疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)という微小なダニが皮膚の角質層に寄生することで引き起こされる感染症です。強いかゆみ(特に夜間)と特徴的な発疹が現れ、家族や介護施設などで集団感染することがある点が大きな特徴です。

「体中がかゆくて眠れない」「家族や施設の入居者にもうつってしまうか心配」――そのような不安を抱えている方に向けて、本記事では疥癬の症状・うつり方・診断方法・治療法・感染対策まで、皮膚科専門医が詳しく解説します。自己判断は難しい疾患ですので、気になる症状がある場合は早めに皮膚科を受診することが大切です。

監修者:花房 崇明

監修医師

理事長:花房 崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院) / 日本皮膚科学会皮膚科専門医

・日本アレルギー学会アレルギー専門医 / 日本抗加齢医学会専門医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会 / 日本美容皮膚科学会 等

目次

疥癬とは?定義と概要

疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)という目に見えないほど小さなダニが皮膚の角質層に寄生・繁殖することで起こる感染症です。寄生したダニが角質層の中でトンネルを掘り進みながら産卵し、その過程でアレルギー反応が引き起こされ、強いかゆみが生じます。

疥癬は日本を含む世界中で見られる感染症であり、高齢者施設・病院・家庭内など、人と人が密に接触する環境で集団感染が起きやすいことが知られています。適切な治療と感染対策によって症状の改善が期待できますが、見た目が湿疹・アトピー・じんましん・虫さされなどと似ているため、皮膚科での正確な診断が不可欠です。

疥癬の症状|写真で探している方へ(言葉で丁寧に解説)

「疥癬 写真」で検索される方が多いですが、ここでは症状の見え方を言葉で丁寧にご説明します。

かゆみの特徴

疥癬の最も代表的な症状は強いかゆみ(掻痒感:そうようかん)です。特に夜間・入浴後など体が温まったときに強くなる傾向があり、眠れないほどのかゆみを訴える方も少なくありません。これはヒゼンダニへのアレルギー反応によるものとされています。

発疹の出やすい部位

発疹は体のやわらかい部分・皮膚が薄い部分に出やすく、主に以下の部位に見られます。

  • 手首の内側・手のひら・指の間(指間部)
  • わきの下(腋窩)
  • お腹・おへその周り・腰まわり
  • 陰部・おしり・太ももの内側
  • 乳房の下・肘の内側・膝の裏

顔・頭部・首は成人では出にくいとされていますが、乳幼児や免疫が低下した方では全身に及ぶことがあります。

疥癬トンネル(線状の皮疹)

疥癬トンネルとは、ヒゼンダニが角質層の中を掘り進んだ跡が皮膚の表面に線状(くねくねした灰白色〜薄茶色の細い線)として現れたものです。長さは数ミリ〜1センチ程度で、手首・指の間・手のひらなどに見つかることが多く、疥癬に特徴的な所見とされています。ただし、かき壊してしまうと見えにくくなることがあります。

【疥癬トンネルのポイント】
疥癬トンネルは肉眼では非常に見えにくく、ダーモスコピー(皮膚用拡大鏡)を使うことで確認しやすくなります。自己判断で「疥癬トンネルがない=疥癬ではない」と判断するのは危険です。専門医による検査が必要です。

通常疥癬と角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の違い

疥癬には大きく2つのタイプがあり、感染力・症状・対応が大きく異なります。

項目通常疥癬角化型疥癬(ノルウェー疥癬)
寄生するダニの数比較的少ない(数十匹程度)非常に多い(数百万匹に及ぶことも)
感染力比較的低い極めて強い
主な症状強いかゆみ・小さな赤いブツブツ・疥癬トンネル手・足・全身の厚い角質(垢状のかさぶた)・かゆみは軽い場合もある
なりやすい人特定の基礎疾患がなくても起こりうる免疫が低下した方・高齢者・ステロイド長期使用者など
集団感染リスク長時間の接触で起こりうる短時間の接触・環境(寝具・衣類)経由でも起こりやすい

【角化型疥癬は特に注意が必要です】

  • 介護施設・病院などで一人でも角化型疥癬の方がいると、集団感染に発展するリスクがあります
  • かゆみが軽い場合があるため、発見が遅れることがあります
  • 疑いがある場合は速やかに皮膚科を受診し、施設・家族への感染対策を同時に行うことが重要です

