20~40代の約40%が悩まされているというニキビ。

皆さんも一度はできたことがあるのではないでしょうか?

ニキビが出来ると見た目だけではなく、やはり精神的にもダメージを与えますよね。

さらには、綺麗に治癒しなければ、ニキビ跡になってしまうというのが最大のダメージ。

今回はニキビについて、そしてニキビにおすすめの化粧品成分について徹底解説していきます。

 

千里中央花ふさ皮ふ科のニキビの治療方針についてはこちら

 

 

ニキビとは?

思春期に出てくるニキビ、大人になってできるニキビ。

どちらも医療用語では「尋常性ざ瘡」と呼ばれます。

 

“思春期ニキビ”は、皮脂腺から【皮脂分泌】を亢進させる働きを持つ男性ホルモンが、小学校高学年〜中学生頃より増えることにより、ニキビができやすくなります。

思春期には、女子も男性ホルモンが分泌されます。一般的に高校生頃にピークを迎え、その後男性ホルモンの分泌がピークを過ぎると、ニキビも自然治癒することが多くなります。

 

一方、“大人ニキビ”は特に女性に多く、ストレス・睡眠不足・不規則な生活・不適切なスキンケアなどが原因で、【肌の乾燥】や【ターンオーバーの乱れ】が起こり、それにより古い角質が溜まって毛穴が詰まり、ニキビを引き起こします。

思春期ニキビはおでこや鼻、背中など皮脂分泌が活発な部位にできやすい一方で、大人ニキビが発生しやすいのは頬やあごなどのファイスラインや首、肩などの比較的皮脂腺の少ない部位であることが多いです。

 

ニキビのタイプと治療法

ニキビはその進行度により、「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」と4段階に分類されます。

 

 

「白ニキビ」

古い角質が蓄積することにより、本来自然に排出されるはずの皮脂が毛穴の中に溜まって、白くプツプツと見える状態です。

炎症は起きていないため、痛みはほとんどありません。

 

しっかりと泡立てた洗顔料で優しく洗顔をし、古い角質が蓄積しないようにケアするだけでも、白ニキビが改善することもあります。

しかし、大量にできる場合や繰り返す場合などは皮膚科での治療を受けることをおすすめします。角質をケアするディフィリンゲル・ベピオゲル・エピデュオゲル、サリチル酸によるケミカルピーリングといった治療が一般的です。白ニキビ→赤ニキビ→ニキビ跡とニキビを進行させないよう、早めに治療することが大切です。

規則正しい生活や偏りのない食生活で皮脂の過剰な分泌を抑えることも、白ニキビ予防と悪化の抑制につながります。

 

「黒ニキビ」

白ニキビが進行し、毛穴に詰まった皮脂が空気に触れて酸化することで黒くなった状態です。白ニキビ同様、痛みはほとんどありません。

白ニキビと同じく、ディフィリンゲル・ベピオゲル・エピデュオゲル、サリチル酸によるケミカルピーリングといった治療が一般的です。

他には皮膚科で中に溜まった皮脂や老廃物を排出する面皰圧出という処置を受けることも可能です。

毛穴の詰まりを取ろうと、ついつい強い洗顔料で擦ったり、毛穴パックをしたくなりますが、それらは皮膚に大きな負担をかけるため逆効果です。

洗顔料をしっかり泡立てて、優しく洗うことが大切です。適切なスキンケアでターンオーバーを整えていきましょう。

 

「赤ニキビ」

塞がった毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こした状態です。

強い痛みを感じることがあります。進行すると周辺の皮膚細胞も破壊されてしまいます。

 

バリア機能が低下し、刺激に弱くなってしまっているため、必要以上に刺激を与えないよう過度に触らず、患部周りを清潔に保ってお肌の保湿を心がけましょう。

 

ニキビの赤みは炎症をおこしているサインのため、ここでしっかりと治しておくことが重要です。

赤ニキビを繰り返している人は、皮膚科で抗生物質の飲み薬や塗り薬で治療をすることがおすすめです。

 

「黄ニキビ」

毛穴の中に膿が溜まって腫れている状態です。炎症が皮膚の奥深く真まで達しているニキビの最終段階です。ニキビをつぶして膿を出そうとするとさらに悪化し、クレーターになったり、周辺の皮膚にも影響が出る危険性があるため、患部には触らないようにしましょう。

 

黄ニキビには、赤ニキビ同様、皮膚科で抗生物質の飲み薬や塗り薬による治療が必要です。

この段階まで進行すると、自分で治療することは中々困難です。炎症が自然と落ち着くまでにはかなりの時間を要します。ニキビ痕になる前にできるだけ早く医療機関で適切な治療を受けるのがおすすめです。

 

ニキビに対するスキンケアのポイント

 

ニキビができてしまった肌は、ファンデーションやコンシーラーで隠そうとしてもかえって目立ってしまったり、ニキビが悪化することがあります。出来れば、ニキビができてしまった部分にはファンデーションやコンシーラーをぬらないのが理想です。日々のケアで早期治癒を目指しましょう。

また、ノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶのも一つのポイントです。ノンコメドジェニックとは、ニキビができにくい製品のことです。ニキビの原因となる毛穴を詰まらせる成分や、アクネ菌を増やす油性成分が抑えられているかなどを事前にテストしているため、ニキビができにくいといえます。

様々なスキンケア化粧品が出ていますが、自分の肌に合わないと感じたら使用を中止しましょう。

 

ニキビにおすすめのスキンケア成分

 

では、どんな成分が配合されているスキンケア化粧品がニキビに効果的なのでしょうか?

