乾癬(かんせん)とは、免疫の異常によって皮膚のターンオーバーが過剰に速まり、赤い盛り上がり(紅斑)に銀白色の鱗屑(りんせつ:フケ状のかさぶた)が付着し、ポロポロとはがれ落ちる慢性の皮膚疾患です。感染症ではなく人にはうつらず、良くなったり悪くなったりを繰り返します。乾癬に「寛解(症状のない状態)」という概念は用いませんが、適切な治療によって症状のない落ち着いた状態(寛解)を目指し、維持していくことは十分に可能です。本記事では、外用薬・光線療法・内服薬・生物学的製剤まで、重症度に応じた治療の全体像を皮膚科専門医が解説します。
目次
乾癬とは?原因と症状
乾癬は、IL-17・IL-23・TNFαなどのサイトカイン(免疫伝達物質)が過剰に働くことで皮膚の炎症が慢性的に続き、正常なら約28日かかるターンオーバーが数日単位に短縮してしまう疾患です。その結果、未熟な角質細胞が皮膚表面に積み重なり、厚みのある銀白色の鱗屑を伴う紅斑が生じます。
主な症状
- 赤く盛り上がった発疹(紅斑・丘疹)
- 銀白色のフケ状の鱗屑が付着し、ポロポロはがれる
- かゆみ(掻痒感:そうようかん)を伴うことが多い
- 頭皮・肘・膝・腰回りなどに好発するが、爪・関節にも現れる
発症・悪化に関わる要因
乾癬は遺伝的素因(体質)が関与することはありますが、必ず遺伝する病気ではありません。発症・悪化には以下の環境因子も深く関わります。
- ストレス・過労
- 喫煙・飲酒
- 肥満
- 細菌・ウイルス感染(扁桃炎など)
- 一部の薬剤(β遮断薬・NSAIDsなど)
乾癬は感染症ではありません。人から人へうつることはなく、患者さんと同じ空間にいたり、触れたりしても感染しません。周囲の方にもこの事実を正しく知っていただくことが大切です。
乾癬の病型
乾癬にはいくつかの病型があり、症状や重症度が異なります。最も多いのは尋常性乾癬です。
| 病型 | 主な特徴 |
|---|---|
| 尋常性乾癬 | 最も多い。紅斑+銀白色鱗屑が全身に出現 |
| 関節症性乾癬 (乾癬性関節炎) | 関節の痛み・腫れ・変形を伴う。皮膚症状と同時または前後して発症 |
| 滴状乾癬 | 扁桃炎などの感染後に小さな発疹が多発。比較的若年者に多い |
| 膿疱性乾癬 | 膿疱(のうほう)が多発。重症型で入院治療が必要なこともある |
| 乾癬性紅皮症 | 全身の皮膚が赤くなる重症型 |
乾癬の治療ラダー(段階的な治療の全体像)
乾癬の治療は、重症度・病変部位・患者さんの状態に応じて段階的に(治療ラダー方式で)選択されます。軽症から順に外用療法→光線療法→内服療法→分子標的薬・生物学的製剤へとステップアップしていくのが基本的な考え方です。
治療のゴールは「寛解(症状のない状態)」ではなく「寛解の維持」です。乾癬は慢性疾患であり、体質が関わるため根本から取り除くことは難しいとされています。しかし適切な治療を継続することで、症状のない・落ち着いた状態(寛解)を目指し、それを長く維持していくことが現在の治療目標です。効果・経過には個人差があります。
各治療法の詳細
① 外用療法(軽症〜中等症の基本治療)
乾癬治療の第一歩は外用薬(塗り薬)です。主に以下の3種類が使われます。
| 外用薬の種類 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| ステロイド外用薬 | 炎症を抑える。強さ(ランク)を部位・症状に合わせて選択。長期連用には注意が必要 |
| 活性型ビタミンD3外用薬 | 皮膚細胞の増殖を抑制。ステロイドと異なるメカニズムで作用 |
| 配合剤(ステロイド+ビタミンD3) | 両者を1本にまとめた製剤。利便性が高い |
外用薬は症状の部位・面積・重症度によって使い分けが必要です。自己判断での使用量変更や急な中止はせず、必ず医師の指示に従ってください。
② 光線療法(外用で効果不十分な場合・頭皮など外用しにくい部位)
紫外線療法は、特定波長の紫外線を照射して免疫反応を抑え、皮膚症状を改善する治療法です。外用薬との併用で効果が高まることもあります。
- エキシマライト(308nm):局所的な病変に高エネルギーの紫外線を照射。頭皮や関節周囲など外用しにくい部位にも対応しやすい
- ナローバンドUVB(311nm):全身または広範囲の病変に適した紫外線療法
光線療法の詳細については紫外線療法(エキシマライト)の詳細もご覧ください。
③ 内服療法(中等症〜重症、または外用・光線で効果不十分な場合)
外用や光線療法で十分な改善が得られない場合、内服薬(飲み薬)が検討されます。
