足の裏にできたウイルス性イボ(尋常性疣贅)しつこいウイルス性イボ(尋常性疣贅)の治療がなかなか終わらず、もどかしい思いをした経験はありませんか?

多くの患者様が「イボは簡単に治る」と考えがちですが、実際には非常に治りにくい皮膚疾患の一つです。

この記事では、イボ治療に関する5つの意外な、しかし重要な真実を皮膚科専門医が解説します。
ご自身のイボの状態と治療の選択肢をより深く理解するための一助となれば幸いです。

 
監修者:花房崇明 理事長(皮膚科専門医)

監修者
理事長:花房崇明(はなふさ たかあき)

[ 資 格 ]

・医学博士(大阪大学大学院)
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本アレルギー学会アレルギー専門医
・日本抗加齢医学会専門医
・難病指定医

[ 所属学会 ]

・日本皮膚科学会 / 日本アレルギー学会
・日本小児皮膚科学会 / 日本抗加齢医学会
・日本美容皮膚科学会

 
 

1. 標準治療の真実:液体窒素療法は1回では治りにくい

ウイルス性イボの治療で、皮膚科医が最初に選択するのは、健康保険が適用される「液体窒素療法(冷凍凝固療法)」です。

これは、-196℃の超低温の液体窒素を綿棒やスプレーで患部に当て、ウイルスに感染した細胞を直接凍結・破壊する、最も一般的で標準的な治療法です。

しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。液体窒素療法は、1回の治療で治りきることがほとんどないという点です。

実際の診療では、10回前後、あるいはそれ以上の通院が必要になることも珍しくありません
1回ごとに少しずつイボを削っていくイメージで、ウイルスを完全に排除するためには、1〜2週間ごとの定期的な治療を根気強く続けることが必要不可欠です。数回受けて変化が乏しくても、効いていないわけではありません。

 

2. 治療は長期戦:2年経っても残ることがある

治療期間が非常に長くなるケースは珍しくありません。

千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科での経験上、数回の治療で治る方が多い一方で、数ヶ月から数年にわたって治療を続ける方もいらっしゃいます。

参考になるのが、イボの自然経過を調べた古典的な研究です。未治療の子どもを2年間追跡したところ、約3分の2のイボが2年以内に自然に消えたと報告されています。
裏を返せば、約3分の1は2年経っても残っていたということです。イボがそれだけしぶといものだと分かります。

ただし、長期間の治療を続けていると、ある日突然イボが急速に小さくなり、きれいに治癒することがあります。これは、後述する「自身の免疫力」がウイルスを認識したためと考えられています。

「放っておけば治る」わけではありません。
自然に治ることはありますが、待っている間にイボの数が増えたり、削ったりひっかいたりすることで体の別の場所や家族にうつることがあります。小さいうちに治療を始めるほうが、結果的に早く終わります。

 

3. 難治性のイボへ:より強力な治療選択肢

標準的な液体窒素療法で効果が見られない、あるいは治療が長期化している「難治性」のイボに対しては、別の治療を検討します。

■ 炭酸ガスレーザー治療

(千里中央・江坂駅前・みのお 各院で対応可能)

  • 概要:局所麻酔をしたうえで、レーザーでウイルス感染組織を蒸散させて除去します。
  • 特徴:その場でイボを削り取れるため、液体窒素を繰り返すより治療期間の短縮が期待できます。
  • 注意点:自費治療です。麻酔の注射が必要で、削った部分は傷になるため処置が必要です。深いイボでは再発することもあります。

■ ブレオマイシン局所注射

(※当グループでは現在対応しておりません)

  • 概要:抗がん剤の一種をイボに直接注射する方法です。
  • 特徴:難治性のイボに対する有効性が システマティックレビューで報告されています。
  • 注意点:保険適用外であり、注射時に強い痛みを伴います。爪の変形など副作用の報告もあります。
 

4. 「通院間隔」が完治へのスピードを左右する

イボ治療の効果を最大化するためには、治療の「間隔」が極めて重要です。

当院では、液体窒素療法を1週間から2週間に1回のペースで受けることを推奨しています。

冷凍凝固の間隔を1週・2週・3週で比較した研究では、間隔が短いほど治癒率が高いことが示されています。また、手足のイボについて2週間間隔と3週間間隔を比べた研究でも、2週間間隔のほうが良好な結果でした。

その理由は、液体窒素が細胞を壊すだけでなく、局所的な免疫反応を活性化させる作用も持つと考えられているためです。
間隔が空くほど効果が下がりますので、スケジュールを守ることこそが、完治への近道です。

 

5. 鍵を握るのは「免疫力」

イボ治療の最終的なゴールは、自身の免疫がウイルスを排除することです。長期間かけて治療していたイボが、ある時期を境に急に治るのはこのためと考えられています。

皮膚科では、この働きをサポートする目的で補助療法を併用することがあります。代表的なものが、ハトムギの種子から作られる漢方薬「ヨクイニン」です。当院でも処方していますが、これ単独で確実にイボが治るというものではなく、液体窒素などの治療と併用する位置づけです。

