TCAクロス(TCA CROSS法)とは、トリクロロ酢酸(TCA)をニキビ跡の深い凹みにピンポイントで塗布し、創傷治癒の働きによって凹みを浅くすることを目的とする美容皮膚科治療です(※公的医療保険適用外)。なかでもアイスピック型(Icepick scars)と呼ばれる「深く狭いクレーター」は、レーザーや美容ローラーでは届きにくい形状のため、TCAクロスが特に適した選択肢のひとつとされています。本記事では、ニキビ跡クレーターの種類の見分け方から、TCAクロスの仕組み・施術の流れ・リスク・他治療との比較まで、日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士の花房崇明理事長が監修のもと詳しく解説します。

監修者:花房 崇明

監修医師

理事長:花房 崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院) / 日本皮膚科学会皮膚科専門医

・日本アレルギー学会アレルギー専門医 / 日本抗加齢医学会専門医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会 / 日本美容皮膚科学会 等

目次

ニキビ跡クレーターの3タイプ|あなたの跡はどれ?

ニキビ跡のクレーター(萎縮性瘢痕:いしゅくせいはんこん)は形状によって大きく3種類に分類されます。タイプによって適した治療法が異なるため、まず自分の跡がどれに近いかを把握することが大切です。

タイプ形状の特徴深さ・幅
アイスピック型
(Icepick scars)
氷を割るキリのような、細く深い穴深い/幅2mm以下が多い
ボックスカー型
(Boxcar scars)
縁がはっきりした四角〜楕円形のくぼみ浅〜中程度/幅広め
ローリング型
(Rolling scars)
波打つようになだらかな凹凸浅め/広範囲

実際には複数のタイプが混在していることも多く、最終的な判断は医師の診察で行います。自己判断だけで治療法を選ぶのは避けましょう。

アイスピック型の特徴と治療が難しい理由

アイスピック型ニキビ跡は、ニキビ跡クレーターのなかでも治療難易度が高いタイプとされています。その理由を理解しておくと、治療法の選択がしやすくなります。

なぜ治療しにくいのか

  • 真皮深層〜皮下組織にまで達する深さがあるため、表面からのアプローチだけでは届きにくい
  • 開口部が非常に狭い(2mm以下)ため、レーザーや美容ローラーのエネルギーが凹みの底部まで均一に伝わりにくい
  • 毛包(もうほう)の構造が破壊されていることが多く、組織の再構築に時間がかかる

こうした特性から、アイスピック型には「表面を広く照射する」アプローチよりも、凹みの内部に直接作用できる治療が適していると考えられています。

TCAクロスとは?アイスピック型に向いている理由

TCAクロス(Chemical Reconstruction of Skin Scars)は、濃度の高いトリクロロ酢酸(TCA)を細い器具で凹みの内部に塗布する治療法です。当院では濃度50%のTCAを使用しています。

作用のメカニズム

TCAが凹みの内壁に塗布されると、局所的なタンパク質変性(凝固壊死)が起こります。その後、創傷治癒の過程でコラーゲンが新たに産生され、凹みが内側から押し上げられるように浅くなることが期待できます。

アイスピック型に向いている3つの理由

  • ピンポイント塗布:細い器具で凹みの底部まで薬剤を届けられるため、深く狭い形状に対応しやすい
  • 周囲の正常皮膚を傷つけにくい:凹み以外の部位に薬剤が広がりにくい
  • ボックスカー型・ローリング型にも対応可:アイスピック型が最適ですが、他のタイプにも適用できます

1回の施術でおおよそ2割程度の改善が目安とされています(個人差があります)。5回以上・約4週間ごとの施術を推奨しており、複数回の継続が改善につながると考えられています。

当院のTCAクロス|施術の流れ・料金・ダウンタイム

施術の流れ

  1. カウンセリング・診察:ニキビ跡のタイプ・深さを確認し、適応を判断します
  2. 洗顔・クレンジング:施術部位を清潔にします
  3. TCA塗布:細い器具で凹み1か所ずつにTCAをピンポイント塗布。基本的に麻酔は不要です。施術時間は約10分が目安です
  4. 施術後:塗布後2〜3時間で洗顔が可能です

