【リリカ(プレガバリン)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:皮膚感染症/帯状疱疹後神経痛

リリカ(一般名:プレガバリン)は、帯状疱疹後神経痛・糖尿病性末梢神経障害・線維筋痛症などの神経障害性疼痛に用いられる経口鎮痛薬です。
NSAIDsが炎症を抑えることで痛みを軽減するのとは異なり、リリカは神経の異常な信号の伝達を抑制することで痛みを和らげます。これは神経性疼痛に特化した作用であるため、従来の鎮痛薬では効果を感じにくい痛みに対して有効です。

帯状疱疹の皮膚症状が治まっても「ピリピリ・ジンジン・電気が走るような痛み」が長引いているとお悩みの方にとって、リリカは重要な治療選択肢の一つです。本記事では、その作用機序から使い方・副作用・薬価まで、皮膚科専門医の視点で詳しく解説します。


1. リリカ(プレガバリン)とは

リリカ(一般名:プレガバリン)は、電位依存性カルシウムチャンネルのα2δサブユニットに結合して神経の過剰興奮を抑える、神経障害性疼痛治療薬です。
プレガバリンはカルシウムチャネルのα2δサブユニットと結合し、神経末端でのカルシウムイオンの流入が減ることで神経伝達物質の放出量が抑えられ、痛みやしびれを感じにくくなります。

2010年4月に帯状疱疹後神経痛治療薬として製造承認を取得した薬剤
であり、皮膚科領域では帯状疱疹の後遺症である神経痛に対して広く処方されています。

リリカ(LYRICA)」という製品名は、英語の “lyrical”(叙情的な・心地よい)から派生したとも言われており、痛みから解放された穏やかな状態を目指すというコンセプトを反映しています。

項目 内容
製品名 リリカカプセル25mg・75mg・150mg、リリカOD錠25mg・75mg・150mg
一般名 プレガバリン
製造販売 ヴィアトリス製薬株式会社
分類 神経障害性疼痛治療薬(電位依存性Caチャンネルα2δリガンド)
剤形 カプセル剤・口腔内崩壊錠(OD錠)
発売年 カプセル:2010年、OD錠:2017年
後発品 あり(プレガバリンカプセル・OD錠「各社」)

2. リリカの特徴

リリカ最大の特徴は、従来の鎮痛薬(NSAIDs・オピオイド)とは全く異なる作用機序で痛みを和らげる点です。炎症を鎮めるのではなく、神経回路そのものの”過剰発火”を抑えるというアプローチで、神経障害性疼痛に特化した効果を発揮します。いわば、誤作動を起こした”痛みの警報装置”のスイッチを落とすイメージです。

● 帯状疱疹後神経痛(PHN)への高い有効性

皮膚科でプレガバリンが処方される最も代表的な疾患が帯状疱疹後神経痛です。帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが再活性化することで起こり、体の片側に帯状に痛みを伴う発疹が現れる病気です。通常、皮膚の症状は数週間で治りますが、その後も数か月から数年にわたって痛みが続くことがあります。
リリカは帯状疱疹後に残る神経痛に対して高い効果があるとされており、多くの患者で痛みの軽減が報告されています。

● 複数の神経障害性疼痛に対応

特に糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛など末梢神経がダメージを受けているケースでの神経性の痛みを和らげるのに向いており、全身に及ぶ持続的な痛みや疲労感・こわばりなどで日常生活に支障をきたすことが多い線維筋痛症にもプレガバリンが使われます。

● 飲み忘れが少ない「1日2回」設計

いずれの用量でも1日2回の投与
で管理できるため、朝・夕の服用リズムが作りやすく、長期治療でのアドヒアランス(服薬継続率)維持に有利です。

● OD錠で飲み込みが困難な方にも対応

2017年に発売されたリリカOD錠は、口の中で素早く溶ける口腔内崩壊錠です。水なしでも服用でき、嚥下(えんげ)に不安がある高齢の患者さんにも使いやすい剤形です。

● 後発品(ジェネリック)あり

カプセル剤は2010年、OD錠は2017年から販売されており、ジェネリック医薬品は先発品と主成分が同じため同様の効果が期待でき、経済的負担を抑えながら同じ治療を受けることが可能です。


3. 適応疾患と服用方法

適応疾患

リリカ(プレガバリン)の承認されている適応症は以下のとおりです。

  • 神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛・糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛 など)
  • 線維筋痛症に伴う疼痛

皮膚科領域では帯状疱疹後神経痛(PHN:Post-Herpetic Neuralgia)が最も主要な適応です。
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、ピリピリ・ジンジンとした焼けるような、電気が走るような痛みが持続する状態です。

服用方法

〈神経障害性疼痛〉通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は600mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。〈線維筋痛症に伴う疼痛〉通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増した後、300〜450mgで維持する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は450mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。

