【デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:塗り薬/湿疹・皮膚炎

デルモベート(一般名:クロベタゾールプロピオン酸エステル)は、ステロイド外用薬の強さ分類で最上位「ストロンゲスト(I群)」に位置する塗り薬です。他のどのステロイドよりも強力な抗炎症作用を持ち、難治性の湿疹・皮膚炎、苔癬化(皮膚がゴワゴワに肥厚した状態)した病変、乾癬などに対して短期集中的に使用されてきた、皮膚科における”切り札”的存在です。

【2026年5月時点での重要なお知らせ】
先発品「デルモベート軟膏・クリーム・スカルプローション」(グラクソ・スミスクライン社)は2025年末に販売中止となり、2026年3月末をもって処方経過措置期間も終了しました。現在は後発品(一般名:クロベタゾールプロピオン酸エステル各社製品)として継続して処方・使用が可能です。

本記事では、デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)の作用機序から剤形の選び方、副作用と正しい使い方、薬価まで、皮膚科専門医の視点で詳しく解説します。


1. デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)とは

デルモベートの有効成分はクロベタゾールプロピオン酸エステル(英名:Clobetasol Propionate)です。英国グラクソ社(現グラクソ・スミスクライン社)が局所使用を目的に開発した合成副腎皮質ホルモン剤で、1978年に日本で初承認されました。

製品名「デルモベート(Dermovate)」の名称は、英語で皮膚(真皮)を意味する「Derma」に由来します。”皮膚のための薬”という意味が込められた名前です。

ステロイド外用薬は効力によって5段階(ストロンゲスト・ベリーストロング・ストロング・ミディアム・ウィーク)に分類されますが、クロベタゾールプロピオン酸エステルは最上位のストロンゲスト(I群)に分類されます。同じI群の薬剤にはジフラールやダイアコート(成分:ジフロラゾン酢酸エステル)があります。

項目 内容
製品名(旧先発品) デルモベート軟膏0.05%・クリーム0.05%・スカルプローション0.05%
一般名 クロベタゾールプロピオン酸エステル
製造販売(先発) グラクソ・スミスクライン株式会社(2025年末販売終了
後発品(ジェネリック) クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏・クリーム・ローション0.05%「各社」
分類 副腎皮質ホルモン外用薬(ストロンゲスト/I群)
剤形 軟膏・クリーム・ローション(スカルプ)各0.05%
承認年 1978年(スカルプローション)、2007年(軟膏・クリーム収載名変更)
規制区分 劇薬

2. デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)の特徴

クロベタゾールプロピオン酸エステルの最大の特徴は、国内最高クラスの抗炎症力にあります。グルココルチコイド受容体に強力に結合し、炎症カスケードを源流から断ち切るイメージです。

●作用機序:炎症の”制御塔”を止める

クロベタゾールプロピオン酸エステルは皮膚細胞のグルココルチコイド受容体に結合し、炎症反応を引き起こす一連のシグナルを抑制します。主な作用は以下のとおりです。

  • 炎症抑制物質(リポコルチン)の誘導:アラキドン酸という炎症原料の放出を根元から抑制
  • 血管収縮作用:患部の赤みや浮腫(むくみ)を速やかに鎮める
  • 免疫細胞の浸潤抑制:好中球・マクロファージなどの集積を抑え、炎症の悪循環を断つ
  • 肉芽腫抑制作用:ケロイドや円形脱毛症など免疫異常を伴う病変にも作用

これらの複合的な働きにより、他のランクのステロイドでは改善しにくい重症・難治性の皮膚病変に対して短期間で顕著な効果が期待できます。

●3つの剤形と使い分け

剤形 特徴 向いている部位・状態
軟膏 油性基剤。しっとり感が高く刺激が最も少ない。保護効果が高い 乾燥・肥厚・苔癬化した病変。じゅくじゅくしていない患部
クリーム 水中油型乳剤。伸びがよくさらっとした使用感 広い範囲への塗布。ただし軟膏より刺激やや強め。びらん・潰瘍には不可
ローション(スカルプ) アルコール基剤の粘稠ローション。ベタつきが少ない 頭皮など毛髪部位の皮膚疾患

