春の訪れとともに顔がチクチクかゆくなってきていませんか?
それは単なる冬の乾燥を引きずっているわけではなく、空中を飛散している花粉に対する皮膚のアレルギー症状、いわゆる「花粉皮膚炎(花粉症皮膚炎)」かもしれません。

本記事では、大阪の花ふさ皮ふ科グループ、皮膚科専門医・アレルギー専門医の花房崇明が、医学的根拠(エビデンス)に基づいて花粉皮膚炎を解説します。

監修者:花房崇明

監修者
理事長:花房崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院)
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本アレルギー学会アレルギー専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・難病指定医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会
・日本小児皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会
・日本美容皮膚科学会

 

 

1. 症状:鼻や目より先に「皮膚」に症状が出ることも

花粉症といえば、くしゃみや鼻水、目のかゆみを想像しますが、実は皮膚のチクチクとしたかゆみがそれらに「先行して」現れるケースがあります。

特におでこや上まぶた、目の周りといった皮膚の薄い部位は、空気中の花粉の影響を最もダイレクトに受けやすいため、症状が出やすい部位になります。

 

 

2. 原因:空中を飛散する花粉粒子に対する「かぶれ」

アレルギー専門医の視点では、乾燥する冬の間の「バリア機能の低下」が最大の要因です。冷たく乾いた空気に晒され続けた皮膚は、無防備でかぶれやすい状態になっています。

そこに花粉粒子が付着するとすぐにかぶれてしまう、いわば【空中を飛散する花粉粒子に対する接触皮膚炎】なのです。そのため、乾燥肌の人やアトピー性皮膚炎の人が発症しやすいのが特徴です。
(実は筆者の花房崇明も毎年春先に花粉皮膚炎に悩まされています。)

 

皮膚科専門医の知見:
「鼻水が出ないから花粉症ではない」と自己判断し、ただの肌荒れとして放置するのは危険です。

わずかな赤みやくすぐったいようなチリチリ感は、初期症状で慢性化すると治るのに数ヶ月かかることもあるため、早期の予防・治療が重要です。

【症例写真】花粉皮膚炎の代表的な症状

※1

左頬にかゆみを伴う境界不明瞭な(ぼんやりとした)紅斑(赤み)が出ている状態。


両まぶた周囲に境界不明瞭な(ぼんやりとした)紅斑(赤み)が出ている状態。

専門医の視点:
このように「はっきりとした境界がない、ぼんやりとした赤み」が、おでこや頬、目の周りに出るのが花粉皮膚炎の典型的な特徴です。

「私もこれかも?」と思ったら早めの受診を

放置すると悪化・長期化する恐れがあります。
皮膚科専門医による適切な治療で早期改善を目指しましょう。

専門医に相談する(WEB予約)

 

3. 検査:血液検査による原因の特定

「スギ」や「ヒノキ」に対する特異的IgE抗体を持っているかは血液検査で確認可能です。スギ花粉にアレルギーがある方は、ヒノキにも反応する(交叉反応)ことが多々あります。

  • スギ花粉のみ: 2,540円(3割負担で約760円
  • スギ・ヒノキの2項目: 3,640円(3割負担で約1,090円

※別途、判断料などがかかります。48項目を一度に調べるMAST48検査の詳細はこちらをご覧ください。

 

 

4. 治療:皮膚科専門医による適切な処方

湿疹の部位や程度に合わせて以下の処方を行います。

  • 外用療法: 目の周りにはプレドニン眼軟膏、顔にはロコイド軟膏などのステロイド外用剤や適切な保湿剤。
  • 内服療法: かゆみが強い場合、デザレックスなどの抗アレルギー薬の内服。

【専門医のアドバイス:塗り薬の適量(FTU)】

塗り薬は1日2回、「少し光るくらい」「ティッシュが少しくっつくくらい」が適切な目安です。この量を守ることで薬の効果を最大限に引き出せます。

 

 

5. 日常生活の注意点や予防方法

  • 物理的防御: 外出時はマスクや花粉対策メガネで肌をガード。
  • 環境調整: 洗濯物は部屋干しを徹底し、室内に花粉を入れない。
  • 適切な洗浄: 帰宅後は速やかに洗顔を。ただし、「洗いすぎ」はバリア機能を壊すため厳禁です。

 

 

FAQ よくある質問

Q1. 鼻水や目のかゆみがなくても、花粉皮膚炎になりますか? ▼
A. はい、なります。典型的な症状(鼻・目)が全くなくても、顔や首だけに湿疹が出るケースは十分にあります。春先に顔がチクチクかゆい場合は皮膚科専門医への相談をおすすめします。
Q2. 市販の保湿クリームだけで治りますか? ▼
A. 軽度なら改善することもありますが、赤みや強い痒みは炎症(アレルギー反応)が起きています。その場合はステロイド外用剤などの適切な治療薬が必要になるため、自己判断せず受診してください。
Q3. 洗顔は1日に何度もしたほうが良いですか? ▼
A. いいえ、洗いすぎは禁物です。帰宅直後の洗顔は有効ですが、過度な洗顔は肌のバリア機能をさらに低下させ、逆効果になる恐れがあります。洗顔後は、必ず十分な保湿を行ってください。
Q4. なぜ「目の周り」に症状が出やすいのですか? ▼
A. 目の周りの皮膚は非常に薄く、バリア機能がもともと弱いためです。また、瞬きなどで常に動く場所であるため、皮膚やまつ毛などに付着した花粉による刺激を非常に受けやすい部位といえます。
Q5. 症状が治まったら、薬はやめてもいいですか? ▼
A. 見た目が良くなっても、肌のバリア機能が完全に回復するまでには時間がかかります。再発を防ぐため、アレルギーシーズンが終わるまでは継続的な保湿ケアを続けることが重要です。

 

 

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メディア掲載実績

皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブルライセンスを持つ花房崇明は、読売テレビ「かんさい情報ネットten.」や「朝生ワイド す・またん!」、関西テレビ「報道ランナー」、OHK岡山放送「OHKプライムニュース」等で花粉皮膚炎の解説や症例提供を行っています。

 

参考論文

  1. Thomas Werfel, et al., Exacerbation of atopic dermatitis on grass pollen exposure in an environmental challenge chamber. J Allergy Clin Immunol. 2015 Jul;136(1):96-103.e9.
  2. Hiroo Yokozeki, et al., Contact Airborne contact dermatitis due to Japanese cedar pollenDermatitis. 2007 Apr;56(4):224-8.
  1. Swinnen I, et al., An update on airborne contact dermatitis: 2007-2011.Contact Dermatitis. 2013 Apr;68(4):232-8.