エクロックゲル(有効成分:ソフピロニウム臭化物)は、脇の多汗症(原発性腋窩多汗症)に対して公的医療保険が適用される処方外用薬で、医療機関でのみ処方を受けられます(市販では購入できません)。同じく保険適用の外用薬であるラピフォートワイプ(有効成分:グリコピロニウム)とあわせて、脇汗に悩む方にとって受診のハードルが低い治療選択肢として注目されています。ただし、どちらも汗の量を抑えることが主な目的であり、においの主因であるアポクリン腺への効果には限界があります。本記事では、千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科の理事長・皮膚科専門医 花房崇明が、塗り薬の使い方・効果・副作用から、塗り薬だけでは不十分なときの次の選択肢まで、医療広告ガイドラインに沿ってわかりやすく解説します。
目次
原発性腋窩多汗症(脇汗)とは?
原発性腋窩多汗症とは、全身疾患や薬剤など明らかな原因がなく、脇(腋窩)に過剰な発汗が生じる状態を指します。日常生活や社会活動に支障をきたすほどの脇汗が特徴で、精神的なストレスや緊張で悪化しやすいとされています。
脇汗を出す主な汗腺はエクリン腺です。一方、脇のにおい(腋臭症・ワキガ)の主因となるのはアポクリン腺から分泌される汗が皮膚の常在菌に分解されることで生じます。「汗の量が多い」という多汗症と「においが強い」という腋臭症は、原因となる汗腺が異なるため、治療のアプローチも区別して考えることが大切です。
脇汗(多汗症)の主因はエクリン腺、ワキガ(腋臭症)の主因はアポクリン腺です。どちらに悩んでいるかによって、適切な治療法が異なります。まずは皮膚科専門医への受診で正確に判断してもらいましょう。
エクロックゲル・ラピフォートワイプとは?保険適用の処方外用薬
エクロックゲルとラピフォートワイプは、いずれも原発性腋窩多汗症に対して公的医療保険が適用される処方外用薬です。薬局・ドラッグストアでは購入できず、医療機関での診察・処方が必要です。
エクロックゲル(ソフピロニウム臭化物)
エクロックゲルの有効成分であるソフピロニウム臭化物は、汗腺(エクリン腺)に作用してアセチルコリンの働きを抑えることで、発汗を抑制します。1日1回、就寝前に脇に塗布するタイプのゲル剤です。2020年に日本で承認・発売され、原発性腋窩多汗症への保険処方薬として広く使われるようになりました。
ラピフォートワイプ(グリコピロニウム)
グリコピロニウムを有効成分とするラピフォートワイプは、ワイプ(拭き取りシート)タイプの外用薬です。エクロックゲルと同様に抗コリン作用によって発汗を抑制し、原発性腋窩多汗症に保険適用となっています。1日1回、シートで脇を拭くだけという手軽さが特徴です。
| 項目 | エクロックゲル | ラピフォートワイプ |
|---|---|---|
| 有効成分 | ソフピロニウム臭化物 | グリコピロニウム |
| 剤形 | ゲル(塗り薬) | ワイプ(拭き取りシート) |
| 使用頻度 | 1日1回(就寝前) | 1日1回 |
| 保険適用 | あり(原発性腋窩多汗症) | あり(原発性腋窩多汗症) |
| 市販購入 | 不可(処方箋が必要) | 不可(処方箋が必要) |
使い方・効果が出るまでの期間
どちらの薬も継続使用によって徐々に効果が現れるとされています。一般的に、使用開始から数週間〜1〜2か月ほどで発汗量の変化を実感できる場合が多いとされていますが、効果の出方には個人差があります。
【やってはいけないNG行動】
- 効果を早めようと1日に複数回塗布・使用する(副作用リスクが高まります)
- 処方された量を大幅に超えて使用する
- 傷・炎症がある皮膚に使用する
- 目・口・粘膜に触れないようにする(抗コリン作用の影響が出る可能性があります)
- 自己判断で急に使用をやめる(医師に相談してから)
副作用・注意点
エクロックゲル・ラピフォートワイプはいずれも抗コリン作用を持つため、局所・全身に副作用が現れる場合があります。使用前に医師・薬剤師から十分な説明を受けてください。
主な副作用(一例)
- 塗布部位のかゆみ・刺激感・皮膚炎(局所副作用)
- 口の渇き(口渇)
- 排尿困難・尿閉(前立腺肥大症がある方は特に注意)
