帯状疱疹とは、幼少期に感染した水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が神経節に潜伏し、加齢・疲労・ストレスなどで免疫力が低下したときに再活性化して起こる感染症です。体の左右どちらか一方にピリピリ・チクチクした痛みが先行し、数日後に赤い発疹と水ぶくれが帯状に現れます。
なかでも顔・目・耳に発症した帯状疱疹は、視力障害や顔面神経麻痺など深刻な合併症につながる可能性があり、体幹に出た場合と比べて特に早期受診・早期治療が重要です。この記事では、顔の帯状疱疹の初期症状から、目や耳に及んだ際のリスク、ラムゼイ・ハント症候群、治療法、受診の目安まで、皮膚科専門医の監修のもと詳しく解説します。
目次
帯状疱疹とは?原因と基本的な仕組み
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が引き起こす疾患です。水ぼうそう(水痘)にかかった後、ウイルスは体内の神経節に潜伏し続けます。加齢・過労・ストレス・病気などで免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再活性化し、神経に沿って皮膚症状を引き起こします。
発症の流れは以下のとおりです。
- 前駆症状(数日〜1週間):体の片側にピリピリ・チクチクした痛みやかゆみ、皮膚の違和感が現れる
- 発疹期:痛みのある部位に赤い発疹が出現し、小さな水ぶくれが帯状に広がる
- 回復期:水ぶくれがかさぶたになり、数週間で皮膚症状は落ち着くことが多い
皮膚症状が治まった後も帯状疱疹後神経痛(PHN)として痛みが平均3か月ほど続くことがあります。早期治療はPHNのリスクを下げる可能性があると考えられています(効果には個人差があります)。
顔の帯状疱疹の初期症状
顔に帯状疱疹が発症する場合、三叉神経(顔の感覚を司る神経)や顔面神経の支配領域に沿って症状が現れます。顔の帯状疱疹の初期症状として、以下が挙げられます。
- 額・こめかみ・頬・鼻・あごの片側だけにピリピリ・ズキズキした痛みや違和感
- 皮膚の知覚過敏(触れると痛い、服が当たるだけで不快)
- 数日後に同じ部位に赤い発疹・水ぶくれが帯状に出現
- 発疹が出る前は「虫歯」「頭痛」「神経痛」と間違えやすい
【やってはいけないNG行動】
- 「発疹が出ていないから大丈夫」と様子を見て受診を遅らせる
- 水ぶくれを自分でつぶす(二次感染・瘢痕のリスクがあります)
- 市販の塗り薬だけで対処し、抗ウイルス薬の服用を後回しにする
目に出た帯状疱疹のリスク(眼部帯状疱疹)
三叉神経の第1枝(眼神経)の支配領域に帯状疱疹が生じると、眼部帯状疱疹(ヘルペス眼症)となります。額から鼻の付け根・まぶたにかけて発疹が現れた場合は、眼内への波及を強く疑う必要があります。
眼部帯状疱疹で起こりうる合併症
- 角膜炎・角膜潰瘍:角膜にウイルスが及ぶと、視力低下や角膜混濁につながる可能性がある
- ぶどう膜炎:眼内の炎症。放置すると視力に影響することがある
- 眼圧上昇・緑内障:炎症に伴い眼圧が上がる場合がある
- 視力障害:上記合併症が重なると、視力の回復が困難になる場合がある
「鼻の先端に発疹が出た(ハッチンソン徴候)」場合は眼部帯状疱疹のリスクが高いとされています。目の充血・痛み・かすみ・まぶたの腫れを伴う場合は、皮膚科と眼科の連携による早期対応が重要です。千里中央・豊中・吹田エリアで上記の症状がある方は、できるだけ早く受診してください。
耳に出た帯状疱疹・ラムゼイ・ハント症候群
ラムゼイ・ハント症候群(Ramsay Hunt症候群)とは、顔面神経節(膝神経節)に潜伏していたVZVが再活性化し、耳介・外耳道の水疱・発疹に加えて、顔面神経麻痺・難聴・めまいを引き起こす症候群です。帯状疱疹の中でも特に重篤な病態の一つとされています。
ラムゼイ・ハント症候群の主な症状
| 症状の種類 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 皮膚症状 | 耳介・外耳道・口腔内(舌・口蓋)の水疱・発疹、耳の痛み |
| 顔面神経麻痺 | 片側の顔が動かしにくい、目が閉じられない、口角が下がる |
| 聴覚症状 | 難聴(聞こえにくい)、耳鳴り |
| 前庭症状 | めまい、ふらつき、吐き気 |
| 味覚症状 | 舌前部の味覚障害 |
ラムゼイ・ハント症候群による顔面神経麻痺は、早期に抗ウイルス薬とステロイドによる治療を開始することが、回復に影響すると考えられています(効果・回復の程度には個人差があります)。耳の痛みや水疱、顔の動きの違和感に気づいたら、迷わず早急に受診してください。
【こんな症状は見逃さないで】
- 耳の中・耳の周囲に水ぶくれや発疹がある
- 片側の顔がしびれる・動かしにくい・目が閉じにくい
- 急に聞こえが悪くなった・耳鳴りが始まった
- 激しいめまいや吐き気が続く
帯状疱疹は人にうつるの?
