乾癬(かんせん)とは、免疫の異常によって皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が異常に速くなり、赤い盛り上がり(紅斑)に銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)が付着してポロポロはがれ落ちる、慢性の皮膚疾患です。日本では約10万人以上が罹患していると推定されており、良くなったり悪くなったりを繰り返す「難治性」の疾患として知られています。
乾癬は人にうつる病気ではなく、適切な治療によって症状のない落ち着いた状態(寛解)を目指すことができます。本記事では、乾癬の定義・症状・病型・原因・治療法・受診の目安まで、皮膚科専門医・アレルギー専門医の資格を持つ花房崇明理事長(医学博士)が監修した情報をもとに、わかりやすく解説します。
目次
乾癬とは?定義と特徴
乾癬(かんせん)は、免疫の異常(IL-17・IL-23・TNFαなどのサイトカインの関与)によって皮膚のターンオーバーが正常の約10倍以上の速さで進み、未熟な角質細胞が皮膚表面に積み重なる慢性炎症性皮膚疾患です。
乾癬の本質的な特徴
正常な皮膚のターンオーバーは約28日かかるところ、乾癬では数日〜1週間程度に短縮。未熟な細胞が大量に積み重なることで、赤い盛り上がり(紅斑)+銀白色の鱗屑(りんせつ)という特徴的な皮疹が生じます。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、長期にわたる管理が必要な疾患です。
乾癬の症状と出やすい部位
乾癬の皮疹は体のさまざまな部位に現れますが、特に摩擦や刺激を受けやすい部位に好発する傾向があります。
よく症状が出る部位
- 肘・膝:最も多く見られる部位。境界明瞭な紅斑と厚い鱗屑が特徴。
- 頭皮(とうひ):フケが多い・かゆいと感じる方も。脂漏性皮膚炎と混同されることがある。
- 体幹(背中・お腹):大きな紅斑が広がることがある。
- 爪:点状のくぼみ(爪点状陥凹)、爪甲剥離(そうこうはくり)、黄褐色変化など。
- 関節:関節症性乾癬では関節の痛み・腫れ・変形を伴う。
主な皮膚症状
- 境界がはっきりした赤い盛り上がり(紅斑・浸潤性紅斑)
- 表面を覆う銀白色の鱗屑(りんせつ)がポロポロとはがれ落ちる
- かゆみ(掻痒感:そうようかん)を伴うことが多い
- 鱗屑をはがすと点状の出血が見られることがある(アウスピッツ現象)
乾癬の病型(種類)
乾癬にはいくつかの病型があり、症状や重症度が異なります。最も多いのは尋常性乾癬で、乾癬全体の約80〜90%を占めるとされています。
| 病型 | 主な特徴 |
|---|---|
| 尋常性乾癬 | 最も多い。紅斑+銀白色鱗屑。肘・膝・頭皮などに好発。 |
| 関節症性乾癬(乾癬性関節炎) | 皮疹に加え、関節の痛み・腫れ・変形を伴う。放置すると関節破壊が進むことがある。 |
| 滴状乾癬 | 扁桃炎などの感染後に、雨粒のような小さな発疹が体幹・四肢に多発。 |
| 膿疱性乾癬 | 膿疱(のうほう:膿をもった水ぶくれ)が多発。全身型は重症で入院加療が必要な場合も。 |
| 乾癬性紅皮症 | 全身の皮膚が赤くなる(紅皮症)。重篤なタイプ。 |
関節症性乾癬は見逃しに注意
皮膚症状が軽くても関節の痛み・腫れが先行することがあります。関節症状がある場合は、皮膚科だけでなく整形外科・リウマチ科との連携が重要になる場合があります。早めに皮膚科専門医へご相談ください。
乾癬の原因・悪化因子
乾癬の根本的な原因は免疫系の異常とされており、IL-17・IL-23・TNFαなどの炎症性サイトカインが過剰に産生されることで皮膚の炎症とターンオーバーの亢進が引き起こされると考えられています。
乾癬を悪化させる主な環境因子
- ストレス:精神的・身体的なストレスは乾癬の悪化因子として知られています。
- 感染症:扁桃炎・咽頭炎などの上気道感染が誘因になることがあります(特に滴状乾癬)。
- 薬剤:一部の降圧薬(β遮断薬)・抗マラリア薬・NSAIDsなどが悪化に関与するとされています。
- 肥満:肥満は乾癬の発症・重症化リスクと関連するとされています。
- 喫煙・飲酒:乾癬の発症や悪化に関与するとされており、禁煙・節酒が推奨されます。
- 皮膚への外傷・摩擦:傷や摩擦部位に新たな皮疹が出ることがあります(ケブネル現象)。
【乾癬を悪化させるNG行動】
- 鱗屑(フケのようなもの)を無理にはがす・強くこする
- 自己判断で治療を中断する
- 喫煙・過度の飲酒を続ける
- 肥満状態を放置する
- 強いストレスを溜め込む
乾癬はうつる?遺伝する?