3つの重要ポイント

  1. 少量から始めて段階的に増量:副作用(めまい・眠気)を最小限にするため、必ず低用量スタートが原則です。
  2. 自己判断で急に中止しない
    本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安および多汗症等の離脱症状があらわれることがあるため、投与を中止する場合には少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。

  3. 腎機能に応じた用量調節が必要
    腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、クレアチニンクリアランス値を参考として本剤の投与量および投与間隔を調節すること。

食事の影響については、
食後投与においてCmaxは約35%低下しTmaxは約2.4時間延長するが、AUC(全体の吸収量)の低下は約8%
にとどまります。食後・食前いずれでも服用できますが、消化器症状が気になる場合は食後服用が勧められます。


4. 使用する上の注意点

安全性の高い薬剤ですが、神経系に働く薬であるため、以下の点に十分な注意が必要です。

● 主な副作用

本剤の投与によりめまい、傾眠、意識消失等があらわれることがある。
また体重増加・浮腫・視覚異常なども報告されています。

副作用 頻度
めまい 高頻度(最も多い)
傾眠(眠気) 高頻度
体重増加・浮腫(むくみ) 比較的多い
視覚異常・霧視・複視 時にみられる
便秘・口渇 時にみられる

● 重大な副作用(頻度は稀ですが要注意)

  • 意識消失・失神
  • 横紋筋融解症(筋肉痛・脱力・褐色尿)
  • 腎不全
  • 血管浮腫(顔・唇・舌・喉の腫れ)
  • Stevens-Johnson症候群
  • 間質性肺炎
  • 心不全(浮腫を伴う場合は要注意)

これらの症状が現れた場合は、ただちに服用を中止し医療機関を受診してください。

● 自動車の運転について(重要)

本剤の投与によりめまい、傾眠、意識消失等があらわれ、自動車事故に至った例もあるため、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
これはリリカに関する特に重要な注意事項であり、仕事や日常生活への影響を事前に医師とよく相談する必要があります。

● 体重管理

本剤の投与により体重増加をきたすことがあるため、肥満に注意し、特に投与量の増加あるいは長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。

● 高齢者への注意

高齢の患者さんでは一般的に肝臓や腎臓の機能が低下していることが多く、薬の作用が強く出たり副作用が現れやすくなる傾向があります。特にプレガバリンの主な副作用であるめまいや眠気は、転倒による骨折などのリスクにつながるため、より慎重な投与が必要です。

● 併用注意

  • 中枢神経抑制薬(睡眠薬・抗不安薬など):眠気・めまいが増強される可能性
  • オキシコドン・ロラゼパム:相互作用により認知機能・運動機能への影響増大の報告あり
  • アルコール:中枢神経抑制作用が増強される

服用中の薬がある場合は必ず医師・薬剤師にご相談ください。

● こんな方は事前に医師にご相談を

  • プレガバリンまたはその成分に対しアレルギー歴のある方(禁忌
  • 腎機能障害のある方(用量調節が必要)
  • 心疾患・心不全のある方(浮腫の悪化)
  • 妊娠中・授乳中の方(
    プレガバリンは母乳中に移行することが確認されている
    ため、授乳中は医師と相談)
  • 高齢の方

● 日常生活での注意

  • 自動車の運転・危険作業は原則禁止(服用開始・増量後は特に注意)
  • アルコール摂取は避ける
  • 市販はされていないため、必ず医師の処方が必要

5. 薬価と費用

リリカカプセルの薬価は、25mg:23.7円、75mg:38.4円、150mg:53.2円(1カプセルあたり)
です(2026年度薬価基準(2026年4月改定))。後発品では各規格とも先発品の約3〜4割程度の薬価となっています。

帯状疱疹後神経痛の治療では多くの場合、初期用量150mg/日(75mg×2)から開始し、300mg/日(150mg×2)まで増量する用法が用いられます。以下の表は75mg・150mgカプセルを使用した標準的な用量(300mg/日)での費用目安です。

〈神経障害性疼痛・標準用量300mg/日(150mgカプセル×1錠×2回)の場合〉

薬剤名 1カプセル薬価 14日分の薬価 14日分(3割負担)
リリカカプセル150mg(先発品) 53.2円 1,489.6円 約447円
プレガバリンカプセル150mg(後発品) 約25.3円 約708.4円 約213円
薬剤名 1カプセル薬価 30日分の薬価 30日分(3割負担)
リリカカプセル150mg(先発品) 53.2円 3,192円 約958円
プレガバリンカプセル150mg(後発品) 約25.3円 約1,518円 約456円

〈初期用量150mg/日(75mgカプセル×1錠×2回)の場合〉

薬剤名 1カプセル薬価 14日分の薬価 14日分(3割負担)
リリカカプセル75mg(先発品) 38.4円 1,075.2円 約323円
プレガバリンカプセル75mg(後発品) 約18.3円 約512.4円 約154円

※2026年度薬価基準(2026年4月改定)。薬剤費のみの目安です。別途、診察料・処方箋料・調剤料などが加算されます。後発品薬価は代表的な銘柄を参考に記載。


6. FAQ(よくある質問)

Q1: リリカはどれくらいで効き始めますか?

