監修者:花房崇明

監修者
理事長:花房崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院)
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本アレルギー学会アレルギー専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・難病指定医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会
・日本小児皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会
・日本美容皮膚科学会

1. はじめに:鏡の中の小さな変化に気づいたあなたへ

朝の洗顔やメイクの際、入浴時、あるいはふとした瞬間に顔や、自分の
手のひら足の裏を見て、「あれ、こんな所にほくろなんてあったかな?
と手を止めたことはありませんか。

以前からあったほくろが濃くなったように感じたり、数が増えたりしていることに気づくと、
これってひょっとしてがんかも?
鏡を見るたびに不安がよぎるものです。

これまで皮膚科専門医として多くの患者さんを診てきた立場からお伝えすると、
ほくろは単なるチャームポイントではなく、肌が刻んできた歴史であり、
時には重要なメッセージを発信するサインでもあります。
その変化が自然な加齢によるものなのか、それとも医学的な介入が必要なSOS、
つまりほくろのがん、つまり悪性黒色腫(メラノーマ)なのか。

このブログでは、皮膚科専門医・医学博士の知見に基づき、
急に増えたほくろの正体と、
あなたの命を守るためのチェック基準を詳しく解説します。

▲ 目次に戻る

2. ほくろが増えるメカニズム:大人の「急な変化」の背景

ほくろの正体は、医学的には「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」や「色素性母斑」と呼ばれる
良性の腫瘍です。
これは、メラニン色素を作り出す「メラノサイト」から分化した「母斑細胞」が、
皮膚の一部に局所的に密集することで形成されます。

通常、ほくろの多くは幼少期から思春期にかけて現れますが、
成人以降に「増えた」と感じる場合には、特有の生物学的要因が関係しています。

  • 蓄積されたダメージと「定着」:
    30代から40代以降にほくろが目立ち始める大きな理由は、長年の紫外線ダメージの蓄積、つまり老化現象が原因と考えられています。
  • ホルモンバランスの揺らぎ:
    妊娠、出産、更年期といったライフステージの変化は、メラノサイトの活動を大きく左右します。
    ホルモンの影響によって、新しいほくろができるだけでなく、
    既存のほくろの色が急に濃くなる
    といった変化が生じることも少なくありません。
  • 遺伝的背景:
    両親にほくろが多い場合、遺伝的な体質として母斑細胞が集まりやすい傾向を遺伝で引き継いでいることがあります。

▲ 目次に戻る

3. 命を守るセルフチェック:「ABCDEルール」と日本人の特徴

増えたほくろの中で最も警戒、注意すべきは、皮膚がんの一種である
悪性黒色腫(メラノーマ)」です。
早期発見のために国際的に用いられている「ABCDEルール」を知っておくことは便利です。

特に日本人の場合、メラノーマは
手のひら、足の裏、爪
といった部位に発生しやすいという特徴があるため、これらの場所の変化には細心の注意が必要です。

  • A(Asymmetry:左右非対称):
    形がいびつで、中心で分けたときに左右が対照的でない。
  • B(Border:境界不明瞭):
    縁がギザギザしていたり、周囲との境界がぼやけて滲んでいたりする。
  • C(Color:色むら):
    黒、茶、赤、白など、複数の色が混じってまだらに見える。
  • D(Diameter:直径6mm以上):
    大きさが6mmを超えている。
  • E(Evolution:急激な変化):
    数週間から数か月という短期間で、形、色、大きさが変化したり、出血やかゆみを伴うようになったりする。
  • E(Elevation:盛り上がり):
    今まで平らだったほくろが急に盛り上がってきた

また「他のほくろと比べて明らかに異質に見える(Ugly Duckling Sign)」場合は注意が必要です。

受診の目安

一つでも当てはまる項目がある場合や、摩擦の多い部位に急激な変化を感じた場合は、自己判断せず、
ダーモスコピー(皮膚拡大鏡)検査
組織検査(皮膚生検)
が可能な皮膚科専門医を受診してください。

▲ 目次に戻る

4. 紫外線対策の盲点:反射光のリスク

ほくろの発生を抑えるための最大の防御策は紫外線対策ですが、夏場だけ、あるいは日差しの強い日だけでは不十分です。
紫外線は一年中降り注いでいるだけでなく、「反射」によってもその威力が増幅されます。

例えば、海水浴場の砂浜やスキー場の雪面は紫外線を強く反射し、あらゆる角度から肌にダメージを与えます。
これらはメラノサイトを強く刺激し、新たなほくろの形成を促す直接的な要因となります。
日焼け止め、帽子、衣類による物理的ガードを、季節や天候を問わず習慣化することが、将来の肌を守ることにつながります。

▲ 目次に戻る

5. 専門医によるスマートな除去手術と回復プロセス

「自分でほくろを取る」という誤った情報がネットで見られますが、これは極めて危険です。
深い傷跡が残るだけでなく、もしそれが悪性であった場合、適切な診断の機会を
逃し
病気の進行を許すことになります。
現代の皮膚科・形成外科では、サイズや部位に応じた緻密な治療が選択可能です。

