【フルコート(フルオシノロンアセトニド)】とは|【医師監修】皮膚科専門医が解説|効果・使い方・注意点・料金

【医師監修】|2026.05.19|カテゴリ:塗り薬/湿疹・皮膚炎

フルコート(一般名:フルオシノロンアセトニド)は、ストロングランク(強い)に分類されるステロイド外用薬です。湿疹・皮膚炎・乾癬など、かゆみや炎症を伴うさまざまな皮膚疾患の治療に長年にわたって処方されてきた、皮膚科の定番薬のひとつです。

実はフルコートには「抗生物質なし」と「抗生物質(フラジオマイシン)配合」の2系統があり、患者さんの病態に応じて使い分けられています。また、軟膏・クリーム・外用液と剤形のバリエーションが豊富なことも特徴のひとつです。本記事では、フルコートの作用機序から剤形の使い分け、薬価まで、皮膚科専門医の視点で詳しく解説します。


1. フルコート(フルオシノロンアセトニド)とは

フルコートは、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)を有効成分とするステロイド外用薬です。田辺ファーマ株式会社(田辺三菱製薬グループ)が製造販売しており、1960年代から国内で使用されてきた歴史ある薬剤です。

「フルコート(Flucort)」という名称は、有効成分 Fluocinolone acetonide の頭文字 “Flu” とステロイド外用薬(Corticosteroid)の “cort” を組み合わせた造語とされています。

ステロイドの強さは世界的に5段階(Ⅰ:strongest〜Ⅴ:weakest)に分類されますが、フルコートはその第Ⅱ群「ストロング(強い)」に位置します。体幹の湿疹・皮膚炎には十分な効果を発揮しますが、顔面・陰部・乳幼児への使用には特別な注意が必要なランクです。

項目 内容
製品名 フルコート軟膏0.025% / フルコートクリーム0.025% / フルコート外用液0.01% / フルコートF軟膏
一般名 フルオシノロンアセトニド(単剤)/フルオシノロンアセトニド・フラジオマイシン硫酸塩(F製剤)
製造販売 田辺ファーマ株式会社
分類 副腎皮質ステロイド外用薬(ストロングランク・第Ⅱ群)
剤形 軟膏・クリーム・外用液(液剤)
後発品 あり(フルオシノロンアセトニド軟膏0.025%「各社」)

2. フルコートの特徴

フルコートの最大の特徴は、豊富な剤形のラインアップと「単剤型」「抗生物質配合型(F製剤)」の2系統にあります。病態・部位・滲出液の有無に応じて最適な剤形を選択できる点が、長年皮膚科で愛用されてきた理由のひとつです。

●ステロイド作用:炎症のスイッチを切る

フルオシノロンアセトニドは細胞内に入り込み、抗炎症タンパク質の産生を促しながら、同時に炎症性サイトカインや発痒物質の合成を抑制します。かゆみ・発赤・腫れ・熱感という「炎症の4徴候」を効率よく鎮める「スイッチを切る」ような作用が特徴です。

●2系統・3剤形:症状と部位で使い分け

製品名 主な成分 特徴・適した部位
フルコート軟膏0.025% フルオシノロンアセトニド 刺激が少なく保湿力が高い。カサカサ・ジュクジュク両対応
フルコートクリーム0.025% フルオシノロンアセトニド ベタつきが少なく使用感良好。傷口にはしみることがある
フルコート外用液0.01% フルオシノロンアセトニド サラッとした液体で頭皮や毛髪部位に適する
フルコートF軟膏 フルオシノロンアセトニド+フラジオマイシン硫酸塩 化膿・二次感染を伴う患部に対応する抗生物質配合型

●F製剤(フルコートF軟膏):ステロイド+抗菌の「盾と矛」

フルコートF軟膏には、ストロングランクのステロイドに加え、グラム陽性球菌・グラム陰性桿菌に広く有効なアミノグリコシド系抗生物質「フラジオマイシン硫酸塩」が配合されています。かき壊して化膿してしまった湿疹、二次感染を伴う皮膚炎など、”炎症”と”感染”という2つの問題に同時に対処できる「盾(抗炎症)と矛(抗菌)」の働きを持ちます。

