【医師監修】|公開日 2026.06.25 / 最終更新 2026.06.25|カテゴリ:蕁麻疹(じんましん)|飲み薬
ラプシド(製品名:ラプシド錠25mg)は、2026年6月19日にノバルティス ファーマから製造販売承認を取得した、特発性の慢性蕁麻疹(慢性じんましん)の新しい飲み薬です。最大の特徴は、世界で初めて承認された「経口BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害薬」である点。これまで効果が不十分だった患者さんに対し、じんましんの症状を引き起こすヒスタミンの放出を“元から”抑えるという、従来の抗ヒスタミン薬とは異なるアプローチで治療する新しい選択肢です。
本記事では、皮膚科専門医の視点から、ラプシドの作用機序・適応・飲み方・注意点・費用の見通しまでをわかりやすく解説します。
1. ラプシド(レミブルチニブ)とは
ラプシド錠25mgは、ノバルティス ファーマ株式会社が2026年6月19日に日本で承認を取得した、特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)を対象とする経口治療薬です。有効成分はレミブルチニブ。
「特発性の慢性蕁麻疹」とは、明らかな原因や特定できる誘因がないにもかかわらず、膨疹(ぼうしん:かゆみを伴う皮膚のふくらみ)が自発的に出現し、6週間以上にわたって続くじんましんを指します。多くの方は抗ヒスタミン薬で症状をコントロールできますが、抗ヒスタミン薬を増量しても十分に治まらない患者さんが一定数いらっしゃいます。ラプシドは、こうした難治の患者さんに向けた新しい治療薬です。
海外では「Rhapsido®(ラプシド)」の名称で、米国でも経口BTK阻害薬として承認されており、ラプシドは世界初の同クラス治療薬として注目されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | ラプシド錠25mg |
| 一般名 | レミブルチニブ |
| 製造販売 | ノバルティス ファーマ株式会社 |
| 分類 | 経口BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害薬 |
| 剤形 | 錠剤(1錠 25mg) |
| 承認年 | 2026年6月19日(日本) |
| 後発品 | なし(2026年6月時点) |
| 保険適用 | 薬価基準未収載(収載後に保険適用見込み・下記参照) |
2. ラプシドの特徴
ラプシド最大の特徴は、じんましんの“引き金”となる細胞内のシグナル伝達を遮断し、ヒスタミンなどが放出されるのを元から抑える点にあります。
● 作用機序:ヒスタミン放出を「元から断つ」
じんましんの膨疹やかゆみは、皮膚の肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球からヒスタミンなどの炎症性物質が放出されることで起こります。従来の抗ヒスタミン薬は、放出された「ヒスタミンが受容体に結合するのをブロックする(矛を受け止める盾)」薬でした。
一方、レミブルチニブは、肥満細胞・好塩基球の表面にあるIgE受容体(FcεRI)の下流に位置するBTKという酵素を阻害します。IgEやIgG自己抗体によってFcεRIが刺激(架橋)されて細胞が活性化するシグナルそのものを遮断するため、ヒスタミンなどの炎症性メディエーターが放出されるのを元から抑える(矛を出させない)という、新しい仕組みで効果を発揮します。
● 1日2回の飲み薬・注射不要
ラプシドは1日2回服用する経口薬(錠剤)です。注射剤ではないため、自己注射や通院注射の負担がありません。
● 国際共同・国内試験で有効性を確認
国際共同第Ⅲ相試験(REMIX-1/A2301試験、抗ヒスタミン薬で効果不十分な18歳以上のCSU患者470例・日本人27例を含む)では、蕁麻疹活動性スコア(UAS7)がプラセボ群に比べて統計学的に有意に減少しました(p<0.001)。また日本人を対象とした国内第Ⅲ相試験(BISCUIT/A1301試験、71例)では、52週投与にわたり効果が持続することが確認されています。
※UAS7は、膨疹の数とかゆみの強さを1週間分まとめて点数化した、じんましんの代表的な評価指標です。
3. 適応疾患と服用方法
適応疾患
