花房崇明のブログ
酒さ(赤ら顔)の原因と分類、治療について
監修者 院長:角村由紀子 【資格・所属学会】 ・日本皮膚科学会皮膚科専門医 ・日本皮膚科学会 ・日本皮膚免疫アレルギー学会 ・日本アレルギー学会 ・日本美容皮膚科学会 正会員 |
酒さ(しゅさ)の原因と分類、治療について
今回は、俗に「赤ら顔」とも言われる酒さ(しゅさ)について解説していきます。
1酒さとは
酒さとは、中高年の顔、特に両頬や鼻に好発し、全体的な赤みと毛細血管拡張が数か月以上持続する、原因不明の慢性炎症性疾患です。赤みや毛細血管拡張は目の周りを避けることが特徴です。
また食事後や入浴後、寒暖差などをきっかけに30分から1時間以上顔がほてってしまうことも特徴の一つです。
ニキビのような膿をもったブツブツが混ざっていることもあり、ほてりやヒリヒリ感も自覚することも多いです。このブツブツはニキビのブツブツに似ていますが、ニキビのブツブツに比べると小型なのが特徴です。
酒さは特に30-50歳代に発症しやすく女性に多い傾向がありますが、重症例は男性に多いです。
2酒さの原因
原因は不明なことがほとんどですが、長風呂やサウナ、飲酒や辛い物を食べるなどといった行為が悪化原因になることがあります。このような行為は毛細血管を広げるため、その習慣が日常的に繰り返されることにより毛細血管が常に開き、酒さが悪化しやすくなる可能性があります。
ステロイド外用剤やプロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)などの免疫抑制剤の塗り薬を長期外用したことが原因のステロイド酒さや薬剤性酒さもあります。
3酒さの分類
酒さは以下の4種類に分類されます。
第一度:紅斑毛細血管拡張型
鼻先、頬、眉間、頤を中心に一過性の発赤(赤み)が出現し、次第に持続性となり、毛細血管拡張と皮脂の分泌を伴うようになります。寒暖差や飲酒などで症状が増悪します。掻痒(かゆみ)、ほてり感、易刺激性(肌が刺激に対して過敏に反応する)等の自覚症状があります。
第二度:丘疹膿疱型
病状が進行するとニキビに似た毛孔一致性の丘疹、膿疱が加わり、皮脂の分泌が強まります。病変は顔全体に広がります。
第三度:瘤腫型・鼻瘤
丘疹が密集融合して腫瘤状とまります。特に鼻が凹凸不整に隆起して赤紫色になり、毛孔が拡大してミカンの皮のような外観となります(鼻瘤)。
第四度:眼型
眼の周りの腫脹や結膜炎、角膜炎などを生じます。約2割は皮膚症状より先に出現します。日本人では稀と言われています。
4酒さの治療法
確立された治療法はまだありませんが、
・ニキビの治療に使用する抗生剤(ミノマイシンやビブラマイシン)の3か月程度の長期内服
・ニキビダニなどに有効なロゼックスゲル(メトロニダゾールゲル)
がよく効きます。
また、ニキビに使用するイオウカンフルローション、抗生剤外用剤、脂漏性皮膚炎にも有効な真菌に対する抗真菌薬外用剤が効果的なこともあります。
Q.軽度の酒さに効果的な治療法は?
A. 上記治療のほか、皮脂の分泌を抑えつつ赤みも抑え、美白作用もあるアゼライン酸クリームも効果的といわれています。
Q.ブツブツを伴う赤み(第2度以上)には?
A.イベルメクチンクリームが有効です。(保険適用外)
Q.その他効果的な治療法は?
全体的なぼんやりした赤みや肉眼で確認できる太さの毛細血管の拡張に対しては、
色素レーザーであるVbeamが、回数はかかりますが、良好な治療結果が得られています。
また、皮脂の分泌を抑える飲み薬であるイソトレチノインも効果があることがあります。
酒さについて解説している理事長のyoutubeはこちらから↓
当院の酒さの治療についてはこちらからご覧ください。