A1: 個人差がありますが、服用開始から1〜2週間程度で痛みの軽減を感じ始める方が多いです。ただし最適な用量に達するまでに段階的な増量が必要なため、十分な効果の判定には4〜8週間程度かかることもあります。焦らず医師の指示に従って継続することが重要です。

Q2: 急に飲むのをやめてもいいですか?

A2: 絶対に急にやめないでください。
本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安および多汗症等の離脱症状があらわれることがある
ことが知られています。必ず医師の指示のもと、1週間以上かけて少しずつ減量してから中止します。

Q3: 眠気やめまいはいつまで続きますか?

A3: めまいや眠気は服用開始初期や増量後に出やすい副作用です。多くの場合、服用を続けるうちに体が慣れて軽減されます。ただし、症状が強い・日常生活に支障がある場合は減量や中止も検討しますので、必ず医師にご相談ください。

Q4: 腎臓が悪くても飲めますか?

A4: プレガバリンは主に腎臓から排泄される薬です。
腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、クレアチニンクリアランス値を参考として投与量および投与間隔を調節すること
とされており、腎機能に応じた用量調節が必要です。血液透析中の患者さんでは追加投与が必要な場合もあります。必ず医師にお伝えください。

Q5: 市販薬でリリカと同じ成分の薬はありますか?

A5: プレガバリンは医療用医薬品であり、処方箋なしには購入できません。市販薬(OTC薬)には含まれていませんので、必ず医師に相談し処方を受けてください。

Q6: ジェネリック(後発品)に変えても大丈夫ですか?

A6: 後発品は先発品と同一の有効成分・用法用量で製造されており、同等の効果が期待できます。
先発医薬品とジェネリック医薬品は主成分が全く同じため、同様の効果が期待でき、経済的負担を抑えながら同じ治療を受けることが可能です。
切り替えを希望する場合は医師または薬剤師にご相談ください。

Q7: 帯状疱疹の皮膚症状が治れば服用を止められますか?

A7:
本剤による神経障害性疼痛の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断および治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと
とされています。痛みが十分に軽減された後も自己判断で中止せず、医師と相談しながら計画的に減薬・中止を進めることが大切です。


7. 皮膚科専門医解説 リリカの要点まとめ

  • 適応:神経障害性疼痛(帯状疱疹後神経痛・糖尿病性末梢神経障害)・線維筋痛症に伴う疼痛
  • 作用:電位依存性カルシウムチャンネルのα2δサブユニットへの結合により神経の過剰興奮を抑制。NSAIDsとは全く異なる機序
  • 飲み方:初期用量1日150mg(75mg×2回)から開始→1週間以上かけて300mgへ漸増。最高用量は神経障害性疼痛で600mg/日、線維筋痛症で450mg/日
  • 剤形:カプセル剤のほかOD錠があり、嚥下が困難な方にも対応可能
  • 重要な注意点:服用中は自動車の運転・危険な機械の操作を行わないこと。急な中止で離脱症状が現れるため、必ず漸減して中止すること
  • 腎機能:腎機能障害がある場合は用量調節が必須
  • 費用:先発品150mg×2錠(300mg/日)で30日分・3割負担 約958円/後発品なら約456円程度

帯状疱疹後神経痛は適切な治療を行えばコントロール可能ですが、放置すると慢性化しやすいため、皮膚症状が治まった後も痛みが続く場合はすぐに皮膚科専門医にご相談ください。

大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適な帯状疱疹後神経痛・皮膚感染症治療をご提案しています。 「帯状疱疹が治ったのに痛みが引かない」「神経痛でつらい」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。


監修

皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明

  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
  • 医学博士
  • 抗加齢医学会専門医

【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会


参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 帯状疱疹診療ガイドライン2023. 日本皮膚科学会雑誌 2023.
    ▶ 国内における帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛の標準的管理を示すガイドライン。帯状疱疹後神経痛の治療薬としてプレガバリンが推奨薬剤として記載されており、疼痛マネジメントの基本方針が示されている。

  2. ヴィアトリス製薬株式会社. リリカカプセル25mg・75mg・150mg、リリカOD錠25mg・75mg・150mg 電子化された添付文書(2025年12月改訂).
    ▶ 製造販売元による公式情報。適応症・用法用量・禁忌・副作用・相互作用・腎機能障害患者への用量調節が詳細に記載されており、本記事の薬学的記述の主要な根拠。

  3. Dworkin RH, et al. Pregabalin for the treatment of postherpetic neuralgia: a randomized, placebo-controlled trial. Neurology 2003;60(8):1274–1283.
    ▶ 帯状疱疹後神経痛に対するプレガバリンの有効性を示した代表的なランダム化比較試験。プレガバリン投与群でプラセボ群と比較し有意な疼痛スコアの改善が認められ、現在の承認・推奨の科学的根拠となっている。


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