| 内服薬 | 一般名・分類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| オテズラ | アプレミラスト (PDE4阻害薬) | 炎症に関わる酵素(PDE4)を阻害。注射不要の経口薬。関節症状にも適応 |
| シクロスポリン | シクロスポリン (免疫抑制薬) | 免疫反応を広く抑制。効果は比較的早いが、腎機能・血圧への影響に注意が必要 |
| チガソン | エトレチナート (レチノイド) | 皮膚細胞の分化を正常化。妊娠中・妊娠予定の方には使用できないなど制限あり |
各内服薬には適応要件・副作用・禁忌があります。定期的な血液検査などのモニタリングが必要なものもあり、適応・用量・費用はすべて診察で医師が判断・ご説明します。
④ 分子標的薬・生物学的製剤(中等症〜重症乾癬)
既存の治療で十分な効果が得られない中等症〜重症の乾癬に対し、IL-17・IL-23・TNFαなどのサイトカインを標的とした生物学的製剤(注射薬)や、JAK/TYK2などを標的とする分子標的薬(経口薬)が使われます。
- ソーティクツ(デュークラバシチニブ):TYK2を選択的に阻害する経口の分子標的薬
- 生物学的製剤(注射):IL-17阻害薬・IL-23阻害薬・TNFα阻害薬など複数の選択肢がある
分子標的薬・生物学的製剤は適応要件(重症度基準など)があり、すべての方に使用できるわけではありません。また費用負担(公的医療保険適用外となる場合や高額療養費制度の活用など)についても診察でご確認ください。効果・副作用には個人差があります。
【やってはいけないNG行動】
- 医師の指示なく外用薬を急に中止する(リバウンドのリスク)
- インターネットの情報だけで市販薬・サプリに頼り、受診を先延ばしにする
- 「うつる」という誤解から入浴・プールなどを過度に制限する(乾癬は感染しません)
- 喫煙・過度の飲酒を続ける(悪化因子になります)
花ふさ皮ふ科グループでの乾癬診療
花ふさ皮ふ科グループの3院では、理事長・花房 崇明(皮膚科専門医/アレルギー専門医/難病指定医・医学博士)の監修のもと、保険診療で乾癬の診断・治療に対応しています。
| 治療内容 | 千里中央院 (豊中市・千里中央) | 江坂駅前院 (吹田市・江坂) | みのお院 (箕面市・箕面萱野) |
|---|---|---|---|
| 外用療法 (ステロイド・ビタミンD3・配合剤) | ✓ | ✓ | ✓ |
| 光線療法 (エキシマライト・ナローバンドUVB) | ✓ | ✓ | ✓ |
| 内服療法 (オテズラ・シクロスポリン・チガソン) | ✓ | ✓ | ✓ |
| 分子標的薬・生物学的製剤 (ソーティクツ等) | ✓ 日本皮膚科学会 分子標的薬承認施設 | △ 千里中央院へ 連携・紹介 | △ 千里中央院へ 連携・紹介 |
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田)は日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設として、中等症〜重症乾癬の患者さんに対して分子標的薬・生物学的製剤による治療に対応しています。千里中央駅から徒歩約5分、駐車場も9台完備しており、千里中央・豊中・吹田エリアからアクセスしやすい環境です。
江坂駅前院・みのお院では外用・光線療法・内服に対応し、分子標的薬・生物学的製剤が必要と判断された場合は千里中央院へスムーズに連携・紹介します。どの院でもまずはお気軽にご相談ください。
乾癬の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)— 分子標的薬・生物学的製剤の承認施設
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医・難病指定医の監修のもと、外用薬・光線療法(エキシマ)・内服薬(オテズラ・シクロスポリン・チガソン)による保険診療に対応。さらに千里中央院は日本皮膚科学会の分子標的薬承認施設として、ソーティクツなどの分子標的薬や生物学的製剤による重症乾癬の治療にも対応します(江坂・みのおでは行っておらず、必要時は千里中央院と連携します)。
くり返す・治りにくい乾癬は花ふさ皮ふ科グループへ
乾癬は症状や重症度に応じて、外用・光線療法・内服・分子標的薬まで幅広い治療があります。皮膚科専門医・アレルギー専門医が保険診療でご提案します。気になる症状は自己判断せずご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。
受診の目安・日常生活での注意点
こんな症状があれば早めに皮膚科へ
