糸リフトとは、医療用の溶ける糸(吸収性スレッド)を皮下に挿入し、頬・顎下・フェイスラインのたるみを引き上げることを目指す美容医療です(※公的医療保険適用外)。切らないたるみ治療として注目を集める一方、デメリットやリスクについて十分に理解しないまま施術を受けてしまうケースも少なくありません。この記事では、糸リフトのメリットだけでなく、副作用・リスク・コスト・効果の持続期間について皮膚科専門医が率直に解説します。施術を検討中の方は、ぜひ最後までご一読ください。

監修者:花房 崇明

監修医師

理事長:花房 崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院) / 日本皮膚科学会皮膚科専門医

・日本アレルギー学会アレルギー専門医 / 日本抗加齢医学会専門医

・難病指定医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会 / 日本臨床皮膚科医会 / 日本美容皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会 等

目次

1. 糸リフトとは?(概要・仕組み)

糸リフト(スレッドリフト)は、体内で吸収される医療用の糸を皮膚の下に通し、たるんだ組織を物理的に引き上げる美容医療です。使用される糸の多くはポリジオキサノン(PDO)やポリL乳酸(PLLA)などの素材で作られており、数ヶ月〜1年程度かけて体内に自然吸収されます。

主な対象部位は頬・顎下・フェイスライン・ほうれい線・マリオネットラインで、局所麻酔下で施術が行われます。自由診療(※公的医療保険適用外)であり、使用する糸の種類や本数によって費用が異なります。

2. 糸リフトのメリット(簡潔に)

デメリットを正しく理解するために、まずメリットを簡潔に整理します。

  • 切開不要:外科的フェイスリフトと異なり、メスによる大きな切開が不要です。
  • 比較的短いダウンタイム:軽い腫れ・赤みは1〜2日程度で落ち着くことが多いとされています。
  • 局所麻酔下で施術可能:全身麻酔が不要で、施術当日に帰宅できる場合がほとんどです。
  • コラーゲン産生の促進:糸が吸収される過程で周囲組織のコラーゲン産生を促し、肌の引き締まりが期待できるとされています。

ただし、これらのメリットはあくまで「外科的フェイスリフトと比較した場合の相対的な利点」です。効果の程度や持続期間には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるわけではありません。

3. 糸リフトのデメリット・注意点

糸リフトには複数のデメリット・注意点があります。施術前に必ず把握しておきましょう。

① 効果は永続しない

糸リフトに使用される溶ける糸は、数ヶ月〜1年程度で体内に吸収されます。糸自体が吸収された後も、コラーゲン産生による引き締まり感が一定期間続く場合があるとされていますが、効果が永続するものではありません。たとえばテスリフトの場合、効果の持続はおよそ6ヶ月〜1年程度と考えられており、定期的なメンテナンスが必要です。「半永久」「一生もの」という認識は誤りですのでご注意ください。

② ダウンタイム中の生活制限

軽度の腫れ・赤みは比較的早く落ち着くことが多いものの、内出血が出た場合は目立つ期間が1〜2週間程度続くことがあります。施術後しばらくは激しい運動・飲酒・サウナ・顔への強いマッサージなどを控える必要があります。大切なイベントの直前の施術は避けることをお勧めします。

③ つっぱり感・違和感が続く場合がある

施術直後から数週間は、引きつれ感やつっぱり感、口を大きく開けたときの違和感を覚える方がいます。多くの場合は時間の経過とともに落ち着くとされていますが、個人差があります。

④ 個人差が大きい

リフトアップの効果は、皮膚の状態・たるみの程度・皮下脂肪の量・骨格・年齢・生活習慣などによって大きく異なります。施術直後に引き上がりを実感できる場合もありますが、効果の程度は個人差があり、一定の結果を保証するものではありません。

4. 想定される副作用一覧

糸リフトで想定される主な副作用を以下にまとめます。施術前に医師から十分な説明を受けることが重要です。

副作用・症状 頻度の目安 主な経過
腫れ・赤み 比較的よく見られる 多くは1〜2日程度で軽快
内出血 見られることがある 1〜2週間程度で改善することが多い
つっぱり感・違和感 見られることがある 数週間〜数ヶ月で落ち着くことが多い
かさぶた(挿入部位) 見られることがある 自然に剥がれることが多い
左右差 まれに 再施術や経過観察で対応
感染 まれ 抗生剤治療など医師の対応が必要
糸の露出・触知 まれ 医師による除去処置が必要な場合あり
引きつれ感の遷延 まれ 経過観察または処置が必要
効果不十分 個人差あり 本数追加・他治療との併用を検討

【施術後にやってはいけないNG行動】

  • 施術直後からの激しい運動・サウナ・長時間の入浴
  • 施術部位への強いマッサージや圧迫
  • 飲酒(腫れ・内出血を悪化させる可能性があります)
  • 医師の指示なく市販薬を使用すること
  • 気になる症状があっても自己判断で放置すること