帯状疱疹そのものが「帯状疱疹」として他の人にうつることはありません。ただし、水ぼうそうにかかったことがない方・水痘ワクチン未接種の方には、水ぶくれの中のウイルスを介して「水ぼうそう」としてうつる可能性があります。
水疱がかさぶたになって乾燥するまでの間は、以下の方との密接な接触に注意が必要です。
- 水ぼうそうに罹患したことのない乳幼児・子ども
- 妊婦(胎児への影響が懸念されます)
- 高齢者・免疫が低下している方
治療法(保険診療)
帯状疱疹の治療の中心は抗ウイルス薬の内服です。発疹が出てから72時間以内に開始することが望ましいとされており、早期治療が重症化やPHNの予防につながると考えられています。
| 治療の種類 | 内容・補足 |
|---|---|
| 抗ウイルス薬(内服) | アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビル・アメナメビルなど。原則として保険適用。 |
| 抗ウイルス薬(点滴) | 重症例や免疫が著しく低下している場合に検討されることがある。 |
| 鎮痛薬・神経障害性疼痛治療薬 | 痛みの程度に応じて処方。PHNに移行した場合も継続して対応。 |
| ペインクリニック等との連携 | 皮膚症状が落ち着いても痛みが続く場合は、専門科へ紹介・連携。 |
顔・目・耳に帯状疱疹が及んでいる場合は、眼科や耳鼻咽喉科・神経内科など関連診療科との連携が必要になることがあります。
帯状疱疹ワクチンによる発症予防(自由診療)
帯状疱疹の発症リスクを下げることを目的としたワクチンが、50歳以上の方を対象に接種できます(※公的医療保険適用外)。
| 種類 | 接種回数 | 特徴 | 費用の目安(千里中央の例) |
|---|---|---|---|
| 生ワクチン(水痘ワクチン) | 1回 | 接種の負担が比較的少ない | 8,800円/1回 |
| 不活化ワクチン(シングリックス) | 2回(2か月間隔) | 予防効果が高いとされるが、接種部位の痛み・腫れ・発熱・倦怠感などの副反応が出やすい | 22,000円/1回×2回 |
ワクチンの費用・自治体の助成・定期接種の対象年齢は、自治体や時期によって異なります。最新情報はお住まいの自治体または各院にご確認ください。ワクチンは発症を完全に防ぐことを保証するものではありませんが、発症した場合の重症化リスクを下げる効果も期待されています(効果には個人差があります)。
すぐに受診すべきサイン
以下に当てはまる症状がある場合は、できるだけ早く皮膚科を受診してください。特に顔・目・耳の症状は重症化リスクが高く、受診の遅れが後遺症につながる可能性があります。
- 顔の片側に原因不明のピリピリした痛みや発疹が出た
- 額・まぶた・鼻の付け根に水ぶくれがある(眼部帯状疱疹の疑い)
- 目の充血・痛み・かすみ・まぶたの腫れを伴う
- 耳の痛み・耳介や外耳道の水疱と、顔の動きの異常・難聴・めまいがある(ラムゼイ・ハント症候群の疑い)
- 発疹が出てから3日以上経過しているが治療をまだ受けていない
- 免疫抑制剤を使用中・持病がある・高齢で症状が重い
花ふさ皮ふ科グループでの診療
花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医の監修のもと、帯状疱疹の保険診療(早期の抗ウイルス薬治療)および50歳以上の方を対象とした帯状疱疹ワクチン接種に対応しています。
グループ3院のご案内
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田):千里中央・豊中・吹田エリアの方。千里中央駅から徒歩約5分、駐車場9台完備。皮膚科・アレルギー科・形成外科に対応。
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(吹田市江の木町):北大阪急行・御堂筋線「江坂駅」から徒歩約1分。
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府箕面市西宿):箕面萱野駅直結。箕面・茨木・池田エリアの方にも便利。
顔・目・耳の帯状疱疹は特に早期対応が大切です。「もしかして帯状疱疹かも?」と感じたら、お早めにご相談ください。必要に応じて関連診療科へのご紹介も行っています。
帯状疱疹の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医の監修のもと、帯状疱疹の保険診療(早期の抗ウイルス薬治療)と、50歳以上の帯状疱疹ワクチン接種に対応しています。通いやすい院をお選びいただけます。
帯状疱疹かな?と思ったら、早めに花ふさ皮ふ科グループへ
帯状疱疹は早期の治療が大切です。気になる症状は自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
