炎患者におけるジファミラスト軟膏の長期使用:第III相オープンラベル試験

 


 

本記事は日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび国際医学論文に基づき、
皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士の花房崇明が医学的観点から監修しています。

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