【ジルテック(セチリジン塩酸塩)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:蕁麻疹/皮膚そう痒症/アレルギー性鼻炎

ジルテック(一般名:セチリジン塩酸塩)は、蕁麻疹(じんましん)・湿疹・皮膚炎・皮膚そう痒症・アレルギー性鼻炎などの治療に広く処方される第2世代抗ヒスタミン薬です。1998年の国内発売以来、四半世紀以上にわたって皮膚科・アレルギー科で処方され続けてきた信頼性の高い薬剤で、「夜になると全身がかゆくてたまらない」「蕁麻疹が繰り返しでる」といったお悩みに対し、皮膚科専門医が選択する代表的な内服薬の一つです。

実はジルテックの最大の特徴は、1日1回・就寝前の服用だけで翌朝まで24時間効果が持続する設計にあります。忙しい日々の中でも飲み忘れしにくく、しかも2歳のお子さまから高齢者まで幅広い年齢層に使用できます。本記事では、その作用機序から使い方、ザイザルとの違い、薬価まで、皮膚科専門医の視点で詳しく解説します。


1. ジルテック(セチリジン塩酸塩)とは

ジルテック(一般名:セチリジン塩酸塩)は、持続性選択H₁受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤に分類される経口抗ヒスタミン薬です。製造販売はユーシービージャパン株式会社(旧:第一三共株式会社)が担い、グラクソ・スミスクライン株式会社が販売を手がけています。

アレルギー反応を引き起こす体内物質ヒスタミンは、皮膚のH₁受容体に結合することでかゆみ・膨疹・発赤を生じさせます。ジルテックはこの”スイッチ”であるH₁受容体を選択的にブロックし、アレルギー症状の発現を抑制します。ヒスタミン受容体への選択性が高く、抗コリン作用が出にくいため、口渇や排尿障害といった従来の抗ヒスタミン薬で問題となっていた副作用が少ない点が特徴です。

また、セチリジンは両性イオンとして血中に存在するために血液脳関門を通過しにくく、中枢への影響が抑えられています。さらに好酸球の遊走抑制作用も持ち、遅発型のアレルギー反応にも対応できます。

項目 内容
製品名 ジルテック錠5/ジルテック錠10/ジルテックドライシロップ1.25%
一般名 セチリジン塩酸塩
製造販売 ユーシービージャパン株式会社
販売 グラクソ・スミスクライン株式会社
分類 第2世代抗ヒスタミン薬(持続性選択H₁受容体拮抗薬)
剤形 錠剤(5mg・10mg)、ドライシロップ(1.25%)
国内発売年 1998年
後発品 あり(セチリジン塩酸塩錠5mg・10mg「各社」)

2. ジルテックの特徴

ジルテックの最大の特徴は、1日1回・就寝前服用で24時間効果が持続する点です。第1世代の抗ヒスタミン薬と比べて眠気が少なく、抗コリン副作用も軽減されており、皮膚科診療でもっとも頻用される抗ヒスタミン薬の一つです。

●速効性と持続性の両立

服用後約1.4時間(錠剤)で血中濃度がピークに達し、効果が発現します。そのまま24時間にわたって効果が持続するため、1日1回・就寝前というシンプルな用法で朝まで症状をカバーします。

●皮膚症状への強力なかゆみ抑制効果

蕁麻疹の膨疹(ぼうしん)・フレア反応を強力に抑制し、湿疹・アトピー性皮膚炎・皮膚そう痒症に伴う夜間のかゆみを和らげます。かゆみによる睡眠障害の改善にも有効で、就寝前服用との相性が抜群です。

●好酸球遊走抑制による遅発型反応への対応

ジルテックはヒスタミンブロックにとどまらず、好酸球の遊走を抑制する作用を持ちます。アレルギー反応の「即時相」だけでなく「遅発相」(数時間後に起こる炎症)にも有効とされており、慢性蕁麻疹・アトピー性皮膚炎での長期管理に役立ちます。

●2歳から使えるドライシロップ製剤

小さなお子さまにも服用しやすいドライシロップ製剤(1.25%)があり、2歳以上の小児から使用可能です。甘味料で味付けされているため、薬を嫌がるお子さまにも飲ませやすい設計になっています。

●ジルテックとザイザルの違いは?