スキンケアの工程を一つずつ見ていきましょう。

 

 

洗顔料

 

どんな肌トラブルにおいても、まず一番大事なのが洗顔です。

特にニキビの場合は、しっかりと余分な皮脂を取り除き、古い角質を落とすことが非常に重要です。

 

洗顔料に含まれるニキビに有効な成分には、グリチルリチン酸ジカリウム、イソプロピルメチルフェノール、グリコール酸やサリチル酸などがあります。

 

グリチルリチン酸ジカリウムは、抗アレルギー作用、抗炎症作用、皮膚刺激緩和作用が示されており、ニキビによる炎症を抑える働きがあります。

 

イソプロピルメチルフェノールは、ニキビの原因菌であるアクネ菌や背中ニキビの原因となるマラセチア菌を減らすことで、炎症を抑制する効果が期待できます。

 

グリコール酸やサリチル酸には古い角質を除去する作用により、今ある毛穴詰まりを改善しつつ、また新たにニキビができるのを防ぎます。さらに、アクネ菌殺菌作用も持ち合わせています。

 

最近では、ピーリング石鹸といって、グリコール酸やサリチル酸が含まれている石鹸も多く出ています。

ピーリング石鹸の成分に最も多く含まれているのが、AHAです。AHAとはフルーツから抽出されるグリコール酸や乳酸、クエン酸のことですが、肌表面の汚れや角質を洗浄する効果があります。

また、他にもBHAというサリチル酸が含まれるピーリング石鹸もありますが、こちらは毛穴汚れに効果的です。ピーリング作用の強さはAHAよりも高めとなっています。

 

好みには個人差があると思いますが、使っていて洗い上がりにつっぱり感がないかや、泡立ちが良いか、ヒリヒリなどの刺激感がないかなどを確認してみましょう。

 

化粧水・美容液

 

洗顔を終えたら、次に皮膚に必要な成分を化粧水や美容液で取り入れていきます。

 

まずニキビケアにおすすめの成分は、ビタミンC誘導体です。

ビタミンC誘導体は、抗炎症作用や、過剰な皮脂分泌を抑える効果が期待できます。

 

ビタミンCは美肌に不可欠な成分として昔から知られていますが、実は単体では壊れやすく空気に触れると酸化してしまいます。

そのため、ビタミンCにリン酸やナトリウムなどを結合させることで、安定したビタミンCを皮膚の中まで届けることができます。

 

さらに、ビタミンC誘導体の中にも、水溶性・脂溶性・両親媒性と、大きく3種類に分類することができます。

 

水溶性ビタミンC誘導体は、即効性があり、比較的短時間でビタミンCの効果が発揮できるといわれています。皮脂抑制作用が強いため、思春期ニキビや皮脂分泌量が多い肌タイプの型にはおすすめですが、乾燥肌の方にはより乾燥しやすくなるというデメリットもあります。

 

脂溶性ビタミンC誘導体は、皮脂や細胞間脂質などとのなじみが良く、皮脂腺などからも吸収されるため、水溶性ビタミンC誘導体と比較して浸透が高く、さらに皮膚の中で48時間程度効果を発揮することができると言われています。保湿力も高いため、水溶性ビタミンC誘導体で乾燥しやすい方などにも使用しやすいでしょう。

 

両親媒性ビタミンC誘導体は、水溶性ビタミンC誘導体の「即効性」と脂溶性ビタミンC誘導体の「浸透力」を併せ持つのが特徴です。

 

 

ビタミンC誘導体に加えて、抗炎症成分であるアラントイングリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、アゼライン酸なども効果的です。

 

アラントインとは、炎症を鎮めて修復したり、皮膚を保護する作用のある成分です。角質細胞を増殖させる効果もあるため、敏感肌の方向けのスキンケア化粧品などで配合されています。

 

そして、ニキビケアで代表的な成分が、グリチルリチン酸ジカリウムです。

グリチルリチン酸は、もともと漢方の原料としても知られる甘草の根に含まれている成分です。漢方においては、甘草湯といって甘草単独での処方も存在し、口内炎や喉の炎症を抑えるために用いられています。

 

このグリチルリチン酸をカリウムと化合させ、水溶性を高めたものがグリチルリチン酸ジカリウムで、化粧水などに多く含まれています。グリチルリチン酸2Kやグリチルリチンとだけ表記されていることもあります。

 

グリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用は医薬品にも応用されており、抗アレルギー薬、風邪薬などに広く用いられています。赤ニキビのように炎症を伴うニキビの症状緩和に一定の効果を持っていると言われています。

 

他にも、アゼライン酸はニキビやニキビ跡に非常に有効な成分の一つです。

アゼライン酸は小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれている成分で、日常的に食事などで口にしている天然物由来の酸です。

毛穴詰まり改善効果、抗菌作用、皮脂分泌抑制、抗炎症作用などがあり、海外では約30年前からニキビ治療薬として使われています。

アゼライン酸の有効性は、海外ではすでに15%濃度の薬剤で確立されており、国際的な「ざ瘡治療アルゴリズム」の中でも、白ニキビから炎症性の黄ニキビまでの治療法として位置付けられています。

 

実は、アゼライン酸は、大人ニキビだけでなく、オイリー肌や肌荒れ、赤ら顔、シミ、くすみなどにも効果を発揮してくれる優れものです。多くの悩みをカバーしてくれるアゼライン酸は一度は使ってみたいですね。医療機関で取り扱っているため、皮膚科医に相談をしてみましょう。