うつり方と感染経路

疥癬の主な感染経路は肌と肌の長時間の直接接触です。感染の仕組みを正しく理解することが、冷静な対処につながります。

主な感染経路

  • 直接接触:家族・介護・医療ケアなど、肌が長時間触れ合う状況(通常疥癬の場合、短時間の接触ですぐにうつるわけではありません)
  • 間接接触:寝具・衣類・タオルの共用(特に角化型疥癬では、剥がれ落ちた角質にダニが含まれるため、環境経由の感染リスクが高くなります)
  • 集団感染:家族内・介護施設・病院などで複数の方に同時期に広がることがあります

通常疥癬の場合、握手や短時間の接触だけですぐにうつる可能性は低いとされています。ただし、角化型疥癬は感染力が非常に強いため、接触した方全員の確認・治療が必要になります。感染が判明した場合は、過度に心配しすぎず、医師の指示に従って冷静に対処することが大切です。

診断方法|ダーモスコピー・顕微鏡検査

疥癬の診断には、専門的な検査機器と医師の経験が不可欠です。

ダーモスコピー(皮膚用拡大鏡)

ダーモスコピーとは、皮膚を数十倍に拡大して観察できる専用機器です。疥癬トンネルの先端に潜むヒゼンダニを「デルタグライダーサイン(三角形の黒点)」として確認することができ、診断の手がかりになります。痛みを伴わない検査です。

顕微鏡検査(検鏡)

皮膚の表面を少量採取し、顕微鏡でヒゼンダニ本体・卵・糞などを直接確認する検査です。ヒゼンダニや卵が確認されれば疥癬と確定診断できます。

自己判断が難しい理由

疥癬の発疹は、湿疹・アトピー性皮膚炎・じんましん・虫さされ・薬疹など、多くの皮膚疾患と見た目が非常に似ています。市販の薬を使って症状を一時的に抑えても、疥癬であれば根本的な治療にはならず、その間に感染が広がるリスクもあります。「かゆい・発疹がある」と気づいたら、早めに皮膚科を受診して正確な診断を受けることを強くお勧めします。

治療法(保険診療)

疥癬の治療は公的医療保険が適用されます。内服薬と外用薬を組み合わせて行い、同時に感染対策を進めることが重要です。治療の効果や必要な回数には個人差があります。

内服薬:イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)

ヒゼンダニに対して有効な内服薬です。体重に応じて医師が用量を決定し、1回内服後、通常1〜2週間後にもう一度内服します(複数回)。必ず医療機関で医師の処方を受けて使用してください。個人輸入や通販での入手は安全性・適切な用量管理の観点から推奨されません。

外用薬:フェノトリンローション(商品名:スミスリンローション)

首から下の全身に塗布し、一定時間後に洗い流します。1週間間隔で複数回繰り返すことが一般的です。塗り残しがないよう全身に丁寧に塗ることが重要で、塗り方・回数は医師の指示に従ってください。

かゆみへの対症療法

かゆみに対してはクロタミトン(商品名:オイラックス)などの外用薬を用いることがあります。治療が奏功した後も、ダニへのアレルギー反応によるかゆみがしばらく続くことがあります。「かゆみが続く=治っていない」とは限りませんが、症状が長引く場合は必ず医師に相談してください。

【治療における注意点】
・治療効果・必要回数・薬の適応は個人差があり、医師の診察のうえで判断します。
・かゆみは治療後もしばらく続くことがあります。
・自己判断で治療を中断しないことが大切です。
・再感染を防ぐため、同居家族・接触者の確認と、必要に応じた同時治療が重要です。

感染対策・環境整備

薬による治療と並行して、環境中のヒゼンダニを減らす対策が欠かせません。

寝具・衣類の処理

  • シーツ・枕カバー・下着・パジャマなどは60℃以上の熱湯に10分以上浸けるか、乾燥機(高温)で10分以上乾燥させるとヒゼンダニを死滅させられるとされています
  • 洗濯後は他の衣類と分けて保管する
  • 熱処理が難しいものは、ビニール袋に密封して数日間放置する方法もあります(医師に相談を)

