【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:AGA(男性型脱毛症)
ザガーロ(一般名:デュタステリド)は、AGA(男性型脱毛症)の進行を抑制する5α還元酵素阻害薬の内服薬です。2016年に日本国内での販売が始まって以来、皮膚科・AGA専門クリニックで広く処方されており、「プロペシア(フィナステリド)を試したが効果が物足りない」「より強力な治療を希望する」といった方に皮膚科専門医が選択する代表的な選択肢となっています。
実はザガーロは、フィナステリドと同じ系統の薬でありながら、薄毛の原因酵素をⅠ型・Ⅱ型の両方からブロックする”二重封鎖”の作用を持ちます。この仕組みの違いが、より高い発毛効果につながっています。本記事では、その作用機序から服用方法、費用まで、皮膚科専門医の視点で詳しく解説します。
1. ザガーロ(デュタステリド)とは
ザガーロ(一般名:デュタステリド)は、5α還元酵素阻害薬に分類される経口の男性型脱毛症(AGA)治療薬です。グラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)が製造販売しており、カプセル剤(0.1mg・0.5mgの2規格)として提供されています。
AGAの主な原因は、男性ホルモン「テストステロン」が5α還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されることです。DHTがヘアサイクル(毛周期)の成長期を極端に短縮させるため、髪が十分に育たないうちに抜け落ちてしまいます。ザガーロはこの変換プロセスそのものを抑制することで、薄毛の進行を食い止めます。
なお「ザガーロ(ZAGALLO)」という名称は、有効成分 Dutasteride をはじめとするGSKの命名規則に基づく製品名です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg |
| 一般名 | デュタステリド |
| 製造販売 | グラクソ・スミスクライン株式会社 |
| 分類 | 5α還元酵素阻害薬(Ⅰ型・Ⅱ型) |
| 剤形 | カプセル剤(0.1mg・0.5mg) |
| 発売年 | 2016年(国内AGA適応) |
| 後発品 | あり(デュタステリドZA 各社、2020年7月より国内製造開始) |
2. ザガーロの特徴
ザガーロの最大の特徴は、5α還元酵素のⅠ型・Ⅱ型を両方まとめて阻害できる”二重封鎖”の作用です。フィナステリド(プロペシア)がⅡ型のみを抑制するのに対し、ザガーロはより広い範囲でDHT産生を抑えます。
●5α還元酵素のⅠ型・Ⅱ型を両方ブロック
5α還元酵素には2種類あり、Ⅱ型は前頭部から頭頂部など男性ホルモンの影響を受けやすい部位に多く存在し、Ⅰ型はほぼ全身の毛乳頭細胞に広く分布します。フィナステリドがⅡ型のみを狙い撃ちにするのに対し、ザガーロはこの2つを同時に封じます。これがより強力なDHT抑制と、より高い発毛効果につながります。
●フィナステリドを上回る臨床試験成績
国際共同試験(第Ⅱ/Ⅲ相、917例対象)では、24週後の頭頂部2.54cm円内での非軟毛増加数が、ザガーロ0.5mgで89.6本であったのに対し、フィナステリド1mgは56.5本でした。また、臨床試験で1年間服用後の「やや改善以上」の割合は、フィナステリド1mgで約58%、デュタステリド0.5mgで約70%と報告されています。
●半減期が長く、安定した血中濃度を維持
フィナステリドの半減期が約4時間であるのに対し、デュタステリドの半減期は約2週間と非常に長いのが特徴です。血中濃度が安定しているため、うっかり1日飲み忘れてもすぐに効果が落ちにくいという利点があります。
●前頭部(生え際)への有効性
M字ハゲに代表される前頭部の薄毛改善にはザガーロが優位という臨床報告もあります。Ⅰ型酵素を同時にブロックすることが、前頭部の毛乳頭細胞への広いアプローチを可能にしていると考えられます。
●日本皮膚科学会ガイドラインで推奨度A
日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」において、成人男性のAGA治療に対するデュタステリドの内服は推奨度Aと位置づけられています。
3. 適応疾患と服用方法
適応疾患
ザガーロの適応は成人男性における男性型脱毛症(AGA)のみです。添付文書には「他の脱毛症に対する適応はない」と明記されており、女性型脱毛症(FAGA)、円形脱毛症などには使用できません。また、20歳未満では安全性・有効性が確立されていません。
服用方法
通常、男性成人にはデュタステリドとして0.1mgを1日1回経口投与します。なお、効果が不十分な場合などには、医師の判断で0.5mgに増量することもあります。