- 赤い盛り上がりに白いフケ状のものが付き、繰り返す
- 頭皮・爪・肘・膝に慢性的な皮膚症状がある
- 皮膚症状と同時に関節の痛みや腫れがある(関節症性乾癬の可能性)
- 市販薬を使っても改善しない・悪化している
- 全身に急激に発疹が広がった
日常生活で意識したいこと
- 禁煙・節酒:喫煙・飲酒は乾癬の悪化因子。できる範囲で減らすことが勧められます
- 適正体重の維持:肥満は炎症を促進するサイトカインを増加させます
- ストレス管理:過労・睡眠不足を避け、リラックスできる時間を確保する
- 保湿ケア:皮膚のバリア機能を保つために日常的な保湿が大切です
- 皮膚への刺激を避ける:強くこする・搔き壊しは症状を悪化させます
まとめ
まとめ|乾癬は段階的な治療で寛解を目指せます
乾癬は免疫の異常が関わる慢性の皮膚疾患ですが、現在は多くの治療選択肢があり、適切なケアで症状のない落ち着いた状態(寛解)を維持することが可能です。
- 外用療法:ステロイド・活性型ビタミンD3・配合剤が基本。全3院で対応
- 光線療法:エキシマライト・ナローバンドUVBで外用と組み合わせて効果を高める。全3院で対応
- 内服療法:オテズラ(アプレミラスト)・シクロスポリン・チガソン(エトレチナート)。全3院で対応
- 分子標的薬・生物学的製剤:千里中央院(日本皮膚科学会分子標的薬承認施設)のみ対応。江坂・みのお院から連携・紹介あり
- 治療のゴールは「寛解(症状のない状態)」ではなく「寛解の維持」。効果・経過には個人差があります
症状や治療方針については、必ず医師の診察を受けたうえでご相談ください。千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面エリアで乾癬にお悩みの方は、花ふさ皮ふ科グループへお気軽にご相談ください。
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FAQ(よくある質問)
Q1:乾癬は人にうつりますか?
A.
乾癬は感染症ではなく、人から人へうつることはありません。同じ空間にいたり、肌が触れたりしても感染しません。免疫の異常と遺伝的素因・環境因子が関わる慢性疾患です。
Q2:乾癬は寛解(症状のない状態)しますか?
A.
乾癬は体質が関わる慢性疾患のため、「寛解(症状のない状態)」という表現は用いません。ただし、適切な治療を継続することで症状のない落ち着いた状態(寛解)を目指し、それを長く維持することは十分に可能です。効果・経過には個人差がありますので、詳しくは医師にご相談ください。
Q3:生物学的製剤はどの院でも受けられますか?
A.
分子標的薬・生物学的製剤による治療は、千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(日本皮膚科学会分子標的薬承認施設)のみで対応しています。江坂駅前院・みのお花ふさ皮ふ科では外用・光線療法・内服に対応し、必要と判断された場合は千里中央院へ連携・紹介します。
Q4:乾癬の治療費はどのくらいかかりますか?
A.
乾癬の外用療法・光線療法・内服療法は公的医療保険が適用されます。費用は使用する薬剤・治療の種類・通院頻度・保険区分などによって異なります。分子標的薬・生物学的製剤は適応要件があり、高額療養費制度の活用が可能なケースもあります。具体的な費用については診察時に医師・スタッフへお気軽にお尋ねください。
Q5:頭皮の乾癬にも光線療法は使えますか?
A.
はい、エキシマライト(308nm)は局所的に照射できるため、頭皮や関節周囲など外用薬が塗りにくい部位にも対応しやすい治療法です。詳細は紫外線療法(エキシマライト)の詳細ページもご参照ください。適応については診察で医師が判断します。
Q6:乾癬と関節の痛みが同時にある場合はどうすればよいですか?
A.
皮膚症状と関節の痛み・腫れ・変形が同時にみられる場合、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)の可能性があります。放置すると関節変形が進むリスクがあるため、早めに皮膚科を受診し、必要に応じて整形外科・リウマチ科との連携も含めた治療方針を相談することをお勧めします。
Q7:乾癬の悪化を防ぐために日常生活で気をつけることはありますか?
A.
喫煙・過度の飲酒・肥満・ストレス・睡眠不足は乾癬の悪化因子として知られています。禁煙・節酒・適正体重の維持・保湿ケアを心がけることが、症状の安定に役立つとされています。ただし生活習慣の改善だけで治療に代えることはできませんので、医師の指示のもとで治療と並行して取り組んでください。













