【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:塗り薬/角化症・乾燥性皮膚疾患
「かかとがガサガサしてひび割れる」「腕や太ももに鳥肌のような小さなぶつぶつが消えない」「手が粉を吹いたように白くカサカサする」――そんな悩みを抱える方が皮膚科を受診したとき、処方される代表的な塗り薬の一つがウレパール(一般名:尿素クリーム・尿素液)です。
ウレパールの有効成分は尿素10%。尿素はもともと人体が産生する天然保湿因子(NMF)の構成成分のひとつで、角質層に深く浸透して「うるおいを引き込む保湿作用」と「かたくなった角質を柔らかく溶かす角質軟化作用」という二刀流の働きを持ちます。1970年代の発売以来、長年にわたり皮膚科診療で処方されてきた、信頼性と実績を兼ね備えた薬剤です。
本記事では、ウレパールの作用機序から使い方・注意点・薬価まで、皮膚科専門医の視点で詳しく解説します。
1. ウレパール(尿素10%製剤)とは
ウレパールは、大塚製薬工場が製造販売する角化症治療剤(保湿剤)です。クリーム(一般名:尿素クリーム)とローション(一般名:尿素液)の2剤形があり、どちらも有効成分として尿素10%を含有しています。
有効成分の尿素(Urea)は、皮膚の角質層に存在する天然保湿因子の主要成分の一つです。外から補給することで、失われた皮膚のうるおいと柔軟性を取り戻す助けをします。
名称の由来については、Urea(尿素)のラテン語表記を含む造語に由来し、「urea = 尿素」+「pearl = 真珠のような美しいお肌」というイメージが込められているとされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | ウレパールクリーム10% / ウレパールローション10% |
| 一般名 | 尿素クリーム(クリーム)/尿素液(ローション) |
| 製造販売 | 大塚製薬工場株式会社 |
| 分類 | 角化症治療剤(保湿剤) |
| 剤形 | クリーム・ローション |
| 発売 | 1970年代(長期収載品) |
| 後発品 | あり(尿素クリーム10%「各社」、尿素液10%「各社」など) |
2. ウレパールの特徴
ウレパールの最大の特徴は、「保湿作用」と「角質軟化作用」の二刀流にあります。多くの保湿薬が「肌にうるおいのフタをする(エモリエント)」にとどまる中、ウレパールは角質層の内側に直接働きかける点で異なります。
●保湿作用(ヒューメクタント効果)
尿素は吸湿性が高く、水分子を引き寄せて角質層内に閉じ込める「ヒューメクタント(humectant)」として機能します。外用後60〜120分で角層水分量の有意な増加が確認されており、乾燥肌・乾皮症に対して素早く保湿効果を発揮します。
●角質軟化作用(ケラトリティック効果)
尿素の濃度が10%以上になると、角質細胞同士を結びつけているタンパク質結合(ケラチン線維間の架橋)を弱め、過剰に積み重なった角質をほぐす角質溶解(ケラトリティック)作用が現れます。これにより、魚鱗癬や掌蹠角化症のようにぶ厚く硬くなった角質を文字どおり「柔らかく解きほぐす」ことができます。
●ステロイドを含まない
ウレパールにはステロイドは含まれません。そのため、長期使用でも皮膚萎縮や毛細血管拡張などステロイド特有の副作用を心配する必要がなく、慢性的な角化疾患の維持療法として継続使用しやすい薬剤です。
●小児からご高齢の方まで使用可能
年齢による使用制限はなく、副作用の発現頻度も年齢層によって大きな差はないとされています。皮膚が薄く敏感な小さなお子さまには刺激感の有無に注意しながら使用します。
●クリームとローションで使い分けができる
クリームはしっかりした保湿力があり手・足・肘・膝・体幹など広い部位に適します。ローションは伸びがよく頭部(頭部粃糠疹)にも保険適用があり、髪の毛がある頭皮へも使いやすい剤形です。
3. 適応疾患と使用方法
適応疾患
ウレパールクリーム10%・ウレパールローション10%の共通適応症は以下のとおりです(添付文書準拠)。
| 疾患名 | 特徴 |
|---|---|
| 毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん) | 毛穴に一致した鳥肌状のザラつき。上腕外側・大腿外側に多い |
| 掌蹠角化症(しょうせきかくかしょう) | 手のひら・足の裏の皮膚が過剰に厚く硬くなる遺伝性疾患 |
| 進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型) | 指先・手掌の慢性的な乾燥・角化 |
| アトピー皮膚(乾燥を伴うもの) | アトピー性皮膚炎の乾燥・角化した皮疹 |
| 魚鱗癬(ぎょりんせん) | 皮膚が魚のうろこ状に乾燥・落屑する疾患 |