いずれの剤形でも有効成分濃度(0.05%)は同じであり、正しく使用すれば効果に差はないとされています。

●国際的にも最強クラスと評価

米国FDA(食品医薬品局)では「super potent topical corticosteroid」として承認されており、英国NHSでも「very potent class(ステロイドランク最上位)」に分類されています。難治性の皮疹に対する有効性は国際的にも認められた薬剤です。


3. 適応疾患と使用方法

適応疾患

クロベタゾールプロピオン酸エステルの主な適応疾患(添付文書準拠)は以下のとおりです。

湿疹・皮膚炎群
– アトピー性皮膚炎(特に重症で苔癬化した限局部位)
– 接触皮膚炎、慢性湿疹、ビダール苔癬、日光皮膚炎、進行性指掌角皮症

難治性炎症性皮膚疾患
– 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
– 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
– 扁平紅色苔癬(へんぺいこうしょくたいせん)

痒疹・その他
– 痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)
– 天疱瘡群、類天疱瘡、ジューリング疱疹状皮膚炎
– 慢性円板状エリテマトーデス、サルコイドーシス
– 円形脱毛症、悪性リンパ腫(皮膚)
– ケロイド、肥厚性瘢痕、中毒疹、薬疹、虫さされ(重症例)

ポイント:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」においても、ベリーストロング以下のステロイドで効果が得られない重症・難治例に対して、限局的・短期集中的なストロンゲスト使用が考慮されます。

使用方法

通常、1日1〜数回(急性期は1日2回、改善後は1日1回)、患部に適量を塗布します。 症状により適宜増減しますが、連続使用は原則2週間以内にとどめ、症状が改善したら速やかにより弱いランクのステロイドへ切り替えます。

3つの重要ポイント

  1. 1FTU(フィンガーチップユニット)を守る:人差し指の第一関節まで絞り出した量(約0.5g)が手のひら2枚分の面積に相当します。厚塗りは効果を高めず副作用リスクのみ上げます。
  2. 2週間を目安に使用を見直す:長期連用は皮膚萎縮などの局所副作用や全身性副作用のリスクがあります。必ず医師の指示に従い、定期的に受診してください。
  3. 自己判断で急に中止しない:急な中止でリバウンド(症状の再燃)が起こる場合があります。減量・切り替えは医師と相談して計画的に行いましょう。

密封療法(ODT)は原則禁止:ラップ等で患部を覆うと吸収が著しく高まり副作用リスクが増大するため、医師の特別な指示がない限り行わないでください。


4. 使用する上の注意点

強力な薬剤であるため、使用方法・部位・期間の管理が特に重要です。

●使用禁忌(絶対に使ってはいけない場合)

  • 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、動物性皮膚疾患(疥癬・けじらみ等)が主病巣の場合
  • 本剤の成分に対して過敏症の既往がある方
  • 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎(穿孔部位への使用)
  • 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

●顔・首・陰部・間擦部位への使用は原則避ける

皮膚の薄い部位は薬剤吸収率が高く、皮膚萎縮・毛細血管拡張・酒さ様皮膚炎などの副作用が出やすくなります。これらの部位への使用は医師の判断のもとでのみ行ってください。

●主な副作用

区分 症状
局所副作用(比較的多い) 皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)、ステロイド潮紅、毛細血管拡張、色素脱失、多毛、尋常性ざ瘡(ニキビ)、酒さ様皮膚炎
感染症関連 皮膚感染症(毛のう炎・カンジダ症・白癬など)の増悪・誘発
眼への影響 眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障(眼周囲の長期使用で)

●重大な副作用(頻度は稀ですが要注意)

  • 下垂体・副腎皮質系機能抑制、クッシング症候群:大量・長期・広範囲の使用や密封療法で、体内に吸収されたステロイドが全身に影響を及ぼすことがあります(満月様顔貌・体重増加・血圧上昇など)
  • 眼圧亢進・緑内障・後嚢白内障:眼周囲への長期使用で発生リスクがあります。視力低下・目の痛み・頭痛が生じたら速やかに受診してください