よく比較されるザイザル(レボセチリジン塩酸塩)は、実はジルテックの”後継薬”に相当します。セチリジンには鏡像関係にある「R体」と「S体」の2つの物質が1:1で含まれており、有効成分であるR体(レボセチリジン)だけを取り出したものがザイザルです。そのためザイザルはジルテックの半量(5mg)で同等の効果を発揮し、眠気の副作用がやや少ない傾向があります。一方でジルテックのほうがジェネリックの種類が豊富で、薬価を抑えやすい点がメリットです。患者さんの生活スタイルや症状に合わせて選択します。


3. 適応疾患と服用方法

適応疾患

ジルテックの主な適応症(皮膚科・耳鼻科関連)は次のとおりです。

【成人】
蕁麻疹(じんましん)
湿疹・皮膚炎(アトピー性皮膚炎を含む)
痒疹
皮膚そう痒症
– アレルギー性鼻炎(季節性・通年性)

【小児(2歳以上)】
– アレルギー性鼻炎
– 蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

服用方法

3つの重要ポイント

  1. 成人は就寝前1回服用が基本:1日1回・就寝前に服用します。眠気が出た場合も就寝前であれば支障が少なく、翌朝まで効果が持続します。
  2. 最高用量は1日20mg:症状が強い場合、医師の判断により1日20mgまで増量できます。自己判断での増量はせずに医師にご相談ください。
  3. 小児は年齢・体重に応じて量が異なる:7歳以上15歳未満は1回5mgを1日2回(朝食後・就寝前)、2歳以上7歳未満はドライシロップを医師の指示通りに服用します。
対象 用法・用量
成人(15歳以上) 1回10mgを1日1回、就寝前。最高1日20mg
小児(7歳以上15歳未満) 1回5mg(錠剤)を1日2回、朝食後・就寝前
小児(2歳以上7歳未満) ドライシロップを医師の指示通りに服用

※花粉症の場合は、症状が本格化する前から服用を開始する「初期療法」が有効です。好発シーズン直前からシーズン終了まで継続することが推奨されます。


4. 使用する上の注意点

比較的安全性の高い薬剤ですが、次の点に注意が必要です。

●主な副作用

  • 眠気・傾眠(成人での臨床試験では約6%に認められています)
  • 口渇、口内乾燥
  • 頭痛、倦怠感、めまい
  • 悪心・胃部不快感
  • 尿閉

副作用の中では眠気が最も多い傾向にあります。就寝前に服用することで日常生活への影響を最小限に抑えられますが、翌朝も眠気が残る場合は医師にご相談ください。

●重大な副作用(頻度は稀ですが要注意)

  • ショック・アナフィラキシー(呼吸困難・血圧低下・全身発赤など)
  • 痙攣(てんかんの既往がある方は特に注意)
  • 肝機能障害・黄疸(全身倦怠感・食欲不振・発熱・黄疸などが初期症状)
  • 血小板減少

服用中に呼吸困難・全身の発疹・強い倦怠感・皮膚・白目が黄色くなるなどの症状が現れた場合は、ただちに服用を中止し医療機関を受診してください。

●禁忌(飲んではいけない方)

  • 本剤の成分またはピペラジン誘導体(レボセチリジン・ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある方
  • 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある方

●こんな方は事前に医師にご相談を(慎重投与)

  • 腎機能障害のある方(クレアチニンクリアランスに応じた用量調整が必要)
  • 肝機能障害のある方(低用量から開始するなど慎重に投与)
  • てんかんなど痙攣性疾患・既往のある方
  • 高齢の方(5mgなど低用量からの開始を推奨)
  • 妊娠中・授乳中、妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方(母乳への移行が報告されており、授乳の継続と服薬のどちらを優先するか医師と相談が必要)