| 足蹠部皸裂性皮膚炎(かかとのひび割れ) | かかとが分厚く硬くなりひび割れる |
| 老人性乾皮症 | 加齢による皮脂分泌低下から生じる全身の乾燥・かゆみ |
ローションのみの追加適応:頭部粃糠疹(とうぶひこうしん)
使用方法
3つの重要ポイント
- 入浴直後・手洗い直後に塗る:尿素は水分と結合して効果を発揮するため、皮膚の水分量が高い入浴直後・手洗い直後がベストタイミングです。乾燥した部位には先にスプレーなどで水を吹きかけてから塗布するとより効果的です。
- 適量をしっかりすり込む:1日2〜3回、患部を清潔にした後に適量を塗布しよくすり込みます。クリームは指の関節一つ分(約0.5g)で手のひら2枚分の面積を塗布できます。ローションも同量(1円玉大)で手のひら2枚分が目安です。
- 量を増やしても効果は上がらない:塗布量を増やしても製剤の濃度は上がらないため、指示された1回量を守ることが大切です。
4. 使用する上の注意点
比較的安全性の高い薬剤ですが、以下の点に注意してください。
●主な副作用
使用開始初期に生じやすい副作用として、尿素の浸透圧による刺激症状があります。
| 頻度 | 症状 |
|---|---|
| 0.1〜5%未満 | 皮膚ぴりぴり感、紅斑、皮膚そう痒感(かゆみ)、皮膚疼痛(痛み)、丘疹 |
| 0.1%未満 | 皮膚灼熱感、落屑(皮膚のはがれ) |
塗布直後の軽度のピリピリ感は尿素の浸透圧の影響であり、すぐに治まる場合は継続使用可能です。ただし刺激感が強い場合・赤みや湿疹を伴う場合・ひどいかゆみを伴う場合は使用を中止し、医師に相談してください。
●重大な副作用
ウレパールには添付文書上の「重大な副作用」に分類される事象は記載されていませんが、成分に対する過敏症(アレルギー)が現れることがあります。発疹・強いかゆみ・腫れが出た場合はただちに使用を中止し受診してください。
●使用してはいけない部位(使用上の注意)
- 眼粘膜などの粘膜部位(目の周り、口腔内、鼻腔、膣等)には使用しない
- 潰瘍・びらん・傷のある部位への直接塗擦は避ける
- 誤って目に入った場合は清浄な水で十分に洗い流す
●ステンレス製品への注意
クリームをステンレスのヘラで使用する際、長時間接触させたまま放置するとヘラが錆びることがあるため、使用後は速やかに洗浄してください。
●こんな方は事前に医師にご相談を
- 尿素または製剤成分に対して過敏症の既往歴がある方
- 妊娠中・授乳中の方(治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用)
- 皮膚炎やびらんなど傷がある方
- 小さなお子さま(刺激感への注意が必要)
●日常生活での注意
- アルコール・自動車運転への影響はなし:外用薬であり、全身への吸収はわずかなため、飲酒制限・運転制限は不要です
- 市販の尿素クリームとの違い:処方薬のウレパールは有効成分が尿素10%のみですが、市販の尿素クリームには尿素20%のものや、かゆみ止め成分・ビタミンE誘導体が追加配合されたものもあります。医師に処方されたものと市販薬を混同して使用しないよう注意してください
5. 薬価と費用
ウレパールクリーム10%の薬価は1g あたり4円(2026年度薬価基準)です。
ローション10%も同様に1g あたり4円です。後発品(ジェネリック)はクリーム・ローションともに存在し、先発品より薬剤費を抑えることができます。
皮膚科では一般的に100g(または120mL)単位で処方されることが多いです。以下は代表的な処方量での費用の目安です。
クリーム(先発品 vs 後発品)
| 薬剤名 | 薬価(1g) | 100g処方時の薬価 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| ウレパールクリーム10%(先発品) | 4.00円 | 400円 | 約120円 |
| 尿素クリーム10%「各社」(後発品) | 約2.10円 | 約210円 | 約63円 |
ローション(先発品 vs 後発品)
| 薬剤名 | 薬価(1g) | 100g処方時の薬価 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| ウレパールローション10%(先発品) | 4.00円 | 400円 | 約120円 |
| 尿素液10%「各社」(後発品) | 約2.10円 | 約210円 | 約63円 |
※薬剤費のみの目安です。別途、診察料・処方箋料・調剤料などが加算されます。
※2026年度薬価基準(2026年4月改定)。後発品薬価は銘柄・製造元により異なる場合があります。
6. FAQ(よくある質問)
Q1: ウレパールはどのタイミングで塗るのが最も効果的ですか?
