![]() |
|
監修者 ・医学博士(大阪大学大学院) |
|
[ 所属学会 ] ・日本皮膚科学会 |
皮膚の下にできたしこり、これって粉瘤でしょうか?気になってつい触ってしまいたくなりませんか?
多くの人が、ニキビのように「中身を絞り出してしまいたい」という衝動に駆られるかもしれません。
しかし、その何気ない行動が、実は最悪の結果を招く可能性があるかもしれません。
この記事では、皮膚科専門医の知見から、粉瘤(アテローム)ができてしまった時のただしい処置方法を
5つのポイントにまとめました。自己判断で悪化させてしまう前に、ぜひご一読ください。
目次
1. 粉瘤を押す・潰す・絞るのはNG|内部で「爆発」する可能性も!

しこりを見つけると、つい押し出したくなる、絞り出したくなるかもしれませんが、これは最も良くありません。なぜなら、粉瘤は単なる皮脂の詰まりではなく、皮膚と同じ成分の袋、つまり「良性腫瘍(できもの)」だからです。無理に押し出そうとすると、皮膚の下にあるこの袋が破裂(内部で「爆発」)してしまいます。その結果、中に溜まっていた角質や皮脂が皮膚の中に広がり、激しい痛みを伴う「炎症性粉瘤」へと悪化する危険性が非常に高いのです。
無理に絞り出すと、粉瘤の内部に細菌を押し込んでしまうことでかえって炎症を引き起こし、これも炎症性粉瘤の原因になります。粉瘤は内容物だけでなく、袋を取り除かない限り再発します。無理に押して自己処理で炎症を引き起こしてしまうと、粉瘤が周囲の組織と癒着、つまりくっついてしまい、手術で取り除くのが難しくなってしまいます。その結果、治った後も手術の跡が大きくなってしまったり、傷跡がひどく残ってしまうリスクが非常に高くなるので注意が必要です。
粉瘤ができた場合の正しい対処法は、まず「そっとしておくこと」。そして、早めに形成外科専門医に相談することが、きれいに治すための最短ルートです。
2. 粉瘤の原因は不潔ではない|本当の粉瘤の発生原因は?
「粉瘤ができたのは、体を不潔にしていたから」と自分を責めていませんか?
それは大きな誤解です。皮膚科専門医として、医学的に不潔が原因で粉瘤が発生することはありません。現在判明している原因としては、ウイルスの感染(パピローマウイルス、イボウイルス)、怪我(外傷の後にできる)、ピアスの穴などがきっかけで発生することがあります。
しかし、一番多いのは原因不明であり、粉瘤ができる理由はほとんど分かっていません。体質や遺伝も考えられますが、真の原因は未解明なのです。ただし、年齢と共に粉瘤はできるので加齢、つまり老化現象と捉えることもできます。粉瘤は誰にでもできる可能性のある、ごくありふれた皮膚のできもの=良性腫瘍です。不潔にしていたからではないので、自分を責める必要は全くありません。
3. 「痛みは我慢すればそのうち落ち着く」は危険。痛みや腫れは炎症性粉瘤のサイン。すぐに皮膚科クリニックへ

足の粉瘤が痛くて歩けない。お尻の粉瘤が痛くて座ることもできない。これらの激しい痛みは、すでに内部で膿が溜まっている「炎症性粉瘤」のサインです。この段階では、市販薬や痛み止めでは改善せず、早急に形成外科専門医による切開・排膿抗生剤治療が必要です。この激しい痛みの原因は、袋の中に膿が溜まって袋が破裂しそうになって圧力がかかっていることにあるため、痛み止めを飲んでも対症療法に過ぎず、根本的な解決にはなりません。
自宅でできる応急処置としては、
- 患部を冷やす
- 無理に圧迫しない
- 膿がでてきたら市販のガーゼを当てておく
上記が挙げられますが、ただし、これらは根本的な解決にはならず、症状が根本的によくなることはありません。痛みが強い場合は、我慢せずにすぐに皮膚科クリニックなどの医療機関を受診してください。
4. 炎症性粉瘤の治療は1回で終わらない。|再発を防ぐ「2段階治療」とは?
粉瘤治療の基本原則は、手術で粉瘤の袋を取り除くことです。袋が残っている限り、再発を繰り返します。痛みや腫れが出る前に皮膚科か形成外科を受診し切除してもらうのがオススメです。
しかし、炎症性粉瘤になってしまい、炎症が強く起きている急性期には、袋を完全に取り除く手術は原則として行いません。なぜなら、炎症が起きている時、炎症が落ち着いてすぐは、傷跡もきれいに治りにくいリスクがあったり、袋が周囲の組織と癒着しているなどの理由で袋を取り残すリスクがあるからです。袋は一部でも取り残すと粉瘤が再発のリスクがあります。そこで、確実かつきれいに治すために「2段階治療」を行います。
-
第1段階(急性期):炎症を鎮める
まずは抗生物質の内服や、皮膚を5mmから10mm程度小さく切開して膿を出す「切開排膿」を行い、痛みと腫れを鎮めることを優先します。
-
第2段階(根治手術):袋を摘出する
炎症が完全に治まった後(1ヶ月から3ヶ月後)、再発防止のために袋ごと摘出する根治手術(切除法やくり抜き法)を行います。
この2段階治療こそが、粉瘤の袋をしっかり取り除くことができ、再発を防ぎ、傷跡を最小限に抑えるための最適な方法なのです。
5. 粉瘤は何科を受診する?再発リスクを下げ、傷跡を綺麗に治す「診療科」の選択
「粉瘤かもしれないけど、何科に行けばいいかわからない」というのも、よくある悩みです。診療科の選択は、治療の質や傷跡の仕上がりに大きく影響します。粉瘤で受診すべき診療科は形成外科になります。
形成外科は「痛みが強い、再発を繰り返している、見た目をきれいに治したい」場合に最適です。袋を確実に取り除き、傷跡が目立ちにくいような配慮をした手術が期待できます。炎症が軽い場合は、まずは抗生剤物質や鎮痛剤で様子を見ます。ただし、歩けないほど痛みが強い場合は、切開が必要です。再発防止と傷跡の仕上がりを重視するなら、形成外科の受診がおすすめです。
まとめ|しこりを見つけたらまずやるべきこと
最後に、最も重要なポイントをまとめます。
- 自己判断で押す、絞り出すのは絶対にNG。 内部で粉瘤が爆発、破裂し、症状が悪化します。
- 「歩けないほどの激痛」は放置せず、すぐに形成外科専門医へ。 市販薬では治りません。
- 根本的な治療は、原因となる粉瘤の「袋」の摘出、切除が必須です。
- 再発防止と傷跡を重視するなら、形成外科を受診しましょう。
粉瘤は正しい知識を持って早期に対処すれば、きれいに治すことができる病気です。もしもの時は、これらのポイントを元に、最善の行動をとってください。
気になるお悩みのある方は、千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科の形成外科診療をご予約ください。
粉瘤について動画でも詳しく解説しています。




















