監修者:花房崇明

監修者
理事長:花房崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院)
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本アレルギー学会アレルギー専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・難病指定医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会
・日本小児皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会
・日本美容皮膚科学会

1. はじめに:繰り返すかゆみと湿疹に悩むあなたへ

人目が気になる赤み、そして何より我慢できない強いかゆみ。「一生この肌と付き合っていくしかないのか」と諦めかけてはいませんか?

これまで標準的な治療を続けても十分に症状が改善しなかった方にとって、アトピー性皮膚炎の治療は今、大きな転換期を迎えています。

このコラムでは、皮膚科専門医・医学博士の知見に基づき、治療法のひとつ「デュピクセント」の正体と、あなたが自信の持てる肌を取り戻すための基準について詳しく解説します。

▲ 目次に戻る

2. アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、皮膚が乾燥し、ホコリやダニなどに対するアレルギーなどで、湿疹やかゆみ、赤みなどの症状が現れる病気です。
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要素や環境要素が関与していると考えられています1

▲ 目次に戻る

3. デュピクセントとは:炎症のスイッチをオフにする仕組み

デュピクセントは、「IL-4」と「IL-13」という2つのタンパク質の働きを抑えることで、皮膚の炎症反応を抑制します。これらのタンパク質は、アトピー性皮膚炎の皮膚で増えた状態の「Th2」というリンパ球から分泌され、皮膚のバリア機能の低下や炎症、かゆみを引き起こします。

成人の中等症から重症のアトピー性皮膚炎を対象とした2つの第III相試験でも、外用薬のみの場合と比べて皮疹とかゆみの有意な改善が示されています3

受診の目安

既存の治療を続けても十分な効果が得られない方や、中等症〜重症のアトピー性皮膚炎でお悩みの方は、当院の外来を受診してください。

▲ 目次に戻る

4. 対象となる方

デュピクセントは、既存治療で十分な効果が得られなかったアトピー性皮膚炎の患者さんに用いられます。2023年9月に小児への用法・用量が追加承認され、現在は生後6か月のお子さんから成人まで使用できます2

注射による投与で、体重によって用量と間隔が決まっています。

体重 用法・用量
5kg以上 15kg未満 1回200mgを4週間隔
15kg以上 30kg未満 1回300mgを4週間隔
30kg以上 60kg未満 初回400mg、その後1回200mgを2週間隔
60kg以上(成人を含む) 初回600mg、その後1回300mgを2週間隔

※実際に適応となるかどうか、どの用量になるかは、症状・年齢・体重・これまでの治療経過をふまえて診察のうえ判断します。

▲ 目次に戻る

5. 治療を始める前に:注意点と費用(高額療養費制度)

非常に効果の高い薬剤ですが、以下の点については注意が必要です。

  • 使用できない方:
    本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある方は使用できません。
  • 注意が必要な方:
    寄生虫感染のある方、生ワクチンの接種を予定している方、妊娠中・授乳中の方などは、投与にあたって注意が必要です。該当する方は必ず診察時にお申し出ください。
  • 主な副作用:
    注射部位の赤みや腫れ、結膜炎(目の充血・かゆみ)、口唇ヘルペスなどが報告されています。気になる症状があればご相談ください。
  • 費用:
    300mgペンの場合で1本あたり53,659円(3割負担で約1.6万円)と高額ですが、「高額療養費制度」を活用することで、所得に応じて自己負担額を大幅に抑えることが可能な場合もあります。
    ※薬価は改定により変わることがあります(2026年4月改定時点の薬価)。
  • 定期的な通院:
    2週間隔の場合、月に2回の通院が可能な方に限られます。自己注射を選択することも可能です。

▲ 目次に戻る

6. まとめ:あなたが自信の持てる肌を取り戻すために

アトピー性皮膚炎は、もはや「治らないから付き合っていくしかない」病気ではありません。
デュピクセントのような新しい治療の登場により、「かゆみのない普通の生活」を目指せるようになってきています。

「たかがアトピー」と放置せず、専門医による正しい診断と治療を受けることは、あなたの将来の健康と自信を守るための賢明な選択です。

▲ 目次に戻る

よくある質問 FAQ

Q1. デュピクセントの効果はいつから実感できますか?

A.個人差はありますが、多くの方は投与開始から数日〜2週間以内にかゆみの軽減を実感されます。皮膚の湿疹自体は数ヶ月かけて徐々に改善していきます。

Q2. 費用を抑える方法はありますか?

A.はい。「高額療養費制度」を利用することで、月々の自己負担額に上限が設けられます。所得によりますが、一般的な所得層であれば窓口での支払いを大幅に軽減できます。

▲ 目次に戻る

参考文献

1. 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン策定委員会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024. 日本皮膚科学会雑誌. 2024;134(11):2741-2843. doi:10.14924/dermatol.134.2741
▶ 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会による最新のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン。病態、重症度評価、外用療法から生物学的製剤までの治療方針を示している。

2. サノフィ株式会社. デュピクセント(デュピルマブ)、日本においてアトピー性皮膚炎の小児用法・用量の追加承認を取得(2023年9月25日)
サノフィ プレスリリース(PDF)
▶ 生後6か月以上の小児への体重別の用法・用量が追加承認されたことを示す一次情報。

3. Simpson EL, Bieber T, Guttman-Yassky E, et al. Two Phase 3 Trials of Dupilumab versus Placebo in Atopic Dermatitis. New England Journal of Medicine. 2016;375(24):2335-2348. doi:10.1056/NEJMoa1610020
▶ 成人の中等症〜重症アトピー性皮膚炎を対象とした2つの第III相無作為化比較試験(SOLO 1・SOLO 2)。皮疹とかゆみの有意な改善を示した。

最終確認日:2026年8月18日(各出典はDOIまたは発行元サイトで内容を確認済み)

皮膚科専門医による正確な診断が、長年のお悩みを解決し、健やかな肌を取り戻す第一歩となります。アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科を受診ください。

関連ページ

千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科のアトピー性皮膚炎治療

関連動画