リンデロンVGとは
目次
リンデロンVGの名称の由来は、配合されている2つの有効成分の頭文字からきています。
- V(Valerate): ステロイド成分である「ベタメタゾン吉草酸エステル」
- G(Gentamicin): アミノグリコシド系抗生物質である「ゲンタマイシン硫酸塩」
湿疹による炎症「火」を消す盾(V)と、細菌という「侵入者」を叩く矛(G)のコンビネーションにより、感染を伴う、あるいは感染の恐れがある湿疹、とびひなどの皮膚トラブルに確実にアプローチします。
1 【リンデロンVG】の特徴
皮膚科専門医は、患部の状態や部位に応じて、以下の3つの基剤(形)を使い分けます。
● 軟膏(もっとも一般的)
油性の基剤で刺激が少なく、皮膚を保護する力が高いのが特徴です。乾燥した患部や、少しじゅくじゅくした部位まで幅広く適応します。

● クリーム
伸びが良く、ベタつきが少ないさらりとした使用感です。広範囲に適しますが、びらんなどの傷口に塗ると刺激を感じる場合があります。

● ローション
アルコールを含んだ液状タイプです。頭皮など毛量が多い部分への塗布に真価を発揮します。アルコールを含むため、クリーム基剤と同様にびらんなどの傷口に塗ると刺激を感じる場合があります。