「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」が対象です。具体的には、抗ヒスタミン薬による治療を行っても症状が十分にコントロールできない慢性蕁麻疹の患者さんが該当します。
なお、食物・薬剤・物理的刺激など原因が特定できるじんましんや、急性のじんましんは本剤の主たる対象ではありません。適応となるかどうかは、必ず医師の診断のうえで判断されます。
服用方法・用法用量
通常、成人には1回25mg(1錠)を1日2回経口投与します。
3つの服用ポイント
- 1日2回・毎日継続:症状が出ていない日も、医師の指示どおり継続して服用することが大切です。
- 自己判断で中止しない:効果や副作用について気になることがあれば、中止する前に必ず主治医にご相談ください。
- 既存治療との関係を確認:これまで使っていた抗ヒスタミン薬などとの併用・調整については医師の指示に従ってください。
4. 使用する上の注意点
● 主な副作用
臨床試験で比較的多く報告された有害事象は以下のとおりです。多くは軽度ですが、症状が強い・続く場合は医師にご相談ください。
| 副作用 | 特徴 |
|---|---|
| 鼻咽頭炎(鼻づまり・のどの痛み・鼻水) | 比較的多くみられる |
| 頭痛 | 一般的にみられる |
| 悪心(吐き気)・腹痛 | 消化器系の症状 |
| 出血関連の症状 | BTK阻害薬のクラスとして点状出血・あざ等に留意 |
BTK阻害薬は、その作用機序から出血傾向に注意が必要なクラスです。あざができやすい、出血が止まりにくいといった症状があれば医師に伝えてください。
なお、レミブルチニブは臨床試験において肝機能検査値がプラセボと同程度であり、定期的な臨床検査値のモニタリングを必須としない安全性プロファイルが示されています。とはいえ、気になる症状があれば自己判断せず医師にご相談ください。
● 服用前に医師に伝えるべきこと
- 出血しやすい体質、抗凝固薬・抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)を服用中の方
- 肝臓・腎臓の機能に問題がある方
- 感染症にかかっている、またはかかりやすい方
- 妊娠中・授乳中、妊娠の可能性がある方、妊娠を計画している方
- 手術・抜歯の予定がある方
● 日常生活での注意
- 自己判断で服用量を増減・中止しないでください。
- 他の医療機関・歯科を受診する際は、ラプシドを服用していることを必ず伝えてください。
- 市販薬ではなく、医師の処方が必要な医療用医薬品です。
※本剤は新しい医薬品です。最新の禁忌・併用注意・重大な副作用については、必ず添付文書および主治医の説明をご確認ください。
5. 薬価と費用
現時点では薬価未収載
ラプシド錠25mgは、2026年6月19日に承認されたばかりの新薬であり、2026年6月時点では薬価基準に未収載です。そのため公定薬価はまだ定められておらず、発売日も未定です。
慢性蕁麻疹に対する医療用医薬品であるため、薬価基準に収載されれば公的医療保険の対象(保険診療)となる見込みです。収載後は、一般的に3割負担などの自己負担割合に応じた費用となります。
| 内容 | 状況(2026年6月時点) |
|---|---|
| 薬価基準収載 | 未収載 |
| 発売日 | 未定 |
| 保険適用 | 収載後に適用見込み(保険診療) |
具体的な薬価・自己負担額は、薬価収載後に本記事で追記します。実際の費用は処方量や診察料・検査料によって異なります。
6. FAQ(よくある質問)
Q1. ラプシドはどんな人が対象の薬ですか?
A1. 「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」が対象です。抗ヒスタミン薬を使っても膨疹やかゆみが十分に治まらない、6週間以上続く慢性じんましんの患者さんが該当します。適応の判断は医師が行います。
Q2. 従来の抗ヒスタミン薬と何が違うのですか?
A2. 抗ヒスタミン薬は「放出されたヒスタミンが受容体に結合するのをブロックする」薬です。一方ラプシドは、肥満細胞・好塩基球のBTKという酵素を阻害し、ヒスタミンなどが放出される前のシグナルそのものを抑えるという、異なる作用機序を持つ世界初の経口BTK阻害薬です。
Q3. ラプシドはどのように飲みますか?