これらの症状が現れた場合は自己判断で中止せず、すぐに医師に相談してください。急な中断で症状がリバウンドする可能性があります。

●こんな方は事前に医師にご相談を

  • ステロイド薬・本剤成分にアレルギー歴のある方
  • 糖尿病・高血圧・緑内障・白内障のある方
  • 皮膚感染症(水虫・ヘルペス・とびひなど)を合併している方
  • 妊娠中・授乳中、または妊娠の可能性がある方
  • 小児(皮膚が薄く吸収量が多いため特に慎重な管理が必要)
  • 高齢の方

●日常生活での注意

  • アルコール:外用薬(塗り薬)であるため、使用部位への影響は限定的ですが、肝臓への負担を避けるため節度ある飲酒を
  • 自動車運転:外用薬(塗り薬)であり、眠気成分は含まれないため、運転への直接の制限はありません
  • 市販の有無:市販はされていません。医療用医薬品のため、必ず医師の処方が必要です。市販ではお求めいただけません
  • 治療目的以外への使用禁止:できるだけ化粧下・ひげそり後などに使用しないよう注意してください

5. 薬価と費用

先発品「デルモベート」は2025年末に販売終了となりました。現在は後発品(クロベタゾールプロピオン酸エステル各社)のみ処方可能です(2026年5月時点)。

後発品(クロベタゾールプロピオン酸エステル)の薬価

剤形 薬価(1g あたり) 5g の薬剤費 5g の自己負担(3割)
軟膏 0.05%(各社後発品) 約11.7円/g 約58.5円 約18円
クリーム 0.05%(各社後発品) 約11.7円/g 約58.5円 約18円
ローション 0.05%(各社後発品) 約11.7円/g(10g換算) 約117円(10g) 約35円
剤形 薬価 30g の薬剤費 30g の自己負担(3割)
軟膏・クリーム 0.05%(各社後発品) 約11.7円/g 約351円 約105円

※2026年度薬価基準(2026年4月改定)に基づく後発品の目安薬価です。製造会社により若干異なる場合があります。薬剤費のみの目安であり、別途、診察料・処方箋料・調剤料などが加算されます。


6. FAQ(よくある質問)

Q1: デルモベートはどれくらい強いステロイドですか?

A1: ステロイド外用薬は5段階に分類されますが、クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート)は最上位の「ストロンゲスト(I群)」に分類されます。一般的によく使われるアンテドラッグ系(例:アドバンタン)や「ベリーストロング(II群)」のステロイドより1ランク強く、皮膚科で処方される外用ステロイドの中で最も強力です。

Q2: デルモベートの先発品はまだ処方できますか?

A2: 先発品「デルモベート軟膏・クリーム・スカルプローション」(グラクソ・スミスクライン)は2025年末に販売終了となり、2026年3月末で処方経過措置期間も終了しました。現在は後発品(一般名:クロベタゾールプロピオン酸エステル各社製品)として同成分の薬剤が処方可能です。

Q3: 顔に塗ってもいいですか?

A3: 原則として顔・首・陰部・間擦部位(皮膚が擦れ合う部位)への使用は避けるべきです。皮膚の薄い部位は吸収率が高く、皮膚萎縮・毛細血管拡張・酒さ様皮膚炎などの副作用が起こりやすくなります。医師から特別な指示がない限り、これらの部位には使用しないでください。

Q4: 何日間(何週間)使い続けられますか?

A4: 添付文書上の用法では1日1〜数回塗布とされていますが、連続使用は原則2週間以内を目安とし、症状改善後は速やかにより弱いランクのステロイドへの切り替えを行います。「症状がよくなったから」と自己判断で急に中止するとリバウンドの可能性があるため、必ず医師と相談しながら使用量・頻度を減らしていきましょう。

Q5: 子どもや妊婦でも使えますか?

A5: 小児への使用は特に慎重が必要です。子どもは皮膚が薄く体表面積比も大きいため吸収量が多く、全身性副作用のリスクが高まります。必要最小限の期間・量にとどめます。妊婦・授乳中の方は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用し、自己判断での使用は避けてください。いずれも必ず医師にご相談ください。

Q6: 密封療法(ラップで覆う)は自分でやってもいいですか?