ダウンタイムと注意点

  • 塗布部位にかさぶたが形成され、通常1週間以内に自然に剥がれます
  • 一時的な赤み・腫れ・痛みが生じることがあります
  • 施術後は紫外線対策(日焼け止め・帽子など)を徹底してください。紫外線は炎症後色素沈着のリスクを高めます

【やってはいけないNG行動】

  • かさぶたを無理に剥がす(瘢痕のリスクが高まります)
  • 施術後すぐの激しい運動・サウナ・飲酒(炎症が悪化する場合があります)
  • 日焼け止めを塗らずに外出(色素沈着リスクが高まります)

リスク・副作用

赤み、かさぶた、炎症後色素沈着(通常2〜3か月程度で改善していくことが多いとされています)、まれに瘢痕が生じる可能性があります。CO2レーザーと併用した場合は、赤みや色素沈着が3〜6か月続く場合があります。気になる症状が出た場合はすみやかにご相談ください。

料金(税込・自由診療/公的医療保険適用外)

施術範囲料金(税込)
10か所まで11,000円/回
11〜20か所22,000円/回
22,000円/回
こめかみ22,000円/回
両頬44,000円/回
全顔55,000円/回

他治療との比較|TCAクロスはどう位置づけられる?

ニキビ跡クレーターの治療法はTCAクロス以外にも複数あります。それぞれに特徴があり、どれが適切かは跡のタイプや深さ、肌状態によって異なります。以下はあくまで一般的な特徴の比較です。

治療法主な対象タイプアプローチダウンタイム目安
TCAクロスアイスピック型(ボックスカー・ローリングも可)薬剤を凹みに直接塗布約1週間(かさぶた)
ダーマペンローリング型・ボックスカー型微細な針で真皮を刺激数日〜1週間程度
フラクショナルレーザーボックスカー型・ローリング型レーザーで真皮を再構築数日〜2週間程度
サブシジョンローリング型皮下の線維束を切断数日〜1週間程度(内出血あり)
ジェネシス(Nd:YAGレーザー)赤み・毛穴・軽度クレーター真皮加温によるコラーゲン産生ほぼなし

各治療に優劣はなく、跡のタイプ・深さ・数・肌質・ライフスタイルなどを総合的に判断して選択します。「どの治療が自分に合うか」は医師のカウンセリングでご確認ください。

併用治療の考え方

実際のクレーター治療では、複数の治療を組み合わせることで、より広い範囲・多様なタイプに対応できると考えられています。

TCAクロス+ダーマペンの組み合わせ

アイスピック型にはTCAクロスで深い凹みを内側から改善しつつ、周囲のなだらかな凹凸やボックスカー型にはダーマペンでアプローチするという組み合わせが検討されることがあります。ただし、同日施術か間隔を空けるかは肌の状態によって異なるため、必ず医師の判断のもとで行います

TCAクロス+フラクショナルCO2レーザー

CO2レーザーとの併用では、赤みや色素沈着が3〜6か月続く場合があります。ダウンタイムが長くなる点を踏まえたうえで、医師と相談しながら計画を立てることが大切です。

受診の目安|こんな方はご相談を

以下に当てはまる方は、一度皮膚科専門医への相談をご検討ください。

  • ニキビが落ち着いたのに深い穴状のクレーターが残っている
  • 市販のスキンケアを続けているがクレーターが改善しない
  • 自分のニキビ跡がどのタイプか判断できない
  • 過去に他のクレーター治療を受けたが効果を実感しにくかった

千里中央・豊中・吹田エリアにお住まいの方は、千里中央駅から徒歩約5分の千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科にお気軽にご相談ください。皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブル資格を持つ花房崇明理事長(医学博士)が、お一人おひとりの肌状態に合わせた治療方針をご提案します。