●準先発品としての位置づけ

フルコート軟膏は、後発品が多数存在する「準先発品」に分類されます。先発品・後発品ともに同一の有効成分・同一の製法であるため、薬効に差はなく、コストを抑えたい場合は後発品(ジェネリック)も選択肢となります。


3. 適応疾患と使用方法

適応疾患

フルコート(単剤型)の主な適応症は以下のとおりです。

  • 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、女子顔面黒皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)
  • 乾癬
  • 掌蹠膿疱症
  • 皮膚そう痒症(陰部・肛門部)

フルコートF軟膏(抗生物質配合型)はこれらに加え、

  • 深在性皮膚感染症・慢性膿皮症
  • 湿潤・びらん・結痂を伴う、または二次感染を併発した湿疹・皮膚炎
  • 外傷・熱傷および手術創等の二次感染

にも使用されます(適応菌種:フラジオマイシン感性菌)。

使用方法

3つの重要ポイント

  1. 1日1〜数回、患部に直接塗布または塗擦するか、無菌ガーゼ等に伸ばして貼付します。症状により適宜増減します。
  2. 擦り込まず、やさしく乗せるように塗る:摩擦による皮膚刺激を避けるため、ポンポンと軽く乗せるイメージで塗布してください。
  3. 症状が改善したら速やかに中止または減量:必要最小限の使用にとどめ、漫然とした長期連用は避けます。

4. 使用する上の注意点

ストロングランクのステロイド外用薬であるため、適切な使い方が特に重要です。

●主な副作用

  • 皮膚萎縮・皮膚線条(長期使用)
  • 毛細血管拡張、紫斑
  • 多毛、ざ瘡様皮疹(にきびに似た発疹)
  • 色素脱失・色素沈着
  • 接触皮膚炎(とくにF製剤ではフラジオマイシンによる感作に注意)

●重大な副作用(頻度は稀ですが要注意)

  • 皮膚感染症の増悪・誘発:ステロイドの免疫抑制作用により、細菌・真菌・ウイルス感染が増悪する可能性があります。
  • 副腎皮質機能抑制:大量・長期・広範囲への密封法(ODT)で、全身投与と同様の症状(クッシング様症状など)があらわれることがあります。
  • 眼圧亢進・緑内障・後嚢白内障:眼瞼周囲への長期使用に注意が必要です。
  • 腎障害・難聴(F製剤:フラジオマイシンの吸収による):長期連用を避けてください。

使用中に急に症状が悪化した、患部が化膿してきた、肌がかえって荒れてきた、視力低下を感じるなどの場合は、使用を中止して皮膚科を受診してください。

●禁忌(使ってはいけない場合)

フルコート単剤型(軟膏・クリーム・外用液)
* 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
* 本剤成分に過敏症の既往歴がある方
* 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
* 潰瘍(ベーチェット病を除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

フルコートF軟膏(追加禁忌)
* フラジオマイシン耐性菌・非感性菌による皮膚感染
* フラジオマイシン・カナマイシン・ストレプトマイシン・ゲンタマイシン等のアミノ糖系抗生物質、またはバシトラシンに対して過敏症の既往歴がある方

●特に注意が必要な部位・状況

  • 顔面・頸部・陰部・間擦部位:皮膚が薄く吸収率が高いため、使用する場合は短期間に限る
  • 乳幼児・小児:皮膚が薄く体重あたりの吸収率が高い。おむつはODT(密封法)と同様の効果があるため要注意
  • 密封法(ラップ療法):ステロイドの吸収が大幅に高まるため、医師の指示のもとでのみ使用する