乾癬について多くの方が心配される「感染」と「遺伝」について正確にお伝えします。
人にうつることはありません
乾癬は感染症ではありません。細菌・ウイルス・真菌などによる感染が原因ではないため、接触・入浴・プールの共用などで他の人にうつることはありません。乾癬のある方が日常生活を普通に送っていただいて問題ありません。
遺伝について
乾癬には遺伝的な素因(体質)が関与することがあるとされています。ただし、親が乾癬であっても必ずしも子どもが発症するわけではなく、遺伝的素因に加えて環境因子(ストレス・感染・生活習慣など)が重なって発症すると考えられています。「必ず遺伝する病気」ではありません。
乾癬の治療法
乾癬の治療は重症度・病型・部位・患者さんの生活背景に応じて段階的に選択されます。乾癬は体質が関わる慢性疾患であり、「寛解(症状のない状態)」ではなく寛解(症状のない・落ち着いた状態)を目指し、維持していくことが治療のゴールです。効果・経過には個人差があります。
① 外用療法(塗り薬)
軽症〜中等症の乾癬の基本治療です。
- ステロイド外用薬:炎症を抑える。部位・重症度に応じてランクを選択。
- 活性型ビタミンD3外用薬:皮膚細胞の増殖を抑制し、ターンオーバーを正常化する方向に働く。
- 配合剤:ステロイドと活性型ビタミンD3の配合剤。1日1回塗布で利便性が高い。
② 光線療法(紫外線療法)
紫外線を照射することで免疫反応を調整し、皮疹の改善を目指します。
- エキシマライト:308nmの紫外線を患部に集中照射。局所的な乾癬に有効とされています。
- ナローバンドUVB:311〜313nmの紫外線を全身または広範囲に照射。
光線療法の詳細は紫外線療法(エキシマライト)の詳細もご参照ください。
③ 内服療法(飲み薬)
- オテズラ(アプレミラスト):PDE4阻害薬。炎症性サイトカインの産生を抑制する経口薬。注射が不要で外来での継続治療に適しています。
- シクロスポリン:免疫抑制薬。中等症〜重症の乾癬に使用。定期的な血液検査が必要です。
- チガソン(エトレチナート):レチノイド(ビタミンA誘導体)。膿疱性乾癬などに使用。妊婦・妊娠希望の方は使用できないなど適応に制限があります。
④ 分子標的薬・生物学的製剤(注射)
中等症〜重症の乾癬で、外用・光線・内服療法で十分な効果が得られない場合に検討される治療です。IL-17・IL-23・TNFαなどのサイトカインを標的とした薬剤で、高い治療効果が期待されています。
分子標的薬・生物学的製剤について
千里中央花ふさ皮ふ科は日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設です。ソーティクツ(デュークラバシチニブ)などの分子標的薬や生物学的製剤(注射)による治療に対応しています。江坂駅前・みのお院ではこれらの治療は行っておらず、必要に応じて千里中央院へ連携・紹介いたします。適応要件・費用負担については診察時にご確認ください。
| 治療法 | 対象重症度 | 対応院 |
|---|---|---|
| 外用療法 | 軽症〜中等症 | 全3院(千里中央・江坂・みのお) |
| 光線療法 | 軽症〜中等症 | 全3院(千里中央・江坂・みのお) |
| 内服療法 | 中等症〜重症 | 全3院(千里中央・江坂・みのお) |
| 分子標的薬・生物学的製剤 | 中等症〜重症 | 千里中央院のみ(他院は連携・紹介) |
花ふさ皮ふ科グループでの乾癬診療
花ふさ皮ふ科グループでは、豊中市・千里中央・吹田・江坂・箕面エリアの患者さんに対し、保険診療で乾癬の診断・治療に対応しています。理事長・花房崇明(皮膚科専門医・アレルギー専門医・難病指定医・医学博士)の監修のもと、重症度に応じた段階的な治療を提供しています。
各院の診療内容
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(豊中市上新田・千里中央駅から徒歩約5分):外用・光線療法・内服に加え、分子標的薬・生物学的製剤(日本皮膚科学会承認施設)にも対応。
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(吹田市江の木町・江坂駅から徒歩約1分):外用・光線療法・内服に対応。分子標的薬・生物学的製剤が必要な場合は千里中央院へ紹介。
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府箕面市西宿・箕面萱野駅直結):外用・光線療法・内服に対応。分子標的薬・生物学的製剤が必要な場合は千里中央院へ紹介。
光線療法(エキシマライト・ナローバンドUVB)の詳細については紫外線療法(エキシマライト)の詳細ページもご覧ください。
乾癬の診断・治療方針は医師の診察によって異なります。「皮膚がカサカサして赤い」「フケのようなものが大量に出る」「関節が痛い」などの症状がある方は、まずお気軽にご相談ください。
乾癬の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)— 分子標的薬・生物学的製剤の承認施設
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医・難病指定医の監修のもと、外用薬・光線療法(エキシマ)・内服薬(オテズラ・シクロスポリン・チガソン)による保険診療に対応。さらに千里中央院は日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設として、ソーティクツなどの分子標的薬や生物学的製剤による重症乾癬の治療にも対応します(江坂・みのおでは行っておらず、必要時は千里中央院と連携します)。
