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監修者 ・医学博士(大阪大学大学院) |
[ 所属学会 ] ・日本皮膚科学会 |
今回は重症にきびの治療薬として
花ふさ皮ふ科グループ(江坂駅前花ふさ皮ふ科・千里中央花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科)でも患者さんに処方している、イソトレチノインについて解説していきます。
副作用が怖い薬といったイメージをお持ちの患者さんもいらっしゃると思いますが、
きちんと医師の指導のもと使用すれば怖い薬ではありません。
しかし、日本ではまだ承認されていない薬のため
海外からインターネット通販を利用して
自己判断で購入している方もいると聞きますが、それは非常に危険です。
イソトレチノインを内服するにあたって注意しておかなければならない副作用は様々です。
こちらの解説で薬のメリット、デメリットについて理解が深まれば幸いです。
目次
1.イソトレチノインとは?
イソトレチノインは、ビタミンAのレチノイド誘導体で、
1982年に重症のにきび治療薬としてアメリカではじめて承認された薬です。
欧米では古くから使用されているお薬です。
イソトレチノインは、ニキビ治療に非常に効果的で、皮脂腺のサイズを縮小し、皮脂の分泌を減らします。
- 細胞増殖を調節し、角質の詰まりを解消します。
- 毛穴の環境を整え、アクネ菌の数を減らします。さらに、抗炎症作用、免疫調節作用を持ちます。1)
日本では2025年2月時点では、にきびの治療薬として承認されておらず、
当院では品質が確認された安全な内服薬を海外から輸入し、自費治療として処方しています。
2.イソトレチノインの使用方法
花ふさ皮ふ科グループでは、通常1日1錠(20mg)を食後に内服します。
イソトレチノインは脂肪分と一緒に吸収されやすいため、
効果を上げるためにある程度脂っこいものを食べた後に内服するのがよいでしょう。
体重に応じて、累積投与量を計算し、通常約8〜12ヶ月継続して内服します。
治療終了後にはニキビの出来にくい肌へと改善します。
効果が不十分な場合や、副作用が出た場合は、それぞれ内服期間を延長したり、短縮したりすることがあります。
3.イソチレチノインの副作用とは?
イソトレチノインの副作用には以下のようなものが挙げられます。2)
口唇炎や唇の乾燥は、約 90%の患者さんに見られる最も一般的な副作用です。
- 妊婦への影響 胎児の奇形
- 精神症状 うつ、精神病の悪化
- 筋骨格症状 骨または関節の痛み、筋力低下、体のだるさ
- 神経症状 頭痛、目のかすみ、めまい
- 消化器症状 吐き気、嘔吐、下痢
- 皮膚症状 口唇炎、唇や鼻の乾燥、日光過敏症
- 肝酵素上昇(肝機能障害)
- クレアチンキナーゼ(CK, 筋肉に含まれる酵素)の上昇
- 脂質異常症(コレステロール値、中性脂肪値、LDL値の上昇)
4.イソトレチノインを内服できない人
- 妊娠中、授乳中の女性(赤ちゃんに重大な異常を引き起こす催奇形性があります)
- 妊活中の方(男女とも)
- 15歳以下のお子様(成長期で身長が伸びている方)
- 肝機能障害のある方
- 精神疾患(うつ病など)をお持ち、または治療中の方
- ビタミンAに対するアレルギーをお持ちの方
- 大きな手術を予定されている方
- 炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)のある方
- テトラサイクリン系抗生剤(後述)を使用中の方
5.イソトレチノインは怖い薬なの?
イソトレチノインには様々な副作用がありますが、当院で治療を行う場合、上記の副作用がでていないか、毎回チェックします。
特に血液検査は約1~2か月おきに必ず実施し、異常があれば早く発見し対処することが肝心です。
きちんと皮膚科専門医の指導のもと内服するのであれば、副作用に注意しながら安全に治療を行えます。
しかし、最初に述べたように、自己判断で通販を利用して内服するのは大変危険です。
まず、個人がインターネット通販で購入する海外の医薬品は、品質の保証が全くなされていません。
有害な不純物が含まれていたり、偽物で有る可能性もあります。
そのため、全く効果が出ないだけであれば、まだ体への悪影響はありませんが、
通常のイソトレチノインでは起こりえない副作用が起こったりすることもあり得ます。
まとめ
イソチレチノインは、他のニキビ治療が全く無効だった患者さんにも効果が高い、非常に有用なお薬です。
皮膚科専門医のいるクリニックで、安全に治療を行うようにしましょう。
当院のイソトレチノインの処方について、詳細はこちらのページをご覧ください。
youtubeでも詳しく解説しています。
1)StatPearls. Isotretinoin. National Center for Biotechnology Information. StatPearls Publishing. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK525949/. Accessed January 29, 2025.
2)Al-Dabagh A, Davis SA, McMichael AJ, Feldman SR. Oral isotretinoin and its uses in dermatology: A review. Dermatology Reports. 2023;15(4):e10464604. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10464604/. Accessed January 29, 2025.
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- イソトレチノイン