【オテズラ(アプレミラスト)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:乾癬/掌蹠膿疱症/ベーチェット病

オテズラ(一般名:アプレミラスト)は、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害という全く新しい作用機序を持つ経口乾癬治療薬です。2017年3月の日本発売から、尋常性乾癬・乾癬性関節炎・ベーチェット病による口腔潰瘍の治療薬として広く使われてきました。さらに2025年3月には「局所療法(外用療法、つまり塗り薬による治療)で効果不十分な掌蹠膿疱症」へも適応が追加され、皮膚科診療における選択肢がさらに広がりました。

注射剤である生物学的製剤とは異なり、飲み薬でありながら全身の炎症に作用できる点が大きな特徴です。「塗り薬では追いつかない」「注射は怖い」とお悩みの方に対し、皮膚科専門医が作用機序から費用まで詳しく解説します。


1. オテズラ(アプレミラスト)とは

オテズラ(一般名:アプレミラスト)は、アムジェン株式会社が製造販売するPDE4阻害薬に分類される経口低分子化合物です。細胞内の酵素「PDE4(ホスホジエステラーゼ4)」の働きをブロックすることで、炎症を引き起こすサイトカインの過剰な産生を抑え、乱れた免疫バランスを整えます。

乾癬患者さんの皮膚や免疫細胞ではPDE4が正常より多く存在しており、免疫バランスの異常が生じています。オテズラはそのPDE4を選択的に阻害することで、炎症を抑えて症状を改善します。

従来の乾癬治療薬(活性型ビタミンD3外用薬・ステロイド外用薬・免疫抑制内服薬)とは全く異なる作用機序を持つため、これまでの治療で十分な効果が得られなかった患者さんにも新たな希望をもたらす薬剤です。

項目 内容
製品名 オテズラ錠10mg/20mg/30mg
一般名 アプレミラスト
製造販売 アムジェン株式会社
分類 PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬
剤形 錠剤(10mg・20mg・30mg)
日本発売年 2017年3月
後発品 なし(2026年5月時点)

なお「オテズラ(Otezla)」という名称は、有効成分 Apremilast(アプレミラスト)のラテン語的変形に由来すると言われており、欧米でも同一ブランド名で流通しています。


2. オテズラの特徴

オテズラの最大の特徴は、注射不要・血液検査不要で使える経口PDE4阻害薬である点です。生物学的製剤と同様に全身の炎症に作用しながら、飲み薬という手軽さを実現しています。

● 注射不要・経口投与で使いやすい

生物学的製剤は点滴や皮下注射が必要なのに対し、オテズラは朝夕の2回内服のみです。通院頻度を抑えやすく、自宅での管理がしやすい点が患者さんに好評です。

● 定期的な血液検査が必須ではない

メトトレキサートなどの免疫抑制薬では定期的な肝機能・血球検査が必要ですが、オテズラでは投与開始前に特定の検査を必須とする規定がなく、日常生活への影響が少ない設計となっています(異常が疑われる場合は医師の判断で検査を行います)。

● 多彩な炎症性サイトカインを一括で抑制

PDE4を阻害することで細胞内のcAMP(サイクリックAMP)濃度が上昇し、TNF-α・IL-17・IL-23・IL-36γなど複数の炎症性サイトカインを同時に抑制します。特定の分子だけをターゲットにする生物学的製剤とは異なる”幅広い抑制”が特徴です。

● 適応が広い(4疾患をカバー)

2026年5月時点でオテズラは①局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、②乾癬性関節炎、③局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症(2025年3月追加)、④局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍の4疾患に適応を持ちます。

● 効果はゆっくり・でもしっかり現れる

服用開始から効果が実感されるまで個人差があり、最大24週(約6か月)程度かけて徐々に改善が進む場合があります。効果発現には「速効型(1〜4週)」「遅効型(20〜30週)」があることが臨床現場で経験されており、途中で自己判断して中断しないことが重要です。


3. 適応疾患と服用方法

適応疾患

疾患 使用条件
尋常性乾癬 局所療法で効果不十分な例(体表面積10%以上、または難治性皮疹)
乾癬性関節炎(関節症性乾癬) 難治性の皮疹または関節症状を有する例
掌蹠膿疱症 局所療法で効果不十分な中等症〜重症の膿疱・小水疱病変
ベーチェット病による口腔潰瘍 局所療法で効果不十分な例

スターターパックによる漸増投与

オテズラは、投与開始時に6日間かけて少量から徐々に増量する「漸増投与法」を行います。これにより、飲み始めに起こりやすい消化器系副作用(吐き気・下痢など)を軽減することができます。この漸増期の錠剤が1パッケージにまとめられた「スターターパック」が処方されます。

投与日
1日目 10mg
2日目 10mg 10mg
3日目 10mg 20mg
4日目 20mg 20mg
5日目 20mg 30mg
6日目以降(維持期) 30mg 30mg

