マラセチア(Malassezia)とは、健康な人の皮膚にも常在する真菌(カビの一種)で、皮脂を栄養源として皮膚表面に生息しています。通常は無害ですが、皮脂の過剰分泌・発汗・高温多湿などの条件が重なると増えすぎ、マラセチア毛包炎・癜風(でんぷう)・脂漏性皮膚炎などの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
「胸や背中のニキビが治らない」「淡いまだら状の斑が気になる」とお悩みの方は、実はマラセチアが原因である可能性があります。ニキビ(アクネ菌)とは原因菌も治療薬もまったく異なるため、正確な診断が重要です。本記事では、千里中央・豊中・吹田エリアで皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブル資格を持つ花房崇明理事長(医学博士)の監修のもと、マラセチアの全体像をわかりやすく解説します。
目次
マラセチアとは?皮膚の常在真菌について
マラセチアは真菌(カビ)の一種で、ほぼすべての人の皮膚に存在する常在菌です。皮脂腺が多い顔・頭皮・胸・背中などに多く生息し、皮脂(脂質)を分解しながら生きています。
重要なのは、マラセチア自体は「いる」だけでは病気にならないという点です。何らかのきっかけで菌が異常に増殖したとき、はじめて皮膚トラブルとして現れます。また、常在菌であるため、人から人へうつる病気ではありません。
【ポイント】マラセチアは「常在菌」
マラセチアは健康な皮膚にも存在する菌です。「菌がいる=病気」ではなく、菌が増えすぎたときに症状が出ます。感染症のように他人にうつることはありません。
マラセチアが増えすぎると起こる3つの皮膚トラブル
マラセチアの増殖が関与する主な皮膚疾患は以下の3つです。それぞれ症状・部位・治療が異なるため、正確な診断が大切です。
① マラセチア毛包炎
マラセチアが毛穴(毛包)の中で増殖して起こる炎症です。胸・背中・肩・二の腕・額などに、大きさのそろった赤い小さなブツブツ(丘疹・膿疱)が多発します。かゆみを伴うことが多く、「ニキビに似ているが治らない」と感じる方が多い疾患です。
② 癜風(でんぷう)
マラセチアが皮膚の角層(表面)で増殖して起こる、色調の変化が特徴の疾患です。胸・背中・首・腕などに淡い茶色〜白いまだら状の斑が現れます。かゆみは軽いか、ほとんどない場合が多いです。日焼けすると周囲の皮膚との色の差が目立ちやすくなります。
③ 脂漏性皮膚炎
頭皮・顔(眉間・鼻周り・耳の後ろなど)に赤みやフケが生じる皮膚炎で、マラセチアが関与していると考えられています。詳しい症状・治療については脂漏性皮膚炎の専用記事をご参照ください。
| 疾患名 | 主な症状 | 好発部位 | かゆみ |
|---|---|---|---|
| マラセチア毛包炎 | 赤い小さなブツブツ(丘疹・膿疱) | 胸・背中・肩・二の腕・額 | あることが多い |
| 癜風(でんぷう) | 茶色〜白いまだら状の斑 | 胸・背中・首・腕 | 軽いか無いことが多い |
| 脂漏性皮膚炎 | 赤み・フケ・かさつき | 頭皮・顔・耳周り | あることが多い |
ニキビとマラセチア毛包炎の違い
マラセチア毛包炎は見た目がニキビに非常に似ているため、自己判断や市販のニキビ薬での対処は症状を長引かせる原因になることがあります。
| 項目 | ニキビ(尋常性痤瘡) | マラセチア毛包炎 |
|---|---|---|
| 原因 | アクネ菌(細菌) | マラセチア(真菌・カビ) |
| 治療薬 | 抗菌薬・外用レチノイドなど | 抗真菌薬(外用・内服) |
| ブツブツの特徴 | 大きさがばらつきやすい | 大きさがそろって多発しやすい |
| かゆみ | 少ない | あることが多い |
| 好発部位 | 顔・背中・胸など | 胸・背中・肩・二の腕・額 |
【やってはいけないNG行動】
- ニキビ用の抗菌薬(外用・内服)でマラセチア毛包炎を自己治療する→効果がないだけでなく、悪化することがあります
- 「そのうち治るだろう」と放置してステロイド外用薬を長期使用する→マラセチアの増殖を助長する可能性があります
- 自己判断で強くこすり洗いをする→皮膚のバリア機能が低下し、症状が悪化することがあります
マラセチアが増えやすい悪化因子
マラセチアは以下のような条件が重なると増殖しやすくなります。心当たりがある方は特に注意が必要です。