●併用注意

  • 中枢神経抑制薬・アルコール:眠気・鎮静作用が増強される可能性があります
  • リトナビル(抗HIV薬):セチリジンの血中濃度が上昇する可能性があります

現在服用中の薬・サプリメントは、必ず医師・薬剤師にお伝えください。

●日常生活での注意

  • 眠気を催すことがあるため、服用中は自動車の運転・危険を伴う機械の操作は控えてください(添付文書上の重要な基本的注意)
  • アルコールは眠気を増強するため、服用期間中は飲酒を控えめにしてください
  • 市販薬について:医療用医薬品ではありますが、同成分(セチリジン塩酸塩10mg)を含む市販薬として「新コンタック鼻炎Z」「ストナリニZ」などが販売されています。ただし市販薬の適応はアレルギー性鼻炎に限られており、蕁麻疹や皮膚疾患の治療には使用できません。皮膚症状の治療には医療機関の受診が必要です

5. 薬価と費用

ジルテック錠10の薬価は1錠あたり16.3円、ジルテック錠5は1錠あたり17.8円(2026年度薬価基準(2026年4月改定))です。後発品(ジェネリック)ではさらに費用を抑えられます。

ジルテック錠10(10mg)の薬価

薬剤名 1錠薬価 14日分(1日1錠)の薬価 14日分の自己負担額(3割)
ジルテック錠10(先発品) 16.3円 228.2円 約69円
セチリジン塩酸塩錠10mg(後発品) 約10.4円 約145.6円 約44円
薬剤名 1錠薬価 30日分(1日1錠)の薬価 30日分の自己負担額(3割)
ジルテック錠10(先発品) 16.3円 489円 約147円
セチリジン塩酸塩錠10mg(後発品) 約10.4円 約312円 約94円

ジルテック錠5(5mg)の薬価(小児・減量例)

薬剤名 1錠薬価 14日分(1日2錠)の薬価 14日分の自己負担額(3割)
ジルテック錠5(先発品) 17.8円 498.4円 約150円
セチリジン塩酸塩錠5mg(後発品) 約11.9円 約333.2円 約100円
薬剤名 1錠薬価 30日分(1日2錠)の薬価 30日分の自己負担額(3割)
ジルテック錠5(先発品) 17.8円 1,068円 約320円
セチリジン塩酸塩錠5mg(後発品) 約11.9円 約714円 約214円

※薬剤費のみの目安です。別途、診察料・処方箋料・調剤料などが加算されます。
※2026年度薬価基準(2026年4月改定)に基づきます。


6. FAQ(よくある質問)

Q1: ジルテックはどれくらいで効きますか?

A1: 服用後約1.4時間で血中濃度がピークに達し、効果が現れ始めます。蕁麻疹では早い方では服用当日から膨疹の抑制を実感できることがあります。花粉症では花粉飛散前の「初期療法」として早めに服用を開始すると、症状の発現・悪化を防ぎやすくなります。

Q2: 眠気はどれくらい出ますか?

A2: 第2世代抗ヒスタミン薬のため第1世代と比べると眠気は少なく、臨床試験では成人の約6%に眠気が認められています。就寝前に服用することで、眠気が日中の活動に影響しにくくなります。ただし翌朝まで眠気が残る方もいるため、翌日の車の運転が必要な場合は医師にご相談ください。

Q3: ジルテックとザイザルはどちらが効きますか?

A3: どちらも同等の抗アレルギー効果を持ちます。ザイザルはジルテックの有効成分(R体=レボセチリジン)だけを取り出した薬で、半量(5mg)で同じ効果が得られ、眠気の副作用がやや少ない傾向があります。一方ジルテックはジェネリックが豊富で費用を抑えやすい利点があります。どちらが合うかは個人差があるため、医師にご相談ください。

Q4: 市販薬でジルテックと同じ薬を買えますか?

