乾癬(かんせん)とは、免疫の異常によって皮膚のターンオーバーが異常に速くなり、赤い盛り上がり(紅斑)に銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)が付着し、ポロポロとはがれ落ちる慢性の皮膚疾患です。頭皮は乾癬が生じやすい部位のひとつで、「フケが多い」「頭皮がかゆい」「赤みが治まらない」といった症状で受診される方が少なくありません。
市販のフケ用シャンプーを試しても改善しない場合、脂漏性皮膚炎ではなく頭皮乾癬である可能性があります。本記事では、頭皮乾癬の症状・見分け方・治療法・日常のケアについて、皮膚科専門医・アレルギー専門医の資格を持つ花房 崇明 理事長(医学博士)が解説します。
目次
頭皮の乾癬とは?症状の特徴
頭皮乾癬は、乾癬の中でも最も発症しやすい部位のひとつです。乾癬全体の約80〜90%に頭皮への症状がみられるとされています。
頭皮乾癬の主な症状
- 境界がはっきりした赤み(紅斑):地図状に広がることが多い
- 厚い銀白色の鱗屑(りんせつ):フケのようにポロポロとはがれ落ちる
- かゆみ(掻痒感:そうようかん):程度には個人差がある
- 生え際を超えて広がる:額・耳の後ろ・うなじへ症状が及ぶことがある
- 頭皮のひび割れや痛み:重症化すると生じることがある
乾癬は感染症ではなく、人から人へうつることはありません。職場や学校、日常生活で他者にうつす心配はないため、過度に心配せず、適切な治療を続けることが大切です。
脂漏性皮膚炎(フケ症)との見分け方
頭皮乾癬は脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)と症状が似ており、自己判断での区別は難しい場合があります。以下の表を参考にしてください。
| 比較項目 | 頭皮乾癬 | 脂漏性皮膚炎(フケ症) |
|---|---|---|
| フケの性状 | 厚く銀白色・乾いたフケ | 黄色っぽい・脂っぽいフケ |
| 赤みの境界 | はっきりしている | やや不明瞭 |
| 盛り上がり | あり(紅斑・鱗屑が厚い) | 比較的少ない |
| 生え際への広がり | 超えて広がりやすい | 生え際内にとどまることが多い |
| 体の他部位への症状 | 肘・膝・腰などにも出やすい | 顔・胸・背中の脂漏部位 |
| 爪・関節の症状 | 合併することがある | 通常なし |
【やってはいけないNG行動】
- 市販のフケ用シャンプーを長期間使い続けて経過を見る(乾癬には効果が期待できず、受診が遅れる原因になります)
- かゆいからと爪で強く掻く(皮膚への刺激が症状を悪化させる「ケブネル現象」を引き起こすことがあります)
- 「うつるかもしれない」と自己判断して治療を諦める(乾癬は感染しません)
上記はあくまで目安です。正確な診断は皮膚科専門医による診察が必要です。「フケ症かと思っていたら乾癬だった」というケースも珍しくありません。
頭皮乾癬の原因・悪化因子
乾癬の根本的な原因は、IL-17・IL-23・TNFαなどのサイトカインが関与する免疫の異常とされています。遺伝的な体質が関与することはありますが、乾癬が必ず遺伝する病気ではありません。
症状を悪化させる主な環境因子
- 精神的・身体的ストレス
- 喫煙・過度の飲酒
- 肥満
- 感染症(扁桃炎など)
- 特定の薬剤(β遮断薬・リチウムなど)
- 頭皮への物理的な刺激(強い爪での掻き傷など)
乾癬は良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性疾患です。悪化因子をできるだけ避けながら、継続的な治療を行うことが症状の安定につながります。
頭皮乾癬の治療法
頭皮乾癬の治療は、重症度・症状の範囲・生活への影響に応じて段階的に選択されます。乾癬の治療ゴールは「寛解(症状のない状態)」ではなく、症状のない・落ち着いた状態(寛解)を目指し、維持していくことです。効果・経過には個人差があります。
① 外用療法(塗り薬)
頭皮乾癬では、液体やフォームタイプの外用薬が使いやすく、主に以下が用いられます。
- ステロイド外用薬(ローション・フォーム剤):炎症・かゆみを抑える
- 活性型ビタミンD3外用薬:皮膚細胞の増殖を抑制する
- ステロイド+活性型ビタミンD3の配合剤:両者の効果を組み合わせたもの
頭皮は毛髪があるため、軟膏よりもローション・フォーム・ゲル剤が使いやすい場合があります。使用方法・期間は医師の指示に従ってください。
② 光線療法(紫外線療法)
紫外線の免疫調整作用を利用した治療法です。外用薬だけでは効果が不十分な場合や、広範囲に症状がある場合に選択されます。頭皮への照射にも対応しています。