●こんな方は事前に医師にご相談を

  • アトピー性皮膚炎など、長期治療が必要な方
  • 顔・まぶた周囲に使用したい方
  • 妊娠中・授乳中の方(大量・長期・広範囲の使用は避けること)
  • 小児・高齢者
  • 腎機能障害のある方(F製剤)

●日常生活での注意

  • アルコール・飲食物との相互作用:外用薬のため、食事・飲酒との直接の相互作用はありません
  • 自動車運転:外用薬のため、眠気など運転への影響はありません
  • 市販品について:フルコートF軟膏に相当する「フルコートf」(田辺三菱製薬)が市販されていますが、用法・用量・使用期間を守って使用し、改善がみられない場合は皮膚科を受診してください

5. 薬価と費用

フルコートの薬価(2026年度薬価基準/2026年4月改定)は剤形・種類によって異なります。代表的なフルコート軟膏0.025%は1gあたり14.0円、F軟膏は1gあたり20.4円です。

1回の塗布量の目安は「1FTU(Finger Tip Unit)≒0.5g」で成人の手のひら2枚分に相当します。1日2回塗布を想定した場合の費用目安(体幹の中等度の病変として1日約2g使用と仮定)は以下のとおりです。

フルコート軟膏0.025%(単剤型・先発品)

期間 薬剤費(1日2g×標準量) 3割負担の目安
14日分(28g) 392円 約118円
30日分(60g) 840円 約252円

フルコートF軟膏(抗生物質配合型・先発品)

期間 薬剤費(1日2g×標準量) 3割負担の目安
14日分(28g) 571円 約171円
30日分(60g) 1,224円 約367円

フルオシノロンアセトニド軟膏0.025%(後発品・代表例)

期間 薬剤費(1日2g×標準量) 3割負担の目安
14日分(28g) 約302円 約91円
30日分(60g) 約648円 約194円

※薬剤費のみの目安です。別途、診察料・処方箋料・調剤技術料・薬学管理料などが加算されます。実際の塗布量・処方量は病変の範囲・重症度により異なります。


6. FAQ(よくある質問)

Q1: フルコートはどのランクのステロイドですか?

A1: ステロイド外用薬の5段階分類において第Ⅱ群「ストロング(強い)」に分類されます。体幹の炎症性皮膚疾患には十分な効力を持ちますが、顔面や陰部、乳幼児への使用は短期・少量にとどめるか、より弱いランクの薬剤を選択することが基本です。

Q2: フルコート軟膏とフルコートF軟膏はどう違いますか?

A2: フルコート軟膏はステロイドのみフルコートF軟膏はステロイド+フラジオマイシン(抗生物質)の配合剤です。かき壊して化膿している、または二次感染の恐れがある場合はF軟膏が適しています。感染徴候がない通常の湿疹・皮膚炎には単剤型の軟膏・クリームが選ばれます。

Q3: 顔に使っても大丈夫ですか?

A3: 顔への使用は原則として推奨されません。顔の皮膚は他の部位より薄く、ステロイドの吸収率が高いため、皮膚萎縮・毛細血管拡張・にきびの悪化・眼圧上昇などのリスクが高まります。顔の湿疹・皮膚炎には、より弱いランクのステロイドや非ステロイド系外用薬を選択するのが基本です。医師の判断のもとで短期間使用する場合を除き、自己判断での顔への使用は避けてください。

Q4: 市販のフルコートfと処方薬のフルコートF軟膏は同じですか?

A4: 有効成分と配合比率はほぼ同じですが、市販品(フルコートf)は医療用医薬品ではないため、使用期間・使用部位に制限があります。市販品は通常5〜6日使用しても改善しない場合は中止して受診することが求められています。重症・難治の場合や顔・乳幼児への使用は、必ず医師の診察を受けてください。

Q5: 長期間使い続けても大丈夫ですか?