同居家族・接触者への対応

  • 疥癬と診断された場合、同居家族や長時間接触した方も症状の有無にかかわらず、皮膚科を受診して確認することが推奨されます
  • 介護施設・病院などでは、施設全体での対応が必要になる場合があります。医師・施設管理者と連携して対処することが重要です

こんな症状はすぐ受診を

以下に該当する場合は、早めに皮膚科を受診してください。

  • 夜間に強くなるかゆみが続いている
  • 手首・指の間・陰部などに赤いブツブツや線状の皮疹がある
  • 家族・施設の入居者・同僚などに同様の症状が出ている
  • 市販薬を使っても改善しない、または悪化している
  • 介護や医療ケアを行っている方で、ケアを受けている方が疥癬と診断された
  • 免疫が低下している方(高齢者・ステロイド長期使用中・透析中など)でかゆみ・発疹がある

【やってはいけないNG行動】

  • 「かゆいだけ」と自己判断して市販のかゆみ止めだけで様子を見続ける
  • 疥癬と確認されていないまま感染対策を行わず、家族・施設内への感染を広げてしまう
  • イベルメクチンを医師の処方なしに個人輸入・通販で入手・使用する
  • 治療途中でかゆみが続いているからといって、自己判断で治療を中断する

花ふさ皮ふ科グループでの疥癬診療

花ふさ皮ふ科グループでは、ダーモスコピーおよび顕微鏡検査(検鏡)による確定診断を行い、疥癬と確認された場合は内服薬(イベルメクチン/ストロメクトール)・外用薬(フェノトリンローション/スミスリンローション、クロタミトン等)による治療に対応しています(いずれも保険診療)。治療と並行して、感染対策・同居家族や接触者への対応についても医師・スタッフが丁寧にご説明します。

グループの各院は以下のとおりです。千里中央・豊中・吹田エリアをはじめ、江坂・箕面・茨木・池田エリアからもご相談いただけます。

  • 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田)― 千里中央駅から徒歩約5分、駐車場9台完備。皮膚科・アレルギー科・形成外科に対応。
  • 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(吹田市江の木町)― 江坂駅から徒歩約1分。
  • みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府箕面市西宿)― 箕面萱野駅直結。箕面・茨木・池田エリアからもアクセス便利。

いずれの院も、理事長・花房崇明(皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士)の監修のもと、保険診療で疥癬に対応しています。「疥癬かどうか分からない」という段階からでもお気軽にご相談ください。

当院の医師による解説動画もご覧ください

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疥癬の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます

  • 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
  • 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
  • みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)

いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医・難病指定医の監修のもと、ダーモスコピーや顕微鏡検査で疥癬虫・卵を確認して正しく診断し、内服薬(イベルメクチン)や外用薬(フェノトリン=スミスリンローション、クロタミトン)による保険診療に対応します。ご家族・施設での感染対策もご相談いただけます。

強いかゆみ・うつる発疹、疥癬が心配なときは花ふさ皮ふ科グループへ

疥癬は早期の診断と治療、そして周囲への感染対策が大切です。ダーモスコピーや顕微鏡検査で正しく診断し、保険診療で治療します。自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科

千里中央・豊中・吹田 保険外来をWEB予約 皮膚科の診療案内

江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科

江坂駅 徒歩1分・吹田 保険外来をWEB予約 皮膚科のご案内

みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科

箕面萱野駅 直結・箕面・茨木・池田 保険外来をWEB予約 疥癬の詳細

まとめ

まとめ|疥癬は早期受診・正確な診断が大切です

疥癬(かいせん)はヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生する感染症で、夜間に強くなるかゆみと特徴的な発疹(疥癬トンネルを含む)が主な症状です。見た目が他の皮膚疾患と似ているため自己判断は難しく、ダーモスコピー・顕微鏡検査による正確な診断が重要です。