強さはストロングクラスで、ステロイド5ランクの上から3番目と中間の強さに位置しており、体幹や手足の湿疹・皮膚炎に広く使用されています。ロコイド軟膏と比較すると、リンデロンVGはランクが一つ上がります。
- ロコイド: ミディアム(4群)
- リンデロンVG: ストロング(3群)
そのため、ロコイドが「大人の顔面や赤ちゃんの体」への第一選択になりやすいのに対し、リンデロンVGは「赤ちゃんの体」に用いることもありますが、「大人の体の皮膚」により適した薬剤となります。
2 【リンデロンVG】の使用方法、使う疾患
通常、1日2回、適量を患部に塗布します。皮膚科専門医の診断に基づき、主に以下の疾患に使用されます。
- 湿疹・皮膚炎群(アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎(かぶれ)を含む)
- 乾癬(かんせん)
- 痒疹(ようしん)群
- 虫さされ
- 二次感染(伝染性膿痂疹(とびひ)など)を伴う皮膚疾患
3 【リンデロンVG】を使用する上の注意点
「とりあえずリンデロン」という安易な自己判断での使用にはリスクが伴います。
- 感染症への注意: 水虫(白癬)やニキビ、ウイルス性のイボなどに使用すると、リンデロンVGに含まれるステロイドの免疫抑制作用により症状が悪化する可能性があります。
- 長期連用の回避: 顔面や皮膚の薄い部位への長期使用は、皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)や血管拡張などの副作用を招くことがあります。
- リンデロンVGにはゲンタマイシンという抗生剤が含まれます。長期に漫然と使用することで、ゲンタマイシンの効かない、つまり抗生剤の効かない耐性菌を生み出す可能性があります。
- 「とりあえず」「適当に」塗らない: ステロイドの強度は「ストロング(強い)」に分類されます。必ず専門医の指示に従い、適切な期間のみ使用してください。
4 【リンデロンVG】は虫刺されに使える?
リンデロンVGの効能・効果(添付文書)には「虫さされ」が含まれています。蚊・ブユ・アブ・ダニ・毛虫などに刺されて赤く腫れ、強いかゆみが出ている部位に、皮膚科でも処方することがあります。ただし、虫刺されのすべてにリンデロンVGが必要なわけではありません。ポイントは「化膿しているか、化膿しそうか」です。
リンデロンVGが向いている虫刺され
- かき壊して傷になり、ジュクジュクしている部位。細菌が増えやすく、放置すると「とびひ(伝染性膿痂疹)」に進むことがあります。抗生物質(ゲンタマイシン)配合のリンデロンVGは、炎症を抑えながら細菌の増殖も抑えます。
- 赤く大きく腫れ、かゆみや痛みが強い部位(ブユ・アブ・毛虫皮膚炎など)。炎症を早く鎮めることで、かき壊しを防げます。
- 小さなお子さんで、かき壊しからとびひになりやすい場合。
向いていない・自己判断で塗らないほうがよい場合
- 赤みとかゆみだけで、傷も化膿もない軽い虫刺され。抗生物質は不要で、処方薬としてはリンデロンV軟膏・リンデロンVクリーム、市販のステロイド外用薬(リンデロンVs など)や抗ヒスタミン薬配合のかゆみ止めで様子を見られることが多いです。
- 顔・まぶた・首・陰部など皮膚の薄い部位。ストロングクラスは吸収が良く、皮膚が薄くなる・血管が目立つなどの副作用が出やすいため、皮膚科ではより弱いランクを選ぶことがあります。
- 水ぶくれが大きい、赤みが日ごとに広がる、発熱やリンパ節の腫れがある、ハチ・ムカデに刺されて息苦しさ・じんましん・めまいなど全身の症状がある。外用薬で済ませず受診してください(全身症状は救急受診)。
塗り方と期間の目安
- 1日2回、患部にだけうっすら光るくらいしっかり塗ります。かゆみと腫れが落ち着いたら中止し、長くても1週間程度を目安にしてください。
- かき壊しがある部位は、爪を短く切り、ガーゼや絆創膏で保護して掻かないようにします。
- 2〜3日塗っても腫れが引かない、かえって広がる場合は、虫刺され以外の病気(接触皮膚炎・蜂窩織炎・疥癬・毛虫皮膚炎など)の可能性があります。自己判断で塗り続けず、皮膚科を受診してください。
- 以前に処方されて余ったリンデロンVGを別の機会の虫刺されに使い回すのは避けてください(開封後は3ヶ月を目処に破棄してください)。開封から時間がたっていること、今回の症状に合うかの判断ができないことが理由です。
関連: とびひ(子供)/マダニの噛み跡/やけど虫(線状皮膚炎)
5 【リンデロンVG】と市販薬「リンデロンVs」との違い
当院のような皮膚科で処方される「リンデロンVG」とドラッグストアで購入できる「リンデロンVs」は、名前が似ているだけでなく、実は主成分であるステロイドの種類と強さは全く同じです。
ステロイド成分は「同一」です
どちらの薬剤にも、「ベタメタゾン吉草酸エステル」というステロイド成分が同濃度(0.12%)配合されています。 ステロイドの強さの格付けにおいても、両者ともに同じ「ストロング(強い)」クラスに分類されます。
それでも「使い分け」が必要な理由
成分が同じなのに、なぜ使い分けが必要なのでしょうか? それは、処方薬の「リンデロンVG」にはステロイドに加えて抗生物質(ゲンタマイシン)が配合されているからです。
- リンデロンVG(処方薬): ステロイド + 抗生物質ゲンタマイシン(G)。湿疹などの炎症を抑えると同時に、かき壊して「とびひ」のようになっている部位や、ジュクジュクして細菌が増殖しやすい部位に適しています。
- リンデロンVs(市販薬): ステロイドのみ。赤みやかゆみはあるが、細菌感染(化膿)の恐れがない場合に使用します。
リンデロンV・VG・VS・DPの違い(一覧)
「リンデロン」の名前がつく外用薬は、処方薬のV・VG・DP、市販薬のVsがあります。違いは「ステロイドの種類と強さ」と「抗生物質の有無」の2点です。
| 製品 | 区分 | ステロイド成分 | 強さ | 抗生物質 | 主な使いどころ |
|---|---|---|---|---|---|
| リンデロンV | 処方薬 | ベタメタゾン吉草酸エステル 0.12% | ストロング | なし | 湿疹・皮膚炎・虫刺されなど、化膿のない炎症 |
| リンデロンVG | 処方薬 | ベタメタゾン吉草酸エステル 0.12% | ストロング | ゲンタマイシン硫酸塩 | かき壊し・ジュクジュクなど、細菌感染を伴う(恐れのある)炎症 |
| リンデロンVs | 市販薬(指定第2類医薬品) | ベタメタゾン吉草酸エステル 0.12% | ストロング | なし | 化膿のない虫刺され・かぶれ・湿疹を短期間 |
| リンデロンDP | 処方薬 | ベタメタゾンジプロピオン酸エステル 0.064% | ベリーストロング | なし | 手足・体の頑固な湿疹・乾癬・肥厚した皮疹。顔には原則使わない |
- 「V」と「VG」の差は抗生物質の有無だけです。化膿していなければ、VGである必要はありません。
- 市販の「Vs」は処方の「V」と同じ成分・同じ濃度です。市販薬だから弱い、ということはありません。顔や陰部、お子さんへの使用は処方薬と同じ注意が必要です。
- 「DP」はステロイドの種類が違い、1ランク強い「ベリーストロング」です。V・VG・Vsの代わりにはなりません。
- ゲンタマイシンは長期に使い続けると耐性菌が出ることがあるため、VGは「必要な期間だけ」が原則です。
皮膚科専門医による適切な選択
ステロイド成分が同じであっても、「今の皮膚トラブルが、ステロイドだけで治るのか、抗生物質が必要な状態なのか」の判断は非常に難しいことがあります。
特に「ストロング」クラスの薬剤は、顔面などの皮膚が薄い部位に市販薬を買って自己判断で塗り続けると、「皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)」「毛細血管拡張(血管が太くなって目立ってしまう)」「易感染性(バイ菌やウイルスに対する免疫が低下する)」ステロイド酒さを発症する、などの副作用のリスクが高まります。大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医が患部の状態を的確に診断し、最適な薬剤と基剤(軟膏・クリーム・ローション)そして、使用期間を指導いたします。
FAQ(よくある質問)
リンデロンVGはニキビに塗ってもいいですか?
リンデロンVGの「V」と「G」はどういう意味ですか?
虫刺されにリンデロンVGを塗るのは何日までですか?
市販のリンデロンVsでリンデロンVGの代用はできますか?
赤ちゃんや子供に使用しても大丈夫ですか?
【皮膚科専門医によるリンデロンVG解説まとめ】
- 構成: ステロイド(V)と抗生物質(G)の配合剤で、炎症と感染を同時に抑える。
- 種類: 軟膏(保湿)、クリーム(使用感)、ローション(頭皮用)の3種。
- 適応: 湿疹、虫さされ、とびひ等。ただし、水虫やニキビには原則塗らない。
- 注意点: 強ランク(5ランク中上から3番目)のステロイドのため、長期連用や自己判断の使用は皮膚萎縮等の副作用リスクがある。
大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、副作用を適切にコントロールし、皮膚トラブルを早期に解決するための専門的な治療を提供しています。