A5: 長期連用は推奨されません。大量・長期・広範囲の使用(特に密封法)は、皮膚萎縮、副腎機能抑制などの副作用リスクが高まります。症状が改善したら速やかに減量・中止し、必要に応じて保湿剤や弱いランクのステロイドへ切り替えます。継続が必要な場合は必ず皮膚科専門医の管理下で使用してください。

Q6: 子どもに使っても大丈夫ですか?

A6: 小児への使用は慎重に行う必要があります。子どもは皮膚が薄く体重あたりの吸収率が高いため、成人より副作用が出やすい傾向があります。また、おむつはODT(密封法)と同様の効果をもたらすため、おむつ部位への使用は特に注意が必要です。必ず小児科または皮膚科医の指示のもとで使用してください。

Q7: 水虫や口唇ヘルペスに使えますか?

A7: 使用できません(禁忌)。水虫(白癬菌による真菌感染症)や口唇ヘルペス(ウイルス感染症)にステロイド外用薬を使用すると、免疫を抑えてしまい感染が著しく悪化するおそれがあります。「ただの湿疹かと思っていたら水虫だった」というケースも少なくないため、かゆみ・炎症症状があればまず皮膚科で診断を受けることが重要です。


7. 皮膚科専門医解説 フルコートの要点まとめ

  • 分類:ストロングランク(第Ⅱ群)のステロイド外用薬。フルオシノロンアセトニドが有効成分
  • 剤形:軟膏・クリーム・外用液の3剤形+抗生物質(フラジオマイシン)配合のF軟膏
  • 適応:湿疹・皮膚炎群・乾癬・掌蹠膿疱症・皮膚そう痒症など。F軟膏は二次感染合併例にも対応
  • 使い方:1日1〜数回、患部に薄く塗布。擦り込まず、改善後は速やかに中止・減量
  • 注意点:顔・陰部・乳幼児・長期使用・密封法(ODT)は要注意。ウイルス・真菌感染症には絶対に使用不可
  • 費用:先発軟膏 14日分(28g)約118円(3割負担)。後発品ならさらに安価

ステロイド外用薬は”正しく使えば非常に有効な薬”ですが、ランクを誤る・長期使用するなど”使い方を誤ると逆効果”になる側面もあります。「自己判断で長く塗り続けている」「市販のフルコートfで改善しない」「顔や赤ちゃんの肌に使いたい」などのケースは、ぜひ一度皮膚科専門医にご相談ください。

大阪の花ふさ皮ふ科グループでは、患者さんのライフスタイルに合わせた最適な湿疹・皮膚炎治療をご提案しています。 「かゆみや赤みが繰り返す」「市販薬で改善しない湿疹がある」「子どもの肌荒れが心配」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。皮膚症状のご相談は、大阪の花ふさ皮ふ科グループへ。


監修

皮膚科専門医・アレルギー専門医・医学博士 花房 崇明

  • 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
  • 医学博士
  • 抗加齢医学会専門医

【所属学会】日本皮膚科学会/日本アレルギー学会/日本臨床皮膚科医会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会

参考文献

  1. 日本皮膚科学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021. 日本皮膚科学会雑誌 2021;131(13):2691-2777.
    ▶ ステロイド外用薬の強度分類・使用原則・副作用管理の基準が詳細に示されており、フルコートが属するストロングランクの適応と注意点の根拠となる。

  2. 田辺ファーマ株式会社. フルコート軟膏0.025% 添付文書(2023年改訂)/フルコートF軟膏 添付文書(2025年12月改訂).
    ▶ 製造販売元による公式情報。有効成分・適応症・用法用量・禁忌・副作用・特定の背景を有する患者への注意が詳細に記載されており、本記事の薬学的記述の主要根拠。

  3. Stoughton RB. Vasoconstrictor assay for estimating the potency of topically applied corticosteroids. Arch Dermatol. 1969;99(6):753-756.
    ▶ 毛細血管収縮試験によりフルオシノロンアセトニドの優れた抗炎症効力を示した古典的基礎研究。フルコートのストロングランク分類の科学的根拠のひとつ。


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