まとめ

まとめ|アイスピック型ニキビ跡にはTCAクロスが選択肢のひとつ

アイスピック型ニキビ跡は深く狭い形状のため、表面からのアプローチだけでは改善が難しいケースがあります。TCAクロスは濃度50%のTCAを凹みの内部にピンポイントで塗布し、創傷治癒を利用して改善を目指す治療です。

  • 対象:アイスピック型が最適。ボックスカー型・ローリング型にも対応可
  • 施術時間:約10分、基本的に麻酔不要
  • 改善目安:1回でおおよそ2割程度(個人差あり)、5回以上・4週間ごとを推奨
  • ダウンタイム:かさぶたが約1週間以内に脱落。赤み・炎症後色素沈着に注意
  • 料金:10か所まで11,000円〜(税込・公的医療保険適用外)
  • アフターケア:紫外線対策の徹底が重要

どの治療法が適しているかは肌の状態によって異なります。最終的な診断・治療方針は必ず医師の診察を受けてご確認ください。

千里中央でTCAクロス(ニキビ跡クレーター治療)のご相談は花ふさ皮ふ科へ

深いニキビ跡(クレーター)でお悩みの方は、皮膚科専門医が状態を診察したうえで治療プランをご提案します。

TCAクロスのWEB予約はこちら

FAQ(よくある質問)

Q1:TCAクロスはアイスピック型以外のニキビ跡にも使えますか?

A.
はい、ボックスカー型やローリング型のニキビ跡にも対応できます。ただし、深く狭い形状のアイスピック型が最も適しているとされており、ボックスカー型・ローリング型には他の治療(ダーマペンやフラクショナルレーザーなど)との組み合わせが検討されることもあります。どの治療が適切かは医師の診察でご確認ください。

Q2:TCAクロスは何回受ければよいですか?

A.
当院では5回以上、約4週間ごとの施術を推奨しています。1回でおおよそ2割程度の改善が目安とされていますが、個人差があります。クレーターの深さや数によって必要な回数は異なるため、経過を見ながら医師と相談して進めることをおすすめします。

Q3:施術中・施術後の痛みはどの程度ですか?

A.
基本的に麻酔は不要な施術です。塗布時にチクッとした刺激や軽い灼熱感を感じる場合がありますが、多くの方は短時間で落ち着きます。施術後は一時的な赤みや腫れが生じることがあります。痛みが強い場合はお申し出ください。

Q4:炎症後色素沈着(黒ずみ)はどれくらいで改善しますか?

A.
炎症後色素沈着は通常2〜3か月程度で改善していくことが多いとされています。ただし、紫外線を浴びると色素沈着が長引くリスクがあるため、施術後は日焼け止めの使用や帽子・日傘などによる紫外線対策を徹底することが大切です。CO2レーザーとの併用時は3〜6か月続く場合があります。

Q5:TCAクロスと他のクレーター治療を組み合わせることはできますか?

A.
はい、ダーマペンやフラクショナルレーザーとの併用が検討されることがあります。アイスピック型にはTCAクロス、周囲のなだらかな凹凸にはダーマペンというように、タイプに応じて使い分けることで、より幅広い改善が期待できるとされています。ただし、同日施術か間隔を空けるかは肌の状態によって異なります。必ず医師の判断のもとで計画を立ててください。

Q6:TCAクロスの施術後、すぐにメイクはできますか?

A.
かさぶたが形成されている間は、施術部位への刺激を避けるため、メイクは控えめにするか施術部位を避けることをおすすめします。かさぶたが自然に剥がれた後は通常のメイクが可能ですが、詳しくは施術後に医師・スタッフにご確認ください。

Q7:千里中央花ふさ皮ふ科へのアクセスを教えてください。

A.
大阪府豊中市上新田2丁目24番50の1 上新田メディカルブリッジ2Fに位置し、千里中央駅から徒歩約5分です。駐車場も9台完備しており、千里中央・豊中・吹田エリアからアクセスしやすい立地です。ご予約はオンライン予約システムをご利用いただけます。