- エキシマライト:病変部に集中して照射できる
- ナローバンドUVB:全身・広範囲の照射に適している
光線療法の詳細については、紫外線療法(エキシマライト)の詳細もご参照ください。
③ 内服療法(飲み薬)
外用・光線療法で効果が不十分な場合、または症状が広範囲・中等症以上の場合に検討されます。
- オテズラ(アプレミラスト):PDE4阻害薬。免疫の過剰反応を抑える経口薬
- シクロスポリン:免疫抑制薬。定期的な血液検査が必要
- チガソン(エトレチナート):レチノイド系薬。皮膚細胞の分化を正常化する
各薬剤の適応・費用・副作用については、診察時に医師にご確認ください。
④ 分子標的薬・生物学的製剤(千里中央院のみ)
中等症〜重症の乾癬で、上記の治療で十分な効果が得られない場合に検討される治療です。千里中央花ふさ皮ふ科は日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設であり、ソーティクツ(デュークラバシチニブ)などの分子標的薬や生物学的製剤(注射)による治療に対応しています。江坂院・みのお院ではこれらの治療は行っておらず、必要に応じて千里中央院へ連携・ご紹介します。適応要件・費用負担については診察でご確認ください。
日常のセルフケア・シャンプーの工夫
治療と並行して、日常の頭皮ケアを見直すことも症状の安定に役立ちます。
シャンプーの選び方・洗い方
- 刺激の少ない低刺激・弱酸性のシャンプーを選ぶ
- 爪を立てず、指の腹で優しく洗う
- シャンプーをよく泡立ててから頭皮につける
- すすぎ残しがないよう十分にすすぐ
- 洗いすぎ(1日複数回)は頭皮の乾燥を招くため避ける
市販の「フケ用」シャンプーについて:市販のフケ用シャンプーは脂漏性皮膚炎には一定の効果が期待できますが、乾癬には医療用外用薬による治療が必要です。数週間使用しても改善がみられない場合は、皮膚科への受診をお勧めします。
生活習慣の見直し
- 禁煙・節酒を心がける
- 適切な体重管理(肥満は乾癬の悪化因子)
- ストレスを溜めすぎない工夫(睡眠・適度な運動)
- 頭皮を強く掻かない(ケブネル現象の予防)
こんな症状はすぐ受診を
以下に当てはまる場合は、早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
- 市販のフケ用シャンプーを2〜3週間使用しても改善しない
- 頭皮の赤みや鱗屑が生え際・耳の後ろ・うなじに広がっている
- 頭皮以外(肘・膝・腰・爪など)にも同様の症状がある
- 指の関節に痛み・腫れ・こわばりがある(関節症性乾癬の可能性)
- 急に全身に小さな発疹が多発した(滴状乾癬の可能性)
- かゆみや外見の変化で日常生活・仕事・睡眠に支障が出ている
花ふさ皮ふ科グループでの乾癬診療
花ふさ皮ふ科グループ3院では、保険診療で乾癬に対応しています。皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブル資格を持つ花房 崇明 理事長(医学博士・大阪大学大学院)の監修のもと、患者さんの重症度・生活状況に合わせた治療を提案します。
各院の対応内容
| 治療 | 千里中央院(豊中市) | 江坂院(吹田市) | みのお院(箕面市) |
|---|---|---|---|
| 外用療法 | ○ | ○ | ○ |
| 光線療法(エキシマ・ナローバンドUVB) | ○ | ○ | ○ |
| 内服療法(オテズラ・シクロスポリン・チガソン) | ○ | ○ | ○ |
| 分子標的薬・生物学的製剤 | ○(承認施設) | ×(千里中央院へ紹介) | ×(千里中央院へ紹介) |
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科は千里中央駅から徒歩約5分、駐車場9台完備で、千里中央・豊中・吹田エリアからアクセスしやすい立地です。頭皮の乾癬でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。光線療法の詳細は紫外線療法(エキシマライト)の詳細ページもご覧ください。
乾癬の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)— 分子標的薬・生物学的製剤の承認施設