  • 症状の特徴:夜間に強いかゆみ・手首や指の間・陰部などの発疹・疥癬トンネル(線状の皮疹)
  • 2つのタイプ:通常疥癬(感染力は比較的低い)と角化型疥癬(感染力が極めて強く、集団感染に注意)
  • うつり方:主に長時間の肌の接触・寝具や衣類の共用。家族・施設での感染対策が重要
  • 診断:ダーモスコピーと顕微鏡検査(検鏡)で確定。自己判断は難しいため皮膚科受診を
  • 治療:内服(イベルメクチン)・外用(フェノトリンローション等)の保険診療。治療効果・回数には個人差あり
  • 感染対策:寝具・衣類の熱処理、同居家族・接触者の確認と受診が不可欠

疥癬は適切な治療と感染対策によって症状の改善が期待できます。ただし、治療後もかゆみが続く場合や再感染の可能性もあるため、自己判断で治療を中断せず、最終的な診断・治療方針は必ず医師の診察のうえで決定してください。

強いかゆみ・うつる発疹、疥癬が心配なときは花ふさ皮ふ科グループへ

疥癬は早期の診断と治療、そして周囲への感染対策が大切です。ダーモスコピーや顕微鏡検査で正しく診断し、保険診療で治療します。自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。

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FAQ(よくある質問)

Q1:疥癬は皮膚科で保険診療を受けられますか?

A.
はい、疥癬の診断・治療は公的医療保険が適用されます。ダーモスコピーや顕微鏡検査による診断、内服薬(イベルメクチン)・外用薬(フェノトリンローション等)による治療もすべて保険診療の範囲内で行います。費用の詳細は受診時にご確認ください。

Q2:疥癬トンネルとはどんな見た目ですか?

A.
疥癬トンネルは、ヒゼンダニが皮膚の角質層を掘り進んだ跡が表面に現れたもので、数ミリ〜1センチ程度のくねくねした灰白色〜薄茶色の細い線状の皮疹です。手首の内側・指の間・手のひらなどに見られることが多いですが、かき壊すと見えにくくなります。肉眼では非常に分かりにくいため、ダーモスコピーによる専門的な観察が有効です。

Q3:家族の一人が疥癬と診断されました。他の家族はどうすればよいですか?

A.
同居家族や長時間接触した方は、症状がなくても皮膚科を受診して確認されることをお勧めします。疥癬は感染してから症状が出るまでに数週間かかることがあるため、症状がない段階でも感染している場合があります。また、寝具・衣類・タオルの共用を避け、熱処理(60℃以上の熱湯または乾燥機)を行うなどの環境対策も同時に進めてください。

Q4:イベルメクチン(ストロメクトール)は市販や通販で買えますか?

A.
イベルメクチン(ストロメクトール)は医師の処方が必要な医療用医薬品です。市販品はなく、通販・個人輸入での入手は安全性・適切な用量管理の面から推奨されません。必ず医療機関を受診し、医師の診断・処方のもとで使用してください。用量は体重に応じて医師が決定します。

Q5:治療後もかゆみが続いています。治っていないのでしょうか?

A.
疥癬の治療後、ヒゼンダニへのアレルギー反応によるかゆみが数週間続くことがあります。「かゆみが続く=治っていない」とは必ずしも言えません。ただし、症状が長引く場合・新たな発疹が出る場合・再感染の可能性がある場合は、自己判断せず必ず受診して医師に確認してください。

Q6:角化型疥癬(ノルウェー疥癬)はどのような人がなりやすいですか?

A.
角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は、免疫機能が低下している方(高齢者・長期ステロイド使用中の方・透析中の方など)でみられやすいとされています。通常疥癬と異なり、かゆみが軽い場合があるため発見が遅れることがあります。非常に多数のダニが寄生するため感染力が極めて強く、介護施設・病院では集団感染につながるリスクがあります。疑いがある場合は速やかに皮膚科を受診してください。

Q7:千里中央・豊中・吹田エリアで疥癬を診てもらえる皮膚科はありますか?

A.
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田、千里中央駅から徒歩約5分)では、ダーモスコピーおよび顕微鏡検査による疥癬の診断・治療に対応しています。豊中・吹田エリアからもアクセスしやすい立地です。江坂エリアの方は江坂駅前花ふさ皮ふ科、箕面・茨木・池田エリアの方はみのお花ふさ皮ふ科もご利用いただけます。いずれも保険診療で対応しています。