A1: 入浴直後・洗手直後が最もおすすめです。尿素は水分に結合することで保湿・角質軟化効果を発揮するため、皮膚に水分が残っているうちに塗ることが大切です。乾いてしまった部位には、先に霧吹きやウェットタオルで軽く水を与えてから塗るとより効果的です。
Q2: 塗ってもピリピリします。そのまま使い続けて大丈夫ですか?
A2: 塗布直後の軽度なピリピリ感は、主成分である尿素の浸透圧の影響です。すぐに治まる程度であれば問題なく使い続けられます。ただし、強い刺激感・赤み・湿疹・激しいかゆみが続く場合は使用を中止し、受診時にご相談ください。
Q3: 倍量塗れば、20%の尿素クリームと同じ効果が得られますか?
A3: なりません。塗布量を増やしても製剤中の尿素濃度は10%のまま変わりません。過剰に塗っても効果は上がらず、かえって刺激感が強くなることがあります。医師から指示された適量をご使用ください。
Q4: 市販の尿素クリームとの違いは何ですか?
A4: 処方薬のウレパールは有効成分が尿素10%のみの医療用医薬品です。市販品には尿素20%配合のもの、かゆみ止め成分やビタミンE誘導体を追加配合したものなど多様な製品があります。また、市販品と処方薬では適応・品質管理基準・保険適用の有無が異なります。自己判断で市販品に切り替えず、医師にご相談ください。
Q5: 頭皮にも使えますか?
A5: ウレパールローション10%は頭部粃糠疹(フケ症)への保険適用があります。ローションは液状で髪の毛があっても使いやすい剤形です。クリームは頭皮への使用には向きません。
Q6: 子どもや高齢者でも使えますか?
A6: 年齢による制限はなく、小児からご高齢の方まで使用できます。副作用の発現頻度も年齢によって大きな差は報告されていません。ただし皮膚が薄くデリケートなお子さまには刺激感・赤みに特に注意しながら使用してください。
Q7: 妊娠中・授乳中でも使えますか?
A7: 添付文書上、妊娠中・授乳中の方への禁忌とはされていません。ただし「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」との記載があります。妊娠中・授乳中の方は必ず事前に医師にご相談の上、使用可否を判断してもらってください。
7. 皮膚科専門医解説 ウレパールの要点まとめ
- 有効成分:尿素10%。ヒューメクタント(保湿)とケラトリティック(角質軟化)の二刀流
- 剤形:クリームとローションの2種。ローションは頭部粃糠疹にも適応
- 適応:毛孔性苔癬・魚鱗癬・掌蹠角化症・老人性乾皮症・アトピー皮膚など角化性・乾燥性疾患
- 使い方:1日2〜3回、患部清浄後に適量をすり込む。入浴直後が最も効果的
- メリット:ステロイド不含、年齢制限なし、長期使用可能
- 注意点:粘膜・潰瘍・びらん・傷面への使用不可。過敏症の既往がある場合は使用前に医師へ相談
- 費用:先発品100g処方で3割負担 約120円。後発品ならさらに経済的
角化症や慢性的な乾燥性皮膚疾患は、適切な保湿・角質軟化薬の継続使用と、生活習慣の改善を組み合わせることが治療の基本です。「どの保湿薬が自分に合っているかわからない」「既存の保湿薬で改善しない」という場合は、ぜひ皮膚科専門医にご相談ください。
大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適な乾燥性・角化性皮膚疾患の治療をご提案しています。 かかとのひび割れ・魚鱗癬・毛孔性苔癬・乾皮症などでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。
監修
皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明
- 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
- 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
- 医学博士
- 抗加齢医学会専門医
【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会
参考文献
-
大塚製薬工場株式会社. ウレパールクリーム10%・ウレパールローション10% 添付文書(最新版). PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構).
▶ 製造販売元による公式情報。適応症・用法用量・使用上の注意・副作用が詳細に記載されており、本記事の薬学的記述の主要な根拠。 -
日本皮膚科学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021. 日本皮膚科学会雑誌 2021;131(13):2691-2777.
▶ アトピー性皮膚炎における保湿剤・スキンケアの重要性を示し、尿素製剤を含む角質軟化保湿剤の使用を推奨。ウレパールのような保湿外用薬のスキンケア上の位置づけを解説する根拠となるガイドライン。 -
Lodén M. Role of topical emollients and moisturizers in the treatment of dry skin barrier disorders. Am J Clin Dermatol 2003;4(11):771-788. DOI:10.2165/00128071-200304110-00005
▶ 尿素を含む外用保湿・角質軟化剤の作用機序(ヒューメクタント・ケラトリティック効果)および乾燥性皮膚疾患への有効性を系統的に論じた総説。本記事における尿素の二刀流作用説明の科学的裏付け。
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