- 便秘・腹部膨満感
- 視力のぼやけ・散瞳
緑内障・前立腺肥大症・重篤な心疾患がある方は使用できない場合があります。妊娠中・授乳中の方も事前に必ず医師に申告してください。副作用が気になる場合はすぐに使用を中止し、処方した医療機関に相談しましょう。
塗り薬の限界:においには効きにくい理由
エクロックゲル・ラピフォートワイプはエクリン腺の発汗を抑えることを主な目的とした薬剤です。そのため、脇汗の量を減らす効果は期待できる一方で、ワキガ(腋臭症)の主因であるアポクリン腺への直接的な効果には限界があります。
においが主な悩みの方、または塗り薬を継続しても汗・においが十分に改善しない方には、ボトックス注射・ミラドライ・手術(剪除法)といった別のアプローチが選択肢になります。
脇汗・ワキガ治療の選択肢を比較
脇汗・ワキガの治療法は複数あり、それぞれ保険適用の有無・対象・特徴が異なります。自分の悩みに合った治療を選ぶために、まずは皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
| 治療法 | 保険適用 | 主な対象 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| エクロックゲル/ラピフォートワイプ(塗り薬) | あり(原発性腋窩多汗症) | 脇汗(エクリン腺) | 処方薬・市販不可。においへの効果は限定的。継続使用が必要 |
| ボトックス注射 | 重症例では保険適用の場合あり | 脇汗(エクリン腺) | 効果は数か月程度。繰り返し治療が必要 |
| 手術(剪除法・反転剪除法) | あり(腋臭症等) | ワキガ(アポクリン腺) | アポクリン腺を直接除去。効果は高いが切開・ダウンタイム・傷跡あり |
| ミラドライ | なし(自由診療・公的医療保険適用外) | 脇汗・ワキガ両方 | 切らずに汗腺にアプローチ。厚労省承認医療機器。ダウンタイムは手術より比較的軽め。効果・持続に個人差あり |
ミラドライは厚生労働省承認の医療機器を使用した治療ですが、公的医療保険は適用されない自由診療です。費用は範囲・回数・プランによって異なりますので、詳細は各院のページまたは診察時にご確認ください。医療費控除の対象になる場合があります(詳細はクリニックにお問い合わせください)。
ミラドライとはどんな治療か
ミラドライは、脇の皮膚にマイクロ波を照射し、汗とにおいの原因となるエクリン腺・アポクリン腺の両方にアプローチできる「切らない」ワキ汗・ワキガ治療です。ダメージを受けた汗腺は再生しにくいとされており、長期的な効果が期待できますが、効果・持続期間には個人差があり、残存・再発の可能性もあります。施術後には腫れ・内出血・痛み・一時的なしびれや感覚の鈍さが生じることがあります。まれに一時的な神経症状が出ることもあります。局所麻酔・冷却などで痛みを和らげながら施術を行います。
当院でのミラドライ治療について
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市・千里中央駅徒歩約5分)および江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科では、厚生労働省承認のミラドライ医療機器を用いたワキ汗・ワキガ治療を提供しています(みのおキューズモール院では実施しておりません)。
理事長の花房崇明はミラドライ認定医・皮膚科専門医・アレルギー専門医であり、多汗症に関する講演実績もあります。塗り薬(エクロックゲル・ラピフォートワイプ)による保険治療から、ミラドライなどの自由診療まで、患者さんの症状・ご希望に合わせた治療プランを一緒に考えます。千里中央・豊中・吹田・江坂エリアでワキ汗・ワキガにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
ミラドライは、花ふさ皮ふ科グループの千里中央・江坂の2院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
理事長はミラドライ認定医で、多汗症の講演実績もある皮膚科専門医です。ワキ汗・ワキガの保険診療(塗り薬・ボトックス・手術)から、切らない自由診療のミラドライまで、症状やご希望に合わせてご提案します。※みのお花ふさ皮ふ科ではミラドライは行っていません。