維持期は1回30mg・1日2回(朝夕)の経口投与を継続します。食事の影響を受けにくいため、食前・食後どちらでも服用可能です。

治療効果の目安

  • 尋常性乾癬・乾癬性関節炎:16週以内に治療反応が得られない場合は継続を再考
  • 掌蹠膿疱症:16週以内に治療反応が得られない場合は継続を慎重に再考
  • ベーチェット病口腔潰瘍:12週時点での改善が一つの指標

3つの重要ポイント

  1. 自己判断で中断しない:効果がゆっくり出る場合があるため、医師の指示に従い継続することが大切です。
  2. 食事の制限なし:食前・食後いずれでも服用可能で、生活リズムに合わせやすいです。
  3. 腎機能低下がある場合は減量:重篤な腎機能障害(eGFR<30mL/min/1.73m²)の患者さんでは1回30mgを1日1回に減量します。

4. 使用する上の注意点

● 主な副作用

オテズラで最も多く報告される副作用は消化器症状です。

副作用 頻度 特記事項
下痢 多い 漸増投与で軽減可能
悪心(吐き気) 多い 服用開始後2週間程度でおさまることが多い
頭痛 多い 投与初期に起こりやすい
上気道感染・上咽頭炎 比較的多い 感冒様症状
食欲減退・体重減少 一部でみられる 著しい体重減少には注意
うつ病・気分変動 まれ 精神症状に注意が必要

消化器症状の多くは服用開始後2週間程度でおさまることが多く、漸増法(スターターパック)の使用によりさらに発現を軽減できます。

● 重大な副作用(頻度は稀ですが要注意)

  • 重篤な感染症(敗血症など)
  • 重篤な過敏症(アナフィラキシーなど)
  • 重度の下痢(脱水・電解質異常を来すレベル)
  • うつ病・自殺念慮・自殺企図(精神症状の悪化には特に注意)

服用中に激しい下痢・強い気分の落ち込み・自傷衝動・重い感染症の徴候(高熱・意識障害など)が現れた場合は、ただちに服用を中止し医療機関を受診してください。

● 禁忌(使用できない方)

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある女性(動物実験で胎児毒性の報告があり)

● 慎重投与・要相談の方

  • 重篤な腎機能障害のある方(用量調整が必要)
  • 重症感染症にかかっている方
  • うつ病・躁うつ病などの精神疾患の既往または現在治療中の方
  • 高齢者(65歳以上、副作用発現に注意)
  • 授乳中の方(授乳を避けることが推奨される)
  • 妊娠の可能性がある女性(服用中は確実な避妊が必要)

● 併用注意

  • リファンピシン・フェニトイン・カルバマゼピン・フェノバルビタールなどのCYP3A4強力誘導薬:オテズラの血中濃度が著しく低下し、効果が減弱する可能性があります。原則として併用を避けることが勧められます。

● 日常生活での注意

  • アルコール:直接の禁忌規定はありませんが、消化器症状が悪化する場合があるため控えめにしてください
  • 自動車の運転:眠気を来す成分は含まれていないため、原則として制限はありません
  • 市販薬での入手不可:医療用医薬品のため、必ず医師の処方が必要です

5. 薬価と費用

オテズラ錠の薬価は、10mg 1錠あたり329.9円、20mg 1錠あたり659.7円、30mg 1錠あたり989.6円
です(2026年度薬価基準(2026年4月改定))。後発品(ジェネリック)は2026年5月時点では発売されていません。

維持期は1日2回・各30mgを服用するため、1日あたり2錠(30mg錠×2)が必要です。

維持期(30mg錠)の薬剤費目安

期間 薬価合計 3割負担の自己負担額(目安)
14日分(28錠) 27,708.8円 約8,313円
30日分(60錠) 59,376円 約17,813円

スターターパック(漸増期・初回2週間分)の薬価目安

規格 錠数(目安) 薬価合計(目安)
10mg錠 5錠 約1,650円
20mg錠 6錠 約3,958円
30mg錠 9錠 約8,906円
スターターパック合計 20錠 約14,514円

※スターターパック2週間分の3割負担額:約4,354円(薬剤費のみの目安)

※薬剤費のみの目安です。別途、診察料・処方箋料・調剤料などが加算されます。高額療養費制度や付加給付制度の対象になる場合があります。医師にご相談ください。


6. FAQ(よくある質問)

Q1: オテズラはどんな方に向いていますか?

A1: 「塗り薬だけでは治りきらない」「皮疹が体の広範囲に及ぶ」「関節の痛みも伴う乾癬(乾癬性関節炎)」「生物学的製剤(注射)には抵抗がある」といった方に適しています。また、2025年3月からは手のひら・足の裏に膿疱を繰り返す掌蹠膿疱症でも、局所療法が効不十分な方に使用できるようになりました。

Q2: 効果が出るまでどれくらいかかりますか?