月曜担当 — 森久美子先生のご紹介

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科では、月曜日に森久美子先生がスレッドリフト(糸リフト)のカウンセリング・施術を担当しております。お一人おひとりの肌の状態・たるみの程度・ご希望をていねいに伺ったうえで、最適な糸の種類(テスリフト・アルテミス・フィオラ)、本数、挿入位置をご提案します。

スレッドリフトのご相談は完全予約制です。WEB予約は24時間受け付けております。

5. まれに起こるトラブルとリスク

頻度は低いものの、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。リスクをゼロにすることはできませんが、適切なクリニック選びと術前・術後のケアで最小化を目指すことが重要です。

  • 感染:施術部位に細菌感染が起きた場合、抗生剤治療や糸の除去が必要になることがあります。
  • 糸の露出・触知:皮膚表面に糸が透けて見えたり、触れたりする場合があります。医師による除去処置が必要になることがあります。
  • 左右差:引き上がりの程度に左右差が生じる場合があります。
  • 引きつれ感の長期化:まれに引きつれ感・違和感が長期間続くことがあります。
  • 効果が想定より短期間で薄れる:皮膚の状態や生活習慣によっては、期待より早く効果が感じられなくなる場合があります。

6. コスト面の負担について

糸リフトは自由診療(※公的医療保険適用外)であり、費用は全額自己負担となります。当院(千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科)での費用の目安は以下の通りです。

糸の種類 1本あたりの費用(税込) 特徴
テスリフト 33,000円 PDO製・3Dメッシュ構造
アルテミスリフト 22,000円(ショート:16,500円) PDO+PLLA組み合わせ
フィオラスレッド 11,000円 PDO製・モールディング加工トゲ構造

上記に加え、手技料(局所麻酔・術後内服薬代込)が別途必要です。1〜6本の場合は44,000円(税込)、7〜12本の場合は66,000円(税込)となります。

たるみの程度や部位によっては複数本の使用が必要になるケースが多く、トータルコストが高額になる場合があります。また、効果の持続期間を考慮すると、定期的なメンテナンス費用も長期的には発生します。施術前に総費用をしっかり確認することが大切です。

7. 糸リフトが向かないケース

糸リフトはすべての方に適しているわけではありません。以下に該当する場合は、医師との十分な相談が必要です。

  • 重度のたるみがある方:皮膚のたるみが大きい場合、外科的フェイスリフト(切開リフト)の方が適していると判断されることがあります。糸リフトでは対応できる引き上げ量に限りがあります。
  • 皮下脂肪が非常に多い方:たるみの原因が脂肪量にある場合、糸リフトだけでは十分な改善が期待しにくいことがあります。
  • 感染症・免疫疾患がある方:感染リスクや創傷治癒の問題から、施術が適さない場合があります。
  • 妊娠中・授乳中の方:原則として施術はお勧めできません。
  • 効果に過度な期待がある方:糸リフトはあくまで「引き上げ効果が期待できる治療」であり、外科手術と同等の変化を求める場合は適応が異なります。

8. リスクを最小化するクリニック選びと医師との相談

糸リフトのリスクを最小化するためには、解剖学的知識と施術経験を持つ医師のいるクリニックを選ぶことが非常に重要です。以下のポイントを参考にしてください。

  • 施術前に十分なカウンセリングを行い、デメリット・リスクについて丁寧に説明してくれるか
  • 使用する糸の種類・本数・費用・術後のケア方法を事前に明示しているか
  • 術後のトラブル発生時に対応できる体制があるか
  • 皮膚科専門医など、皮膚・組織の専門知識を持つ医師が対応しているか

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科では、日本皮膚科学会皮膚科専門医・日本アレルギー学会アレルギー専門医のダブル資格を持つ花房崇明 理事長(医学博士・大阪大学大学院)が監修のもと、施術前のカウンセリングで適応の有無やリスクについて丁寧にご説明しています。千里中央駅から徒歩約5分とアクセスしやすい立地で、豊中・吹田エリアの方にもご利用いただいています。

9. まとめ

まとめ|糸リフトのデメリットを正しく理解したうえで検討を

糸リフトは切らずにたるみ改善を目指せる美容医療ですが、デメリットやリスクについて正確に理解することが大切です。

  • 効果は永続しない:溶ける糸は数ヶ月〜1年程度で吸収され、定期的なメンテナンスが必要です。
  • 副作用がある:腫れ・内出血・つっぱり感・かさぶたなどが起こりえます。まれに感染・糸の露出・左右差などのトラブルも。
  • 個人差が大きい:効果の程度や持続期間は皮膚状態・体質・生活習慣によって異なります。
  • コストが高い:自由診療で複数本必要になることが多く、手技料も別途かかります。
  • 重度のたるみには不向きな場合がある:外科的フェイスリフトが適切と判断されるケースもあります。

最終的な治療方針は、医師の診察を受けたうえでご判断ください。ご自身の状態や希望に合った治療法を選ぶために、まずは専門医へのご相談をお勧めします。

月曜の森久美子先生のスレッドリフトカウンセリングへ

ほうれい線・フェイスラインのたるみのお悩みは、スレッドリフト(糸リフト)を得意とする森久美子先生にご相談ください。当院では月曜日に森先生がスレッドリフトのカウンセリング・施術を担当しております。お一人おひとりに合わせた治療プランをご提案いたします。

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FAQ(よくある質問)

Q1:糸リフトの副作用はどのくらいの期間続きますか?

