1 ネイリンとは
ネイリン(一般名:ホスラブコナゾール)は、2018年に爪白癬(爪水虫)新薬として約20年ぶりに登場した日本発の内服治療薬です。
名称の由来は、薬の成分が「爪(NAIL)の中にしっかりと入る(IN)」ことから「ネイリン(NAILIN)」と命名されました。

2 ネイリンの特徴
ネイリンは、白色カプセル剤として提供されています。
剤型がシンプルで、サイズも飲みやすく設計されているため、高齢の方でも服用継続しやすいと評価されています。
最大の特徴は、これまでの爪水虫薬よりも高い「完全治癒率」です。
臨床試験では、12週間の服用終了から36週間後(合計約12ヶ月)の評価で、爪の濁りが消え菌も検出されない「完全治癒率」が59.4%、症状が改善した「有効率」は94.4%という高い数値を記録しています。
また、「飲む期間が短い」「飲み方が簡単」「治癒率が高い」「飲み合わせの制限が少ない」という4つの利点を併せ持つ、現在の爪水虫治療の第一選択薬です。
従来の飲み薬と比較して、爪への移行性(届きやすさ)が極めて高いことが最大の特徴です。
従来の爪水虫治療薬との違い
| 項目 | ネイリン | テルビナフィン(ラミシール) | イトラコナゾール(イトリゾール) |
|---|---|---|---|
| 発売年 | 2018年 | 1993年 | 1993年 |
| 服用期間 | 12週間連日 | 24週間連日 | 1週間服用→3週間休薬×3クール(パルス療法) |
| 1日の服用回数 | 1回1カプセル | 1回1錠 | 1日2回(パルス時) |
| 食事の影響 | なし | なし | あり(食直後) |
| 完全治癒率 | 59.4% | 約36〜38% | 約36〜38% |
| 併用禁忌薬 | 少ない | 比較的少ない | 多い |
3 適応疾患、使用方法
- 適応疾患: 爪白癬(爪水虫)
- 使用方法: 1日1回1カプセル(100mg)を12週間(約3ヶ月間)毎日服用します。
- ポイント: 食前・食後などのタイミングに左右されず服用可能です。
「飲み終わった瞬間に治る薬」ではなく、「新しく生えてくる爪を健康にする薬」です。
服用を終えた後も、成分が爪に長期間留まって効果を発揮し続けるため、爪が生え変わるまで経過を観察します。
4 使用する上の注意点
- 肝機能への影響: 稀に肝機能障害などの副作用が現れることがあるため、服用開始から1ヶ月〜2ヶ月を目安に、少なくとも1回は血液検査による確認が必要です。
- 妊娠中の方: 胎児への影響の可能性があるため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は服用できません。
- 外用薬との併用: ネイリン内服中は、原則として爪水虫用の塗り薬(クレナフィン等)を併用しても保険適用外となるため注意が必要です。
5 薬価と費用
ネイリンの薬価と、3割負担の場合の費用目安は以下の通りです。
※最新の薬価に基づいた概算です。診察料や検査料(血液検査代)が別途かかります。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 1錠(1カプセル)あたりの薬価 | 約814.9円 |
| 30日分の3割負担費用 | 約7,334円 |
| 12週間の3割負担合計 | 約20,535円 |
6 FAQ(よくある質問)
Q1:ネイリンを飲み終わっても爪が白っぽいままで、治っていない気がします。
A1:ネイリンは「今ある爪をきれいにする」のではなく「新しく生えてくる爪を健康にする」薬です。足の爪が全て生え変わるには1年前後かかるため、服用終了後も根元からきれいな爪が伸びてくるのをじっくり待つ必要があります。
Q2:ネイリンの服用中に血液検査は必ず必要ですか?
A2:はい、必須です。副作用である肝機能障害を早期に発見するため、皮膚科専門医の管理下で最低1回(通常は服用開始から6〜8週目頃)の採血が推奨されています。健康診断の結果などで代用できる場合もあるため、ご相談ください。
Q3:他の水虫薬(ラミシールやイトリゾール)と何が違うのですか?
A3:ネイリンは服用期間が12週間と決まっており、イトリゾールのパルス療法のような複雑なスケジュールもありません。また、治癒率が従来薬より高く、併用禁忌の薬も少ないため、現在の爪水虫治療における第一選択肢となっています。
Q4:ネイリンの治療費はトータルでいくらくらいかかりますか?
A4:ジェネリック薬が無いため、3割負担の方の場合、12週間分の薬剤費で約20,535円です。これに加えて、初診・再診料、処方箋料、血液検査代(約1,300円〜3,900円)などがかかります。
Q5:副作用で肝機能が悪くなったらどうなりますか?
A5:血液検査で異常が見られた場合は、直ちに服用を中止します。多くの場合、服用を止めれば肝機能は回復します。その後は医師の判断により、塗り薬など他の治療法への切り替えを検討します。
7 皮膚科専門医解説 ネイリンの要点まとめ
- ネイリン(ホスラブコナゾール)とは、2018年発売の最新の爪水虫(爪白癬)内服薬です。
- 1日1回1カプセルを12週間服用するだけで、高い完治率が期待できます。
- 完全治癒率は 59.4%(服用終了36週後の評価)。有効率は94.4%です。
- 従来の薬より副作用や併用禁忌が少なく、使いやすいのがメリットです。
- 服用中には副作用チェックのため血液検査が必要となります。
- 3割負担の薬剤費は、12週間分で約2万円(検査代等は別)が目安です。
参考文献
・Fosravuconazole for onychomycosis: Phase III randomized double-blind study
▶︎ネイリンは12週間内服により約59%の完全治癒率と高い有効性を示した国内第III相臨床試験論文
・Systemic antifungal therapy for onychomycosis: A review
▶︎内服抗真菌薬は外用薬よりも高い治癒率を示し重症例では第一選択となることを示したレビュー論文
・Pharmacokinetics of antifungal drugs in the nail apparatus
▶︎抗真菌薬は爪内部への移行性が治療成績を大きく左右することを示した薬物動態研究
医学的根拠について
本記事は日本皮膚科学会の診療ガイドラインおよび国際医学論文に基づき、皮膚科専門医・アレルギー専門医を取得している医学博士・花房崇明が医学的観点から監修しています。