  1. くり抜き法(トレパン、パンチ切除生検):
    1〜4mm程度のほくろに対し、専用の器具で円筒状にくり抜き、縫合する方法です。
    組織を確実に取り除き、病理検査を行うことができるため、
    最も確実な診断・治療法です。
    傷口が小さく、状態に応じて縫合や軟膏処置を選択します。
  2. 炭酸ガスレーザー:
    水分に反応するレーザーで組織を一瞬で蒸散させます。
    治療時間が短く、周囲組織への損傷を最小限に抑えられます。
    良性の可能性が高いほくろに対して行われます。
  3. 切除縫合(メス):
    5-6mm以上の大きなものや悪性が疑われる場合に適用されます。
    組織を確実に取り除き、病理検査を行うことができるため、
    最も確実な診断・治療法です。

【費用とダウンタイムの目安】

  • 費用:
    悪性の疑いがある等、医学的に必要な場合は「保険適用」となり、
    3割負担で約10,000円〜20,000円が目安です。
    美容目的の自由診療の場合、大阪の花ふさ皮ふ科(千里中央花ふさ皮ふ科、江坂駅前花ふさ皮ふ科、みのお花ふさ皮ふ科)では
    11,000円から炭酸ガスレーザー治療が可能です。※自費となります
    同日に複数のほくろを除去する場合は
    2個目からは6,600円で炭酸ガスレーザー治療が可能です。
  • 経過:
    施術後2週間ほどで桃色の新しい肌が現れます。
    その後、6か月〜1年の時間をかけて本来の肌の色へと馴染んでいきます。

▲ 目次に戻る

6. まとめ:あなたが一生健康な肌で過ごすために

ほくろの変化は、単なる加齢現象ではなく、あなたの肌が受けてきた環境の影響や体内の変化を映し出す鏡なのです。
ほくろに見える黒色の斑点の中には、ほくろではない、
悪性黒色腫(メラノーマ)有棘細胞癌基底細胞癌などの皮膚癌が混ざっている可能性があります。

「たかがほくろ」と放置せず、正しく検査し、皮膚科専門医の知見に頼ることは、将来の健康を守る賢明な選択です。

医学の進歩により、今やほくろの悩みは最小限のリスクで解決できる時代です。
気になるサインを見つけたなら、皮膚科専門医に気軽に相談してください。

▲ 目次に戻る

よくある質問 FAQ

Q1.
急にほくろが増えることはありますか?

A1.はい、あります。特に30代以降は、長年の紫外線ダメージの蓄積やホルモンバランスの変化により、新しいほくろが目立つことがあります。
多くは良性ですが、急な変化がある場合は注意が必要です。

 

Q2.
大人になってできたほくろは危険ですか?

A2.必ずしも危険ではありませんが、成人後に出現し、短期間で大きさや色が変わるほくろは、皮膚がんとの鑑別が必要な場合があります。
自己判断せず皮膚科での診察をおすすめします。

 

Q3.
悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け方は?

A3.国際的に用いられている「ABCDEルール」が目安になります。
左右非対称、境界不明瞭、色むら、直径6mm以上、急激な変化がある場合は要注意です。
日本人では手のひら・足の裏・爪の変化にも注意が必要です。

 

Q4.
ほくろがかゆい、出血するのは大丈夫?

A4.かゆみや出血、痛みを伴うほくろは注意が必要です。
摩擦だけが原因の場合もありますが、悪性腫瘍の可能性も否定できないため、早めに皮膚科を受診してください。

 

Q5.
自分でほくろを取ってもいいですか?

A5.いいえ、非常に危険です。自己処理は傷跡が残るだけでなく、悪性の場合に正しい診断ができなくなります。
ほくろの除去は、必ず皮膚科専門医のもとで行いましょう。

 

Q6.
ほくろ除去は保険適用になりますか?

A6.悪性の疑いがある、または医学的に必要と判断された場合は保険適用になります。
一方、美容目的の場合は自由診療となり、治療法や費用は医療機関によって異なります。

 

Q7.
ほくろを増やさないためにできることは?

A7.日常的な紫外線対策が最も重要です。日焼け止めだけでなく、帽子や衣類による物理的防御を一年中意識することで、
新しいほくろの発生リスクを抑えることができます。

▲ 目次に戻る

参考論文

  1. ほくろのABCDEルールについて

Nachbar F, et al.
The ABCD rule of dermatoscopy. High prospective value in the diagnosis of doubtful melanocytic skin lesions.
J Am Acad Dermatol. 1994 Apr;30(4):551-9.

  1. 「ほくろが多い=メラノーマリスクが高い」について

Bauer J, Garbe C.
Acquired melanocytic nevi as risk factor for melanoma development. A comprehensive review of epidemiological data.
Pigment Cell Res. 2003 Jun;16(3):297-306

  1. 「良性のほくろが悪性黒色腫」に変化することについての分子レベルの連続性を解説した論文

Shreberk-Hassidim R, et al.
The Complex Interplay between Nevi and Melanoma: Risk Factors and Precursors.
Int J Mol Sci. 2023 Feb 10;24(4):3541.

 

皮膚科専門医による正確な診断が、不要な心配を取り除き、万が一の場合の早期発見につながります。もし足の裏のホクロが心配な場合は、千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科を受診ください。

 

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科では「ほくろ専門外来」を設けております。

保険のご予約より「ほくろ専門外来」をご選択ください。

保険診察のご予約はこちら

関連ページ

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科の形成外科手術

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科のほくろ除去

 

動画でも詳しく解説しています。