A.
腫れ・赤みは多くの場合1〜2日程度で軽快します。内出血が生じた場合は1〜2週間程度かかることがあります。つっぱり感や違和感は数週間〜数ヶ月続く場合がありますが、多くは時間の経過とともに落ち着くとされています。ただし個人差があるため、気になる症状が続く場合は施術を受けたクリニックに相談してください。

Q2:糸リフトの効果はどのくらい持続しますか?半永久的に続きますか?

A.
糸リフトに使用される溶ける糸は、数ヶ月〜1年程度で体内に自然吸収されます。効果の持続期間は糸の種類や個人の状態によって異なり、たとえばテスリフトではおよそ6ヶ月〜1年程度とされています。糸が吸収された後もコラーゲン産生による引き締まり感が一定期間続く場合があるとされていますが、「半永久」「一生もの」という認識は誤りです。効果を維持するためには定期的なメンテナンスが必要です。

Q3:糸リフトは重度のたるみにも効果が期待できますか?

A.
糸リフトで対応できる引き上げ量には限りがあります。皮膚のたるみが強い場合や、皮下脂肪が多い場合には、外科的フェイスリフト(切開リフト)の方が適していると判断されることがあります。ご自身のたるみの程度に合った治療法を選ぶためにも、まずは専門医による診察・カウンセリングを受けることをお勧めします。

Q4:糸リフトの費用はどのくらいかかりますか?

A.
糸リフトは自由診療(※公的医療保険適用外)のため、費用は全額自己負担となります。当院では糸の種類により1本あたり11,000円〜33,000円(税込)、別途手技料(局所麻酔・術後内服薬代込)として1〜6本の場合44,000円(税込)、7〜12本の場合66,000円(税込)が必要です。たるみの程度や部位によって必要な本数が異なるため、カウンセリング時にトータル費用をご確認ください。

Q5:糸リフトで感染や糸の露出が起きた場合はどうすればいいですか?

A.
感染や糸の露出はまれですが、起こりえるリスクのひとつです。施術部位に赤み・腫れ・痛みの増強・膿などの異常を感じた場合や、皮膚表面に糸が透けて見える・触れるといった症状が現れた場合は、自己判断で放置せず、速やかに施術を受けたクリニックに連絡・受診してください。感染の場合は抗生剤治療、糸の露出の場合は医師による除去処置が必要になることがあります。

Q6:糸リフトとフェイスリフト(切開リフト)はどう違いますか?

A.
糸リフトは溶ける糸を皮下に通してたるみを引き上げる方法で、切開が不要でダウンタイムが比較的短い反面、効果の持続期間に限りがあり、重度のたるみには対応が難しい場合があります。外科的フェイスリフト(切開リフト)は皮膚・組織を切開して引き上げる手術で、より大きな変化と長期的な効果が期待できるとされていますが、ダウンタイムや手術のリスクが伴います。どちらが適しているかはたるみの程度・年齢・ご希望によって異なるため、専門医との相談が重要です。

参考文献

1. Zhou X, Zhuang S. A meta-analysis of complications of thread lifting. Front Surg. 2026;13:1769458.(26研究2,827例のメタ解析。合併症の頻度は腫脹34%、皮下出血26%、糸の可視化・触知10%、皮膚のえくぼ7%、知覚異常5〜7%と報告されている)

2. Suh DH, Jang HW, Lee SJ, Lee WS, Ryu HJ. Outcomes of Polydioxanone Knotless Thread Lifting for Facial Rejuvenation. Dermatol Surg. 2015;41(6):720-725.(ポリジオキサノン(PDO)製スレッドによるリフトの成績。87%の症例で結果は満足できるものであり、合併症の頻度は低く重篤ではなかったと報告している)

3. Rohrich RJ, Pessa JE. The Fat Compartments of the Face: Anatomy and Clinical Implications for Cosmetic Surgery. Plast Reconstr Surg. 2007;119(7):2219-2227.(顔面の皮下脂肪がコンパートメントに区画され、加齢に伴い区画ごとに萎縮・下垂することを示した解剖学的研究)

4. 厚生労働省. 医療広告ガイドライン.(自由診療で未承認の医薬品・医療機器等を用いる場合に、未承認である旨・入手経路・諸外国での使用状況・重大なリスクを明示すべきことを定めている)