- 皮脂の過剰分泌:思春期・ホルモンバランスの変化・脂っぽい食生活
- 発汗・高温多湿:夏季・スポーツ後・蒸れやすい衣類の着用
- ステロイド外用薬の長期使用:免疫が局所的に低下し、真菌が増えやすくなる
- 抗菌薬の長期内服:皮膚の常在細菌叢(さいきんそう)のバランスが崩れ、真菌が相対的に増えやすくなる
- 免疫力の低下:疲労・睡眠不足・基礎疾患など
癜風(でんぷう)は特に高温多湿の夏に増悪・再発しやすい疾患です。治療で一度菌が減少しても、条件が整うと再び増えることがあります。再発しやすい体質の方は、季節ごとのケアが重要です。
治療の基本:抗真菌薬という考え方
マラセチアによる皮膚トラブルに共通する治療の軸は「抗真菌薬」です。細菌(ニキビ)に使う抗菌薬とは作用が異なり、真菌(カビ)に対して効果を発揮します。
外用抗真菌薬(塗り薬)
マラセチア毛包炎・癜風ともに、ケトコナゾールなどの抗真菌外用薬が基本治療です。医療用のケトコナゾール製剤(ニゾラール®など)は市販では購入できず、医師の処方が必要です。保険診療で処方可能です。
内服抗真菌薬(飲み薬)
症状が広範囲に及ぶ場合や、外用薬だけでは改善が難しい場合は、イトラコナゾールなどの抗真菌薬の内服が選択されることがあります。内服薬には副作用・薬物相互作用のリスクもあるため、医師の診察・判断のもとで使用します。
癜風の色のまだらについて
癜風では、治療によって菌が減少しても、色のまだら(特に白く抜けた部分)が元に戻るまでには時間がかかることがあります。「薬を使ったのに色が戻らない」と感じる方もいますが、これは菌が残っているわけではなく、色素細胞の回復に時間を要するためです。経過には個人差があります。
市販薬について
ミコナゾールなどの抗真菌成分を含む市販外用薬もありますが、ニキビと誤って判断して市販のニキビ薬を使い続けると、症状が長引くことがあります。自己判断での対処には限界があるため、症状が続く場合は皮膚科への受診をおすすめします。
セルフケア・日常での予防法
治療と並行して、日常生活での工夫がマラセチア増殖の抑制に役立ちます。
- 汗をかいたらすぐシャワー:汗・皮脂をこまめに洗い流す
- 通気性の良い衣類を選ぶ:蒸れを防ぎ、高温多湿の環境を避ける
- こすりすぎない洗い方:ナイロンタオルなどで強くこすらず、泡で優しく洗う
- 保湿でバリア機能を維持:乾燥しすぎも皮膚バリアを低下させるため、適切な保湿を
- ステロイド外用薬の自己判断使用を避ける:必ず医師の指示に従う
こんな症状はすぐ受診を
以下に当てはまる場合は、自己判断を続けず、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
- 胸・背中・肩のブツブツが市販のニキビ薬で2週間以上改善しない
- かゆみを伴うブツブツが多数・均一に広がっている
- 胸・背中・首などに茶色または白いまだら状の斑がある
- 頭皮・顔にフケや赤みが続いている
- ステロイドや抗菌薬を長期使用中に皮膚症状が悪化した
花ふさ皮ふ科グループでの診療
花ふさ皮ふ科グループでは、マラセチア毛包炎・癜風・脂漏性皮膚炎に対して、皮膚科専門医による診察と保険診療での抗真菌薬処方に対応しています。
必要に応じて顕微鏡検査(真菌検査)を行い、マラセチアによる疾患かどうかを確認したうえで治療方針を決定します。「ニキビと思って治療していたが改善しない」「これはニキビ?それとも別の何か?」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
千里中央・豊中・吹田エリアの方には千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央駅から徒歩約5分・駐車場9台完備)、吹田市江坂エリアの方には江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分)、箕面・茨木・池田エリアの方にはみのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結)をご利用いただけます。
🎥 動画でわかる:顔や背中・胸のかゆみや赤いポツポツ、もしかしてマラセチア毛包炎かも?(皮膚科専門医の解説)