まとめ|顔の帯状疱疹は早期受診が最大の対策
顔・目・耳に発症した帯状疱疹は、視力障害・顔面神経麻痺・難聴・めまいなど深刻な合併症につながる可能性があります。以下のポイントを押さえ、気になる症状があれば早めに皮膚科専門医にご相談ください。
- 顔の片側の痛みや発疹は帯状疱疹の初期症状の可能性がある:発疹が出る前から痛みが先行することが多く、早期に受診することが重要です。
- 目の周囲の症状は眼部帯状疱疹を疑う:角膜炎や視力障害につながる可能性があるため、充血・かすみ・痛みを伴う場合は緊急性が高いです。
- 耳の痛み+顔の動きの異常はラムゼイ・ハント症候群の可能性:顔面神経麻痺・難聴・めまいを伴う場合は、一刻も早い受診が求められます。
- 治療は発疹出現から72時間以内の抗ウイルス薬開始が望ましい:アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビル・アメナメビルなどを保険診療で処方します。
- 50歳以上はワクチンによる発症予防も選択肢:生ワクチンまたは不活化ワクチン(シングリックス)を選べます(自費・個人差あり)。
最終的な診断・治療方針は医師の診察によって決まります。本記事はあくまで情報提供を目的としており、自己判断での治療はお控えください。
監修:花房 崇明(理事長・医学博士(大阪大学大学院)・日本皮膚科学会皮膚科専門医・日本アレルギー学会アレルギー専門医・日本抗加齢医学会専門医)
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FAQ(よくある質問)
Q1:帯状疱疹は顔にも出るのですか?
A.
はい、顔にも発症します。顔の感覚を司る三叉神経の支配領域(額・こめかみ・頬・鼻・あごなど)に沿って、体の左右どちらか一方に発疹と痛みが現れます。顔の帯状疱疹は目や耳に波及するリスクがあり、体幹に出た場合と比べて特に注意が必要です。
Q2:目の周りに帯状疱疹が出たらどうすればよいですか?
A.
目の周囲(額・まぶた・鼻の付け根)に発疹や水ぶくれが出た場合、眼部帯状疱疹の可能性があります。角膜炎・ぶどう膜炎・視力障害などの合併症につながる可能性があるため、できるだけ早く皮膚科を受診してください。目の充血・痛み・かすみが伴う場合は緊急性が高く、皮膚科と眼科の連携が必要になることがあります。千里中央・豊中・吹田エリアの方は、当院にお早めにご相談ください。
Q3:ラムゼイ・ハント症候群とはどのような病気ですか?
A.
ラムゼイ・ハント症候群は、顔面神経節に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化し、耳介・外耳道の水疱・発疹に加えて顔面神経麻痺・難聴・めまいを引き起こす病態です。片側の顔が動かしにくい、目が閉じられない、耳の痛みや聞こえにくさがある、といった症状が組み合わさって現れます。早期に抗ウイルス薬とステロイドによる治療を開始することが回復に影響すると考えられていますが、回復の程度には個人差があります。疑わしい症状があれば、迷わず受診してください。
Q4:帯状疱疹は家族にうつりますか?
A.
帯状疱疹そのものが「帯状疱疹」として家族にうつることはありません。ただし、水ぼうそうにかかったことがない方・水痘ワクチン未接種の方には、水ぶくれの中のウイルスを介して「水ぼうそう」としてうつる可能性があります。水疱がかさぶたになって乾くまでの間は、乳幼児・妊婦・高齢者・免疫が低下している方との密接な接触に注意してください。
Q5:帯状疱疹の治療は保険が使えますか?
A.
帯状疱疹の抗ウイルス薬による治療(アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビル・アメナメビルなどの内服、重症例では点滴)は、原則として公的医療保険が適用されます。一方、帯状疱疹ワクチン(生ワクチン・不活化ワクチン「シングリックス」)は発症予防を目的とした接種であり、公的医療保険適用外(自費)となります。自治体によっては助成制度がある場合もありますので、お住まいの自治体にご確認ください。
Q6:帯状疱疹ワクチンは何歳から接種できますか?副反応はありますか?
A.
50歳以上の方が対象です。生ワクチン(1回接種)と不活化ワクチン「シングリックス」(2回接種)の2種類があります。シングリックスは予防効果が高いとされる一方、接種部位の痛み・腫れ・発熱・倦怠感などの副反応が出やすい傾向があります。費用や自治体の助成内容・定期接種の対象年齢は自治体や時期によって異なりますので、各院またはお住まいの自治体にご確認ください(千里中央の費用例:生ワクチン8,800円/1回、シングリックス22,000円/1回×2回)。