なお、日本には古くから「イボ取り地蔵」にお参りする風習があります。暗示によってイボが改善したという報告も昔からあり、興味深い現象ではありますが、確立された治療法ではありません。治療に前向きに取り組み、通院を続けていただくことのほうが、確実な近道です。

 

6. まとめ:焦らず根気強く向き合うために

イボ治療は患者様が思う以上に複雑で、根気と忍耐を要するものです。大切なポイントを振り返ります。

治療はマラソン: 1回では治りません。10回前後の通院を見込んで、焦らず取り組みましょう。

2年経っても残ることがある: 未治療でも約3分の2は2年以内に消えますが、残る3分の1もいます。

選択肢を知る: 難治性の場合は、炭酸ガスレーザーなどの自費治療も選択肢になります。

間隔を守る: 「1〜2週間に1回」の通院が、完治への最短ルートです。

うつることを忘れずに: ひっかいたり削ったりすると、別の場所や家族に広がります。

イボで悩んでいる場合は、まずはお近くの皮膚科クリニックにご相談ください。
当グループでも、患者様お一人おひとりに合わせた最適な治療を提案させていただきます。

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7. よくある質問(FAQ)

Q1:イボの治療は何回くらい通えば治りますか?

個人差が非常に大きく、数回で治る方もいれば、数十回を要する方もいます。液体窒素療法は1回で治りきることは少なく、多くの場合1〜2週間ごとの通院を繰り返しながら少しずつ小さくしていきます。数回で変化がないからといって効いていないわけではないので、間隔を空けずに続けることが大切です。

Q2:イボは放っておいても治りますか?

自然に治ることもあります。未治療の子どもを2年間追跡した古典的な研究では、約3分の2のイボが2年以内に自然に消えたと報告されています。裏を返せば、約3分の1は2年経っても残っていたということです。ただし放置している間に数が増えたり、他の部位や家族にうつることがあるため、治療を受けることをおすすめします。

Q3:通院の間隔はどのくらいが良いですか?

1〜2週間に1回のペースをおすすめしています。冷凍凝固の間隔を1週・2週・3週で比べた研究では、間隔が短いほど治癒率が高いことが示されており、2週間と3週間を比べた研究でも2週間のほうが良好な結果でした。間隔が空くほど治療効果が下がるため、スケジュールを守ることが完治への近道です。

Q4:液体窒素は痛いですか?他の治療法はありますか?

液体窒素は施術中から施術後にかけて痛みを感じる方が多い治療です。効果が乏しい場合や治療が長引く場合には、局所麻酔をしたうえで炭酸ガスレーザーでイボを削り取る方法(自費診療)もあります。当グループでは千里中央・江坂駅前・みのおの各院で対応しています。ブレオマイシンの局所注射も有効性が報告されていますが、当グループでは行っておりません。

Q5:ヨクイニンは飲んだほうがよいですか?

ヨクイニン(ハトムギ由来の漢方薬)は、免疫を介した働きを期待して補助的に処方されることがあり、当院でも処方しています。ただし単独で確実にイボを治す薬ではなく、液体窒素などの治療と併用する位置づけです。効果には個人差がありますので、続けるかどうかは診察時にご相談ください。

Q6:イボは人にうつりますか?

ウイルス性イボはヒトパピローマウイルスによるもので、うつることがあります。小さな傷から感染するため、イボを触った手で他の部位を触る、ひっかく、削るといった行為で自分の体の別の場所に広がることがあります。バスマットやタオルの共用も避け、気になる場合は早めに治療を始めてください。

 

8. 参考文献(Evidence)

  1. Kwok CS, Gibbs S, Bennett C, Holland R, Abbott R. Topical treatments for cutaneous warts. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2012;(9):CD001781.
    doi:10.1002/14651858.CD001781.pub3
    ▶ イボの外用・冷凍凝固治療のエビデンスを網羅したコクランレビュー。
  2. Bourke BE, Berth-Jones J, Hutchinson PE. Cryotherapy of common viral warts at intervals of 1, 2 and 3 weeks. British Journal of Dermatology. 1995.
    PubMed 7718461
    ▶ 冷凍凝固の間隔を1週・2週・3週で比較し、間隔が短いほど治癒率が高いことを示した研究。
  3. A two-week interval is better than a three-week interval for reducing the recurrence rate of hand-foot viral warts after cryotherapy: a retrospective review of 560 patients. Annals of Dermatology. 2011;23(1):53.
    doi:10.5021/ad.2011.23.1.53
    ▶ 手足のイボ560例で、2週間間隔が3週間間隔より再発が少なかったことを示した後ろ向き研究。
  4. Massing AM, Epstein WL. Natural history of warts: a two-year study. Archives of Dermatology. 1963.
    JAMA Network
    ▶ 未治療のイボの自然経過を2年間追跡し、約3分の2が自然消退することを示した古典的研究。
  5. Efficacy and tolerability of intralesional bleomycin in dermatology: a systematic review. Journal of the American Academy of Dermatology. 2020.
    doi:10.1016/j.jaad.2020.02.018
    ▶ 難治性イボを含む皮膚疾患に対するブレオマイシン局所注射の有効性と忍容性をまとめたシステマティックレビュー。

最終確認日:2026年8月17日(各文献はDOIまたはPubMed IDで実在を照合済み)

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