マラセチア毛包炎・癜風の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医の監修のもと、抗真菌薬による保険診療に対応。ニキビと見分けにくい症状も、必要に応じて検査で診断します。通いやすい院をお選びいただけます。
ニキビが治らない・背中や胸のブツブツは花ふさ皮ふ科グループへ
マラセチア毛包炎や癜風は、ニキビと似ていても治療(抗真菌薬)が異なります。自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
まとめ
まとめ|マラセチアは正確な診断と抗真菌治療が大切
マラセチアは皮膚の常在真菌ですが、増えすぎると毛包炎・癜風・脂漏性皮膚炎などを引き起こします。ニキビと見た目が似ているため自己判断が難しく、誤った治療で症状が長引くケースも少なくありません。
- マラセチアは常在菌:誰にでもいる菌で、うつる病気ではない
- 増えすぎると毛包炎・癜風・脂漏性皮膚炎に:それぞれ症状・好発部位が異なる
- ニキビとは原因菌・治療薬が違う:抗菌薬ではなく抗真菌薬で治療する
- 癜風の色の戻りには時間がかかる:菌が減っても色素回復には個人差がある
- 悪化因子を避けることが予防に:発汗・高温多湿・ステロイド長期使用などに注意
最終的な診断・治療方針は必ず医師の診察を受けたうえで決定してください。千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面エリアでお悩みの方は、花ふさ皮ふ科グループへお気軽にご相談ください。
マラセチア関連についてもっと知る(関連記事)
ニキビが治らない・背中や胸のブツブツは花ふさ皮ふ科グループへ
マラセチア毛包炎や癜風は、ニキビと似ていても治療(抗真菌薬)が異なります。自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
FAQ(よくある質問)
Q1:マラセチア毛包炎とニキビはどうやって見分けるのですか?
A.
見た目だけでの自己判断は非常に難しいです。マラセチア毛包炎は大きさのそろった赤いブツブツが多発し、かゆみを伴うことが多い点がニキビとの違いのひとつです。ただし確実に見分けるには皮膚科での診察・必要に応じた顕微鏡検査(真菌検査)が必要です。「ニキビ薬を使っても治らない」場合は早めに受診されることをおすすめします。
Q2:マラセチアは人にうつりますか?
A.
マラセチアは健康な人の皮膚にも存在する常在菌です。そのため、マラセチアによる皮膚トラブル(毛包炎・癜風など)は感染症のように人から人へうつる病気ではありません。家族や周囲の人への感染を心配する必要はありません。
Q3:癜風(でんぷう)の白いまだらはいつ消えますか?
A.
抗真菌薬による治療で菌が減少しても、白く色が抜けた部分(色素脱失)が元に戻るまでには数か月以上かかることがあります。これは菌が残っているわけではなく、色素細胞(メラノサイト)の回復に時間を要するためです。回復の速さには個人差があります。焦らず継続的にケアすることが大切です。
Q4:市販の抗真菌薬で自己治療できますか?
A.
ミコナゾールなどの抗真菌成分を含む市販外用薬はありますが、まずニキビかマラセチア毛包炎かを正確に判断することが重要です。誤ってニキビ用の薬を使い続けると症状が長引くことがあります。また、医療用のケトコナゾール製剤(ニゾラール®など)は市販では購入できません。症状が続く場合や広範囲に及ぶ場合は、皮膚科での診察・処方薬による治療をおすすめします。
Q5:マラセチア毛包炎は再発しますか?
A.
マラセチアは常在菌であるため、治療後も体質・生活環境によっては再発することがあります。特に夏季・発汗が多い時期・ステロイドや抗菌薬の使用時などは注意が必要です。再発を繰り返す場合は、医師と相談しながら維持療法や生活習慣の見直しを検討することが大切です。
Q6:マラセチアと脂漏性皮膚炎はどう違うのですか?
A.
どちらもマラセチアが関与していますが、症状・部位が異なります。マラセチア毛包炎は毛穴に炎症が起きてブツブツが多発する疾患、脂漏性皮膚炎は頭皮・顔などに赤みやフケが生じる皮膚炎です。治療の方向性(抗真菌薬の使用)は共通する部分がありますが、詳しい治療法は疾患によって異なります。脂漏性皮膚炎の詳細については専用の解説記事をご参照ください。