A2: 個人差が大きく、早い方では1〜4週で改善を実感する一方、20〜30週ごろから急激に効いてくる「遅効型」の方もいます。最大24週程度は効果を見極める期間と考え、自己判断で中断しないことが重要です。効果が得られない場合は医師と相談の上、治療計画を見直します。

Q3: 生物学的製剤と何が違いますか?

A3: 生物学的製剤は特定の炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-17など)を狙い撃ちにする注射薬で、効果発現が早い反面、感染症リスクや定期的な血液検査・通院が必要です。一方オテズラは経口薬で複数のサイトカインを幅広く抑制でき、定期的な血液検査も必須ではありません。治療効果の強さでは生物学的製剤に一歩譲る場合がありますが、「注射が怖い」「通院回数を減らしたい」方には選択肢として検討できます。

Q4: 副作用の吐き気・下痢はずっと続きますか?

A4: 多くの場合、消化器症状は服用開始から2週間程度でおさまることが多いです。スターターパックを使って少量から徐々に増量することでさらに発現率を下げることができます。どうしても辛い場合は医師や薬剤師にご相談ください。

Q5: うつ症状が悪化することはありますか?

A5: オテズラの添付文書では、うつ病・自殺念慮・自殺企図が副作用として記載されています。もともとうつ病などの精神疾患をお持ちの方は、服用前に必ず医師にお申し出ください。服用中に気分の落ち込みや気力低下が続く場合はすぐに医師に相談してください。

Q6: 妊娠中・授乳中でも飲めますか?

A6: 妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌です。妊娠を希望する場合は服用中止後も一定期間避妊が必要なため、必ず医師に相談してください。授乳中の方は授乳を避けることが推奨されています。

Q7: 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)でも使えますか?

A7: はい。2025年3月に「局所療法で効果不十分な掌蹠膿疱症」への適応が追加されました。国内第Ⅲ相臨床試験では、投与16週時にPPPASI-50(ベースラインから50%以上の改善)を達成した患者さんの割合がプラセボ群と比べて有意に高い結果でした。塗り薬や光線療法で十分な効果が得られなかった方はぜひご相談ください。


7. 皮膚科専門医解説 オテズラの要点まとめ

  • 適応:局所療法で効果不十分な尋常性乾癬・乾癬性関節炎・掌蹠膿疱症(2025年3月追加)、ベーチェット病による口腔潰瘍
  • 作用機序:PDE4阻害→細胞内cAMP上昇→複数の炎症性サイトカイン(TNF-α・IL-17・IL-23等)産生抑制
  • 服用方法:スターターパックで6日間漸増→維持期は1回30mg・1日2回(朝夕)
  • 最大の特徴:経口薬・注射不要・定期血液検査必須ではない。生物学的製剤への橋渡しにもなる選択肢
  • 効果発現:ゆっくり(最大24週程度)。「速効型」「遅効型」があり、自己中断は禁物
  • 主な副作用:下痢・悪心・頭痛(多くは2週間程度で改善)、精神症状(うつ・自殺念慮)に注意
  • 禁忌:本剤成分への過敏症の既往、妊婦または妊娠の可能性のある女性
  • 費用:維持期 14日分(30mg×2錠×14日)の薬剤費3割負担で約8,313円(2026年度薬価基準)。後発品なし

乾癬・掌蹠膿疱症の治療は、重症度・生活スタイル・合併症の有無によって最適な選択肢が異なります。「塗り薬では限界を感じている」「関節の痛みも出てきた」「注射はためらわれるが全身治療を受けてみたい」とお感じの方は、ぜひ皮膚科専門医にご相談ください。

大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適な乾癬・掌蹠膿疱症治療をご提案しています。 「塗り薬だけでは治らない」「全身に症状が広がってきた」「関節症状も気になる」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。


監修

皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明

  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
  • 医学博士
  • 抗加齢医学会専門医

【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会


参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 乾癬性紅皮症・汎発性膿疱性乾癬治療ガイドライン2022ならびに尋常性乾癬・関節症性乾癬治療ガイドライン2019(2022年改訂版). 日本皮膚科学会雑誌 2022;132(13):3076-3107.
    ▶ 国内の乾癬治療の標準を定めるガイドライン。PDE4阻害薬(アプレミラスト)は局所療法が効不十分な中等症〜重症の尋常性乾癬、乾癬性関節炎に対する経口療法として位置づけられている。
  2. アムジェン株式会社. オテズラ錠10mg・20mg・30mg 電子化された添付文書(2025年改訂版). PMDA.
    ▶ 適応症・用法用量・禁忌・副作用・相互作用・使用上の注意について詳細に記載された公式情報。本記事の薬学的記述の主要な根拠。
  3. Imafuku S, et al. Apremilast in patients with palmoplantar pustulosis: Results of a phase 3, randomized, placebo-controlled trial in Japan. Journal of Dermatology 2025 (in press).
    ▶ 国内第Ⅲ相臨床試験。掌蹠膿疱症患者における投与16週時のPPPASI-50達成率がプラセボ群に比べて有意に高いことを示し、2025年3月の適応追加の根拠となったデータ。

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