3つの重要ポイント
- 食事の影響を受けない:食前・食後いずれでも服用可能です。毎日決まった時間帯に服用すると飲み忘れを防げます。
- 効果判定は6か月が目安:投与開始後12週間で改善が認められることもありますが、治療効果を評価するためには通常6か月間の治療が必要です。
- 6か月で効果が出なければ中止を検討:添付文書では「6か月以上投与しても改善がみられない場合は投薬を中止すること」と明記されています。
一般に、3〜6か月で発毛・抜け毛減少を実感する方が多く、治療を中止すると再び薄毛が進行するため、長期継続が基本となります。
4. 使用する上の注意点
安全性が確立された薬剤ですが、以下の点に注意が必要です。
●主な副作用
- リビドー減退(性欲減退)
- 勃起不全(ED)
- 射精障害
- 性機能不全
- 発疹、頭痛
- 乳房障害(女性化乳房、乳頭痛)
- 抑うつ気分
国内長期投与試験(120例)では副作用発現率は約16.7%と報告されており、主なものは勃起不全(11%)、リビドー減退(8%)、射精障害(4%)などでした。多くは服用中止により回復します。
●重大な副作用(頻度は稀ですが要注意)
- 肝機能障害・黄疸(AST・ALT・ビリルビン上昇を伴う)
肝機能に異常を示す症状(倦怠感・食欲不振・黄疸・茶色い尿など)が現れた場合は、ただちに服用を中止し医療機関を受診してください。
●禁忌(絶対に服用できない方)
- 女性(特に妊婦・授乳中の女性):経皮吸収されるため、カプセルが破損した場合は触れることも禁止です。触れた場合はすぐに石鹸と水で洗い流してください。男児胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性があります。
- 小児・20歳未満
- 本剤の成分・5α還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往のある方
- 重度肝機能障害のある方
●PSA値への影響(前立腺がん検査に注意)
ザガーロはPSA(前立腺特異抗原)値を約50%減少させる作用があります。前立腺がんのスクリーニング検査を受ける際は、ザガーロ服用中であることを必ず担当医に伝えてください。
●献血の制限
服用中および服用中止後6か月間は献血ができません(フィナステリドは1か月)。これはデュタステリドの半減期が長く、薬剤が体内に長期間残存するためです。
●フィナステリドとの併用不可
同じ5α還元酵素阻害薬であるフィナステリド(プロペシア)との併用はできません。
●こんな方は事前に医師にご相談を
- 肝機能障害のある方
- 前立腺がんの既往・疑いのある方
- 妊活中の方(精液中にも薬剤が移行するため)
- 前立腺肥大症の治療中の方
●日常生活での注意
- 食事の影響はなし:食前・食後どちらでも服用可能
- 眠気は生じないため、自動車運転に制限はありません
- 市販されていない医療用医薬品です。必ず医師の処方が必要です
- グレープフルーツは薬物相互作用の報告があるため、服用中は過剰摂取を避けることが望ましいとされます
5. 薬価と費用
ザガーロはAGA治療を目的とした場合、保険適用外(自由診療)となります。そのため公定薬価は参考値となり、実際の処方価格はクリニックによって異なります。下記は皮膚科・AGAクリニックでの一般的な自費処方価格の目安です。
※AGA治療目的での処方は保険適用外のため、以下はクリニックでの自由診療価格の一般的な相場をまとめた参考値です(2026年5月時点)。別途、診察料・処方料・調剤料が加算される場合があります。
| 薬剤名 | 規格 | 1か月(30日)分の目安 | 3か月(90日)分の目安 |
|---|---|---|---|
| ザガーロカプセル(先発品) | 0.1mg | 約3,000〜5,000円 | 約9,000〜15,000円 |
| ザガーロカプセル(先発品) | 0.5mg | 約5,000〜10,000円 | 約15,000〜30,000円 |
| デュタステリドZA(後発品) | 0.5mg | 約2,000〜4,000円 | 約6,000〜12,000円 |
※後発品(デュタステリドZA各社)は2020年7月より国内製品も販売開始。先発品と同等の効果が認められており、コストを抑えながら治療を継続したい方に選択肢が広がりました。
クリニックによってはミノキシジル内服薬とのセットプランを用意している場合があり、単体処方より費用を抑えられることがあります。大阪の花ふさ皮ふ科グループでも患者さんの状態に合わせた処方プランをご提案していますので、お気軽にご相談ください。
6. FAQ(よくある質問)
Q1: ザガーロとプロペシア(フィナステリド)はどちらが効きますか?