ワキ汗・ワキガの「切らない」治療ミラドライは花ふさ皮ふ科グループへ
ミラドライは厚生労働省承認の医療機器によるワキ汗・ワキガ治療です(※公的医療保険適用外の自由診療)。ミラドライ認定医・皮膚科専門医が診察します。ご予約は各院のWEB予約から(みのお院はミラドライ非対応です)。
まとめ
まとめ|脇汗・ワキガは皮膚科専門医にご相談を
エクロックゲル・ラピフォートワイプは、原発性腋窩多汗症に保険適用の処方外用薬として、脇汗治療の第一歩として有効な選択肢です。ただし市販では購入できず、医療機関での診察・処方が必要です。また、においが主な悩みの場合や、塗り薬だけでは効果が不十分な場合には、ボトックスやミラドライ(自由診療)、手術といった他の治療法も検討できます。
- エクロックゲル・ラピフォートワイプ:原発性腋窩多汗症に保険適用。処方薬のため受診が必要。エクリン腺の発汗を抑えるが、においへの効果は限定的
- 副作用:かゆみ・刺激感・口の渇き・排尿困難などに注意。持病がある方は事前に申告を
- においが主な悩みの場合:アポクリン腺にアプローチできる治療(ミラドライ・手術)を検討
- ミラドライ:厚労省承認の医療機器を使用した自由診療(公的医療保険適用外)。切らずに汗腺にアプローチ。効果・持続には個人差あり
- 最終的な診断・治療方針は必ず医師の診察を受けたうえで決定してください
本記事は、千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科 理事長・医学博士(大阪大学大学院)・日本皮膚科学会皮膚科専門医 花房 崇明 が監修しています。
ワキ汗・ワキガ・ミラドライについてもっと知る(関連記事)
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FAQ(よくある質問)
Q1:エクロックゲルとラピフォートワイプは市販で買えますか?
A.
いいえ、どちらも処方箋が必要な医療用医薬品です。ドラッグストアや通販では購入できません。皮膚科などの医療機関を受診し、医師の診察・処方を受けることで使用できます。
Q2:エクロックゲルは保険が使えますか?費用はどのくらいですか?
A.
原発性腋窩多汗症と診断された場合、エクロックゲル・ラピフォートワイプともに公的医療保険が適用されます。実際の自己負担額は保険の種類(1〜3割負担)や処方量によって異なります。詳しくは受診先の医療機関にお問い合わせください。
Q3:塗り薬でワキガのにおいも改善できますか?
A.
エクロックゲル・ラピフォートワイプは主にエクリン腺(汗の量)に作用する薬剤です。ワキガ(腋臭症)の主因はアポクリン腺から出る汗が細菌に分解されることで生じるため、塗り薬だけでにおいを大幅に改善することには限界があります。においが主な悩みの場合は、アポクリン腺にアプローチできるミラドライや手術(剪除法)などを皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
Q4:ミラドライは保険が使えますか?
A.
ミラドライは厚生労働省承認の医療機器を使用した治療ですが、公的医療保険は適用されない自由診療(保険適用外)です。費用は治療範囲・回数・プランによって異なります。医療費控除の対象になる場合がありますので、詳細はクリニックにご確認ください。
Q5:ミラドライのダウンタイムはどのくらいですか?
A.
施術後には数日〜数週間程度、腫れ・内出血・違和感・一時的なしびれや感覚の鈍さが生じることがあります。手術(剪除法)と比べるとダウンタイムは比較的軽めとされていますが、個人差があります。まれに一時的な神経症状が出ることもあります。詳しくは診察時に医師にご確認ください。
Q6:エクロックゲルを使い始めてどのくらいで効果が出ますか?
A.
一般的に、使用開始から数週間〜1〜2か月ほどで発汗量の変化を実感できる場合が多いとされていますが、効果の出方には個人差があります。自己判断で使用を中断せず、効果や副作用について定期的に医師に相談しながら継続することが大切です。