A6: 自己判断での密封療法(ODT)は禁止です。 ラップなどで覆うことで薬剤の吸収が著しく高まり、皮膚萎縮や全身性副作用(副腎抑制・クッシング症候群など)のリスクが急増します。密封療法が必要な場合は、必ず医師の指示のもとで行ってください。

Q7: 緑内障や白内障のリスクがあると聞きました。

A7: 目の周囲に長期・大量に使用した場合や、まぶたに塗布した場合、眼圧亢進・緑内障・後嚢白内障が起こることがあります。頭痛・目のかすみ・目の痛みなど気になる症状が出た場合はただちに受診してください。なお、眼科で測定できる眼圧検査でリスクを定期的に確認することも重要です。


7. 皮膚科専門医解説 デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)の要点まとめ

  • 分類:ステロイド外用薬 ストロンゲスト(I群)。国内最高クラスの抗炎症力を持つ”切り札”
  • 有効成分:クロベタゾールプロピオン酸エステル 0.05%。軟膏・クリーム・ローションの3剤形
  • 主な適応:難治性湿疹・アトピー性皮膚炎重症例・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・苔癬化病変・円形脱毛症など
  • 使い方:1日1〜2回塗布、連続使用は原則2週間以内。1FTUで手のひら2枚分が目安
  • 注意点:顔・陰部・間擦部は原則使用不可。感染症が主病巣の場合は禁忌。急な中止はリバウンドに注意
  • 現状:先発品「デルモベート」は2025年末販売終了。後発品(クロベタゾールプロピオン酸エステル各社)として継続処方可能
  • 費用:後発品 軟膏・クリーム 5g あたり約18円(3割負担)

ストロンゲストクラスは「強いから危険」なのではなく、「適切に使えば難治例を早期に改善できる頼もしい薬剤」です。ただし、使用部位・期間・量の管理は他のランクのステロイドよりも厳格に行う必要があります。自己判断での長期使用・広範囲使用は避け、定期的な受診のもとで皮膚の状態を確認しながら治療を進めることが重要です。

大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルと皮膚の状態に合わせた最適なステロイド外用療法をご提案しています。 「なかなか治らない湿疹・皮膚炎がある」「ステロイドの正しい使い方を知りたい」「乾癬や苔癬化した皮膚病変でお悩み」の方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。


監修

皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明

  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
  • 医学博士
  • 抗加齢医学会専門医

【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会


参考文献

  1. 日本皮膚科学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024. 日本皮膚科学会雑誌 2024.
    ▶ 国内アトピー性皮膚炎治療の標準を示すガイドライン。ベリーストロング以下で効果不十分な重症・難治例に対し、ストロンゲストクラスの限局的・短期集中使用が考慮されるとされる。
  2. Korting HC, Schöllmann C. Glucocorticoids for human skin: new aspects of the mechanism of action. Skin Pharmacol Physiol. 2005;18(3):103-114.
    ▶ グルココルチコイド外用薬の作用機序(リポコルチン誘導によるアラキドン酸抑制・血管収縮・免疫細胞浸潤抑制)を詳述した基礎研究。クロベタゾールプロピオン酸エステルの抗炎症作用の科学的基盤を与える文献。
  3. グラクソ・スミスクライン株式会社. デルモベート軟膏0.05%・クリーム0.05%・スカルプローション0.05% 添付文書(第11版, 2024年6月改訂)/後継後発品各社添付文書.
    ▶ 製造販売元公式情報。適応症・用法用量・禁忌(感染症主病巣・穿孔性外耳道炎・重度熱傷等)・重大な副作用(副腎抑制・眼圧亢進等)が詳述されており、本記事の薬学的記述の主要な根拠。

“`

This website stores cookies on your computer. These cookies are used to provide a more personalized experience and to track your whereabouts around our website in compliance with the European General Data Protection Regulation. If you decide to to opt-out of any future tracking, a cookie will be setup in your browser to remember this choice for one year.

Accept or Deny

タイトルとURLをコピーしました