しつこいウイルス性イボ(尋常性疣贅)の治療がなかなか終わらず、もどかしい思いをした経験はありませんか?

多くの患者様が「イボは簡単に治る」と考えがちですが、実際には非常に治りにくい皮膚疾患の一つです。

この記事では、イボ治療に関する5つの意外な、しかし重要な真実を皮膚科専門医が解説します。
ご自身のイボの状態と治療の選択肢をより深く理解するための一助となれば幸いです。

 

監修者:花房崇明

監修者
理事長:花房崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院)
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本アレルギー学会アレルギー専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・難病指定医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会
・日本小児皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会
・日本美容皮膚科学会

 

 

1. 標準治療の意外な成功率:「液体窒素療法」は1回あたり約10%の改善率

ウイルス性イボの治療で、皮膚科医が最初に選択するのは、健康保険が適用される「液体窒素療法」です。

これは、-196℃の超低温の液体窒素を綿棒やスプレーで患部に当て、ウイルスに感染した細胞を直接凍結・破壊する、最も一般的で標準的な治療法です。

しかし、ここで驚くべき事実があります。なんと液体窒素療法による1回あたりの改善率は、約10%程度と極めて低いのです。

この数値を見れば、イボ治療には少なくとも10回程度の通院が必要なことが分かるかと思います。
1回の治療で完治することは稀であり、ウイルスを完全に排除するためには、1〜2週間ごとの定期的な治療を根気強く続けることが必要不可欠なのです。

 

2. 治療は長期戦:完治まで2年以上かかる人も3割いる

改善率が低いことから、治療期間が非常に長くなるケースは珍しくありません。

千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科での経験上、数回の治療で治る方が多い一方で、数ヶ月から数年にわたって治療を続ける方もいらっしゃいます。

特に重要なデータとして、患者様の約30%は完治までに2年以上を要するという報告もあります。
実際に、治療回数は数回で済む人もいれば、100回以上に及ぶこともあるほど個人差が大きいのです。

ただし、長期間の治療を続けていると、ある日突然イボが急速に小さくなり、きれいに治癒することがあります。これは、後述する「自身の免疫力」が高まったためと考えられます。

 

3. 実はもっと強力な選択肢も存在する

標準的な液体窒素療法で効果が見られない、あるいは治療が長期化している「難治性」のイボに対して、より強力な治療を行っているクリニックもあります。

■ 炭酸ガスレーザー治療

(千里中央・江坂駅前・みのお 各院で対応可能)

  • 概要:レーザーでウイルス感染組織を物理的に焼灼・蒸散させて除去します。
  • 効果:1回あたりの改善率が約70%と非常に高く、期間短縮が期待できます。
  • 注意点:自費治療となり、局所麻酔の注射が必要です。

■ ブレオマイシン注射

(※当グループでは現在対応しておりません)

  • 概要:抗がん剤の一種をイボに直接注射し、ウイルスの増殖を抑制します。
  • 効果:1回あたりの改善率は約40%と、液体窒素より高い効果が期待できます。
  • 注意点:自費診療であり、注射時には強い痛みを伴います。

 

4. 治療の「頻度」が効果を左右する

イボ治療の効果を最大化するためには、治療の「間隔」が極めて重要です。

当院では、液体窒素療法を1週間から2週間に1回のペースで受けることを推奨しています。

2020年の研究では、「1ヶ月おき」よりも「2週間おき」に治療したグループの方が、治癒率が有意に高かったことが報告されています。

その理由は、液体窒素が細胞を壊すだけでなく、局所的な免疫反応を活性化させる作用も持つためです。
この免疫刺激の効果は、間隔が1ヶ月以上空くと薄れてしまいます。スケジュールを守ることこそが、完治への近道です。

 

5. 鍵を握るのは「免疫力」— 心と体の両面から

イボ治療の最終的なゴールは、自身の免疫力がウイルスを体から追い出すことです。

皮膚科では、この免疫力をサポートするために補助療法を併用することがあります。代表的なものが、ハト麦の種子から作られる漢方薬「ヨクイニン」です。当院でも処方しています。

さらに興味深いのは、精神的な状態(メンタル)と免疫の関係です。
日本には古くから「イボ取り地蔵」にお参りする風習がありますが、これは単なるおまじないではなく、「リラックスした前向きな心」が免疫機能に好影響を与えるという側面を反映しています。
治療に対して前向きに取り組むことも、立派な治療の一部と言えるでしょう。

 

6. まとめ:焦らず根気強く向き合うために

イボ治療は患者様が思う以上に複雑で、根気と忍耐を要するものです。大切なポイントを振り返ります。

治療はマラソン: 1回の成功率は約10%。焦らずじっくり取り組みましょう。

3割は2年以上: 時間がかかる場合もありますが、突然治る日もやってきます。

選択肢を知る: 難治性の場合は、炭酸ガスレーザーなどの自費治療も有効です。

頻度を守る: 「1-2週間に1回」の通院が、完治への最短ルートです。

免疫を信じる: ヨクイニンの内服や心の状態を整え、内側からもサポートしましょう。

 

イボで悩んでいる場合は、まずはお近くの皮膚科クリニックにご相談ください。
当グループでも、患者様お一人おひとりに合わせた最適な治療を提案させていただきます。

 

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