A3. 通常、成人は1回25mg(1錠)を1日2回服用します。症状の有無にかかわらず、医師の指示どおり毎日継続することが大切です。注射は不要です。
Q4. 副作用はありますか?
A4. 臨床試験では鼻咽頭炎(鼻づまり・のどの痛み)、頭痛、悪心、腹痛などが報告されています。またBTK阻害薬のクラスとして出血関連の症状に注意が必要です。あざができやすい・出血が止まりにくいなどの症状があれば医師にご相談ください。
Q5. ラプシドは保険が使えますか?費用はいくらですか?
A5. 2026年6月時点では薬価基準に未収載で、発売日も未定です。医療用医薬品のため、薬価基準に収載されれば公的医療保険の対象(3割負担など)となる見込みです。具体的な薬価が決まり次第、本記事で追記します。
Q6. 効果はどのくらい続きますか?
A6. 日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験(REMIX-1)でプラセボに対し蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の有意な改善が示され、国内試験(BISCUIT)では52週投与で効果の持続が確認されています。効果には個人差があります。
Q7. 妊娠中や授乳中でも使えますか?
A7. 妊娠中・授乳中、妊娠の可能性がある方、妊娠を計画している方は、必ず事前に医師にご相談ください。自己判断での服用は避けてください。
7. 皮膚科専門医解説 ラプシドの要点まとめ
- 薬剤の種類:ノバルティスから2026年6月19日承認、世界初の経口BTK阻害薬による特発性の慢性蕁麻疹治療薬
- 作用機序:肥満細胞・好塩基球のBTKを阻害し、FcεRIからの活性化シグナルを遮断してヒスタミン等の放出を元から抑制
- 適応:特発性の慢性蕁麻疹(既存治療=抗ヒスタミン薬で効果不十分な患者に限る)
- 飲み方:1回25mg(1錠)を1日2回。注射不要・自己判断で中止しない
- 有効性:国際共同第Ⅲ相REMIX-1でUAS7が有意改善(p<0.001)、国内BISCUITで52週の効果持続を確認。効果には個人差あり
- 注意点:鼻咽頭炎・頭痛・悪心・腹痛など。BTK阻害薬として出血傾向に留意。肝機能はプラセボ同程度で定期検査は必須とされない
- 費用:2026年6月時点で薬価未収載・発売日未定。収載後は保険診療(3割負担など)の見込み
抗ヒスタミン薬で十分に良くならない慢性じんましんは、かゆみや膨疹が長く続き、睡眠や日常生活に大きな影響を及ぼします。ラプシドは、そうした難治の慢性蕁麻疹に対し、従来とは異なる仕組みで症状を抑える新しい飲み薬として期待されています。一方で、適応の判断や副作用の管理には専門的な診療が欠かせません。
大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適なじんましん治療をご提案しています。 長引くじんましん・かゆみでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。
監修
皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
- 医学博士(大阪大学大学院)
- 日本抗加齢医学会専門医
- 難病指定医
【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本小児皮膚科学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会
【本記事の更新履歴】
– 2026年6月25日:初版公開(2026年6月19日承認時点の情報)
参考文献
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ノバルティス ファーマ株式会社. ラプシド錠25mg(レミブルチニブ)に関するニュースリリース(2026年6月19日).
▶ 製造販売元による承認時の公式発表。適応症「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」、用法用量、作用機序、第Ⅲ相試験(REMIX-1/BISCUIT)の概要が記載されており、本記事の主要な根拠。 -
新薬情報オンライン(株式会社PASS MED). ラプシド錠25mg(レミブルチニブ)の作用機序【慢性蕁麻疹】.
▶ 一般名・効能効果・用法用量・作用機序(BTK阻害)を整理した解説。本記事の薬学的記述の参考。 -
ラプシド錠25mg 添付文書(2026年6月承認).
▶ 効能・効果、用法・用量、禁忌、相互作用、副作用の一次情報。実際の処方・服用にあたっての最終的な根拠。