くり返す・治りにくい乾癬は花ふさ皮ふ科グループへ
乾癬は症状や重症度に応じて、外用・光線療法・内服・分子標的薬まで幅広い治療があります。皮膚科専門医・アレルギー専門医が保険診療でご提案します。気になる症状は自己判断せずご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。
こんな症状はすぐ受診を
以下に当てはまる場合は、早めに皮膚科専門医を受診することをおすすめします。
- 全身に広範囲の赤み・鱗屑が急速に広がっている
- 膿をもった水ぶくれ(膿疱)が多発している
- 高熱・全身倦怠感を伴う皮膚症状がある
- 関節の痛み・腫れ・変形が出てきた
- 市販薬や以前処方された薬を使っても改善しない・悪化している
- 皮膚症状のせいで日常生活・仕事・睡眠に支障が出ている
膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症は重症型であり、入院加療が必要になる場合があります。急激な悪化や全身症状を伴う場合は速やかに医療機関を受診してください。
まとめ|乾癬は適切な治療で寛解を目指せる疾患です
乾癬は免疫の異常によるターンオーバーの乱れが原因の慢性皮膚疾患ですが、現在は多くの治療選択肢があり、適切な治療によって症状のない落ち着いた状態(寛解)を目指すことができます。
- うつらない:乾癬は感染症ではなく、人にうつりません。
- 治療は段階的に:外用→光線療法→内服→分子標的薬・生物学的製剤の順で重症度に応じて選択。
- 千里中央院は承認施設:分子標的薬・生物学的製剤が必要な方は千里中央花ふさ皮ふ科で対応可能(江坂・みのお院からの連携・紹介あり)。
- 悪化因子を避ける:ストレス・喫煙・飲酒・肥満・感染症などの管理が大切です。
- 最終的な診断・治療方針は医師の診察で:症状や経過には個人差があります。自己判断で治療を中断せず、皮膚科専門医にご相談ください。
千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面エリアで乾癬の症状にお悩みの方は、花ふさ皮ふ科グループへお気軽にご相談ください。
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FAQ(よくある質問)
Q1:乾癬は人にうつりますか?
A.
乾癬は感染症ではないため、人にうつることはありません。細菌やウイルスが原因の病気ではなく、免疫の異常によって起こる慢性皮膚疾患です。接触・入浴・プールの共用などで他の人に感染することはありませんので、ご安心ください。
Q2:乾癬は遺伝しますか?
A.
乾癬には遺伝的な素因(体質)が関与することがあるとされています。ただし、親が乾癬であっても必ずしも子どもが発症するわけではありません。遺伝的素因に加えて、ストレス・感染・生活習慣などの環境因子が重なって発症すると考えられており、「必ず遺伝する病気」ではありません。
Q3:乾癬は寛解(症状のない状態)しますか?
A.
乾癬は体質が関わる慢性疾患であるため、「寛解(症状のない状態)」という表現は一般的に用いません。治療のゴールは、症状のない・落ち着いた状態(寛解)を目指し、その状態を維持していくことです。適切な治療を継続することで、多くの方が日常生活に支障のない状態を保てるとされています。ただし、効果・経過には個人差があります。
Q4:乾癬の治療には保険が使えますか?
A.
乾癬の治療(外用薬・光線療法・内服薬・生物学的製剤など)は、基本的に公的医療保険の適用対象です。ただし、生物学的製剤・分子標的薬については適応要件があり、すべての方に使用できるわけではありません。また、費用負担については薬剤・治療法によって異なりますので、詳細は診察時にご確認ください。
Q5:頭皮にもフケのような症状がありますが、乾癬ですか?
A.
頭皮の乾癬は、大量のフケ・かゆみ・赤みとして現れることがあり、脂漏性皮膚炎など他の疾患と見た目が似ていることがあります。自己判断は難しいため、症状が気になる場合は皮膚科専門医による診察をお受けください。正確な診断のもと、適切な治療法を選択することが大切です。
Q6:関節が痛いのも乾癬と関係がありますか?
A.
皮膚の乾癬に加えて関節の痛み・腫れ・変形が見られる場合、「関節症性乾癬(乾癬性関節炎)」の可能性があります。皮膚症状が軽くても関節症状が先行することもあります。放置すると関節の変形が進む場合があるため、関節症状がある方は早めに皮膚科専門医にご相談ください。必要に応じて整形外科・リウマチ科との連携も行います。
Q7:千里中央以外の院でも乾癬の治療を受けられますか?
A.
江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科でも、外用療法・光線療法・内服療法による乾癬の保険診療に対応しています。分子標的薬・生物学的製剤(注射)による治療が必要と判断された場合は、日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設である千里中央花ふさ皮ふ科へ連携・紹介いたします。まずはお近くの院へお気軽にご相談ください。