A1: 臨床試験では、ザガーロ0.5mgはフィナステリド1mgと比較して約1.6倍の発毛効果が報告されています。ザガーロはⅠ型・Ⅱ型の5α還元酵素を両方阻害するためです。一方、副作用(性機能への影響)の発現率はデュタステリドでわずかに高い傾向があります。まずフィナステリドを試し、効果不十分な場合にザガーロへ切り替えるアプローチも一般的です。
Q2: 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
A2: 早い方では投与開始後12週(約3か月)で改善を実感することもありますが、治療効果を正しく評価するには6か月間の継続服用が必要です。6か月以上服用しても改善がみられない場合は、医師と継続の必要性を相談しましょう。
Q3: 飲むのをやめると薄毛が戻りますか?
A3: はい、服用を中止すると再び薄毛が進行します。ザガーロは薄毛の「根本原因(DHT産生)」を薬の力で抑えているため、服用をやめると効果が失われます。治療を続ける意思がある限り、長期的な服用が基本となります。
Q4: 女性は使えますか?
A4: 女性には投与禁忌です。特に妊婦・授乳中の女性は内服はもちろん、破損したカプセルへの接触も禁止されています。デュタステリドは経皮吸収されるため、男児胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性があります。
Q5: 妊活中(子作りを希望している)でも使えますか?
A5: 要注意です。デュタステリドは精液中にも移行し、海外臨床試験では52週投与後に総精子数の平均約23%の減少が報告されています(追跡期間24週後も継続)。妊活中の方は必ず事前に医師にご相談ください。
Q6: 市販・通販で購入できますか?
A6: ザガーロおよびデュタステリドZAは医療用医薬品であり、医師の処方箋なしには購入できません。個人輸入代行サイトで入手する方法もありますが、品質・安全性の保証がなく、副作用が出た際のサポートも受けられないためお勧めしません。
Q7: ザガーロとアボルブは何が違いますか?
A7: 有効成分(デュタステリド0.5mg)・製造元(GSK)・組成はほぼ同一ですが、アボルブは「前立腺肥大症治療薬」として承認されており、AGA治療薬としては厚生労働省未承認です。ザガーロはAGA治療薬として正式承認されています。万一副作用が出た場合の保証面でも、正規のAGA適応を持つザガーロ(またはデュタステリドZA)の使用が推奨されます。
7. 皮膚科専門医解説 ザガーロの要点まとめ
- 適応:成人男性の男性型脱毛症(AGA)専用の内服薬。他の脱毛症・女性への使用は不可
- 作用:5α還元酵素Ⅰ型・Ⅱ型を二重封鎖し、DHT産生を強力に抑制。フィナステリドより高い発毛効果
- 飲み方:通常0.1mgを1日1回・食前食後を問わず服用。必要に応じ0.5mgへ増量
- 効果判定:6か月が目安。6か月で効果なければ中止を検討
- 禁忌:女性・小児・重度肝機能障害・5α還元酵素阻害薬過敏症の方は使用不可
- 献血制限:服用中および中止後6か月は献血不可
- 費用:自費診療のため1か月3,000〜10,000円前後(規格・クリニックにより異なる)
薄毛の治療は、原因・進行度・ライフスタイルによって最適な選択肢が異なります。自己判断でのネット購入は安全上のリスクを伴います。
大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適なAGA(男性型脱毛症)治療をご提案しています。 「薄毛が気になりだした」「プロペシアで効果が出なかった」「しっかり診察を受けてからザガーロを始めたい」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。
監修
皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
- 医学博士
- 抗加齢医学会専門医
【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会
参考文献
-
日本皮膚科学会. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日本皮膚科学会雑誌 2017;127(13):2763-2801.
▶ 国内の標準的なAGA診療指針。デュタステリド(ザガーロ)の内服は成人男性のAGAに対して推奨度Aと位置づけられている。フィナステリドとともに第一選択薬として記載。 -
Olsen EA, et al. The importance of dual 5α-reductase inhibition in the treatment of male pattern hair loss: Results of a randomized placebo-controlled study of dutasteride versus finasteride. Journal of the American Academy of Dermatology 2006;55(6):1014-1023.
▶ デュタステリドとフィナステリドを直接比較した代表的な比較試験。デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の5α還元酵素を同時阻害することにより、フィナステリドより優れた毛髪増加効果を示すことを報告。 -
グラクソ・スミスクライン株式会社. ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書(改訂2025年8月, PMDA掲載版).
▶ 製造販売元による公式情報。適応症(成人男性のAGAのみ)・用法用量・禁忌(女性・小児・重度肝機能障害・過敏症)・副作用・PSA値への影響・献血禁止期間が詳細に記載されており、本記事の薬学的記述の主要な根拠。
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