A4: 同じ有効成分(セチリジン塩酸塩10mg)を含む市販薬として「新コンタック鼻炎Z」「ストナリニZ」などが第1類医薬品として販売されています。ただし市販薬の適応はアレルギー性鼻炎のみです。蕁麻疹・湿疹・皮膚そう痒症などの皮膚疾患の治療には使用できないため、必ず医療機関を受診してください。

Q5: 腎臓が悪くても飲めますか?

A5: セチリジンは主に腎臓から排泄されるため、腎機能障害があると血中濃度が高くなりすぎる恐れがあります。クレアチニンクリアランスに応じた用量調整が必要で、重度の腎機能障害(CCr10mL/min未満)の方は禁忌です。腎疾患のある方は必ず医師にお伝えください。

Q6: 妊娠中・授乳中でも飲めますか?

A6: 妊娠中の安全性は完全には確立されておらず、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合に限り使用可能とされています。また、母乳への移行が報告されているため、授乳中の方も自己判断での服用は避け、必ず医師にご相談ください。

Q7: 長期間飲み続けても大丈夫ですか?

A7: 慢性蕁麻疹やアトピー性皮膚炎のかゆみ管理などで長期処方されることがあります。ただし添付文書では「効果が認められない場合には漫然と長期にわたり投与しないこと」とされています。定期的に医師の診察を受け、症状・副作用の確認を行いながら継続の要否を判断してもらいましょう。


7. 皮膚科専門医解説 ジルテックの要点まとめ

  • 適応:蕁麻疹・湿疹・皮膚炎・痒疹・皮膚そう痒症・アレルギー性鼻炎に用いる第2世代抗ヒスタミン薬
  • 作用機序:H₁受容体を選択的にブロック+好酸球遊走抑制。即時相・遅発相の双方に対応
  • 服用方法:成人は1日1回10mg・就寝前。小児は年齢・体重に応じて調整
  • 最大の特徴:1日1回服用で24時間持続。2歳から使えるドライシロップあり
  • 注意点:眠気があるため服用中の自動車運転は避ける。重度腎機能障害は禁忌。腎・肝機能障害のある方は用量調整が必要
  • 費用:先発品(10mg)30日分 約147円(3割負担)。ジェネリックならさらに安価
  • 市販薬との違い:同成分の市販薬は鼻炎のみが適応。皮膚疾患の治療には医師の処方が必要

蕁麻疹・皮膚のかゆみは、原因・重症度・年齢・生活背景に応じて適切な薬剤を選択することが大切です。「市販薬では効かない」「夜のかゆみで眠れない」「繰り返す蕁麻疹を根本的に治したい」とお悩みの方は、ぜひ専門医にご相談ください。

大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適な蕁麻疹・皮膚そう痒症治療をご提案しています。 「じんましんが繰り返しでる」「夜中のかゆみでつらい」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。


監修

皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明

  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
  • 医学博士
  • 抗加齢医学会専門医

【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会


参考文献

  1. 日本皮膚科学会. 蕁麻疹診療ガイドライン2023. 日本皮膚科学会雑誌 2023;133(12).
    ▶ 国内における蕁麻疹治療の標準指針。第2世代抗ヒスタミン薬(セチリジンを含む)が第一選択薬として推奨されており、効果不十分な場合の増量・併用方針も示されている。

  2. ユーシービージャパン株式会社. ジルテック錠5・錠10・ドライシロップ1.25% 添付文書(2024年9月改訂 第3版).
    ▶ 製造販売元による公式情報。適応症・用法用量・禁忌・副作用・相互作用・腎機能障害時の用量調整基準が詳細に記載されており、本記事の薬学的記述の主要な根拠。

  3. Simons FE, et al. Pharmacokinetics and pharmacodynamics of cetirizine in the elderly. Clin Pharmacol Ther. 1999;65(4):409-414. DOI:10.1016/S0009-9236(99)70136-3
    ▶ 高齢者におけるセチリジンの薬物動態・薬力学を検討した臨床試験。腎機能低下に伴う血中濃度上昇と慎重投与の必要性を示した重要な根拠の一つ。


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