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医・難病指定医の監修のもと、外用薬・光線療法(エキシマ)・内服薬(オテズラ・シクロスポリン・チガソン)による保険診療に対応。さらに千里中央院は日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設として、ソーティクツなどの分子標的薬や生物学的製剤による重症乾癬の治療にも対応します(江坂・みのおでは行っておらず、必要時は千里中央院と連携します)。
くり返す・治りにくい乾癬は花ふさ皮ふ科グループへ
乾癬は症状や重症度に応じて、外用・光線療法・内服・分子標的薬まで幅広い治療があります。皮膚科専門医・アレルギー専門医が保険診療でご提案します。気になる症状は自己判断せずご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。
まとめ
まとめ|頭皮の乾癬は皮膚科専門医にご相談を
頭皮乾癬は、銀白色の厚い鱗屑・赤み・かゆみが特徴の慢性皮膚疾患です。フケ症と混同されやすいため、自己判断での対処には限界があります。適切な診断と治療によって、症状のない落ち着いた状態(寛解)を目指すことができます。
- 頭皮乾癬の特徴:境界明瞭な紅斑・厚い銀白色の鱗屑・生え際を超えて広がる
- 脂漏性皮膚炎との鑑別:自己判断は難しく、皮膚科専門医による診察が必要
- 治療の選択肢:外用薬(ローション・フォーム)、光線療法、内服薬、分子標的薬・生物学的製剤(千里中央院のみ)
- 治療のゴール:寛解(症状のない状態)ではなく、寛解の維持。効果・経過には個人差があります
- 市販品で改善しない場合:早めに皮膚科を受診してください
最終的な診断・治療方針は、必ず医師の診察を受けたうえで決定してください。
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FAQ(よくある質問)
Q1:頭皮の乾癬はフケ症(脂漏性皮膚炎)と何が違うのですか?
A.
頭皮乾癬の鱗屑は厚く銀白色で乾いており、赤みの境界がはっきりしているのが特徴です。一方、脂漏性皮膚炎は黄色みがかった脂っぽいフケが多く、赤みの境界は比較的不明瞭です。また、乾癬では生え際・耳の後ろ・うなじを超えて症状が広がることがあり、肘や膝など体の他部位にも症状が出ることがあります。自己判断での鑑別は難しいため、症状が続く場合は皮膚科専門医を受診してください。
Q2:頭皮の乾癬は人にうつりますか?
A.
乾癬は感染症ではなく、人から人へうつることはありません。日常生活(接触・入浴・食事など)で他の方にうつす心配はありませんので、過度に心配せず、適切な治療を継続することが大切です。
Q3:頭皮乾癬の治療にはどのような薬が使われますか?
A.
頭皮乾癬には、まずステロイド外用薬・活性型ビタミンD3外用薬・その配合剤をローションやフォームタイプで使用します。外用薬だけでは不十分な場合、光線療法(エキシマライト・ナローバンドUVB)や内服薬(オテズラ〔アプレミラスト〕・シクロスポリン・チガソン〔エトレチナート〕)が検討されます。中等症〜重症で上記で効果が不十分な場合、千里中央院では分子標的薬・生物学的製剤にも対応しています。適応・費用・副作用は診察でご確認ください。
Q4:乾癬は寛解(症状のない状態)しますか?
A.
乾癬は免疫の異常を背景とする慢性疾患であり、「寛解(症状のない状態)」という表現は適切ではありません。治療のゴールは、症状のない・落ち着いた状態(寛解)を目指し、それを長く維持することです。適切な治療と生活習慣の改善によって、多くの方が日常生活への支障を減らすことが期待できますが、効果・経過には個人差があります。
Q5:頭皮乾癬のセルフケアで気をつけることはありますか?
A.
低刺激のシャンプーを選び、爪を立てず指の腹で優しく洗うことが大切です。強く掻くと「ケブネル現象」といって刺激を受けた部位に新たな皮疹が出やすくなります。また、喫煙・過度の飲酒・肥満・強いストレスは乾癬を悪化させる因子として知られているため、生活習慣の見直しも重要です。市販のフケ用シャンプーで改善しない場合は、早めに皮膚科を受診してください。
Q6:千里中央・豊中・吹田エリアで乾癬の治療を受けられますか?
A.
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田)では、外用療法・光線療法・内服療法に加え、中等症〜重症の方向けの分子標的薬・生物学的製剤にも対応しています(日本皮膚科学会分子標的薬承認施設)。千里中央駅から徒歩約5分で、千里中央・豊中・吹田エリアからアクセスしやすい立地です。江坂院(吹田市)・みのお院(箕面市)でも外用・光線療法・内服に対応しており、分子標的薬・生物学的製剤が必要な場合は千里中央院へご紹介します。













