疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)という微小なダニが皮膚の角質層に寄生することで起こる感染性の皮膚疾患です。夜間に強くなるかゆみや、手首・指の間・わきの下などに現れる特徴的な皮疹が主な症状で、家族や介護施設など身近な場所で集団感染することがあります。
「これって疥癬?」と不安に感じたら、受診すべき科は皮膚科です。疥癬は湿疹やアトピー、虫さされとよく似た見た目のため自己判断が難しく、ダーモスコピーや顕微鏡検査による確定診断が欠かせません。この記事では、何科を受診すべきか・どんな検査をするのか・治療法・受診の目安まで、皮膚科専門医が詳しく解説します。
目次
疥癬とは?症状と種類
疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生して引き起こす感染症です。感染すると数週間の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 強いかゆみ:特に夜間に増強しやすい
- 小さな赤いブツブツ(丘疹):手首・指の間・わきの下・陰部・お腹などに出やすい
- 疥癬トンネル:ヒゼンダニが角質層を掘り進んだ跡で、線状の皮疹として現れる。指の間や手首に見られることが多い
通常疥癬と角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の違い
| 種類 | 特徴 | 感染力 | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| 通常疥癬 | 寄生するダニの数は比較的少ない。一般的な疥癬 | 比較的低い(長時間の肌の接触が主な感染経路) | 一般の方全般 |
| 角化型疥癬(ノルウェー疥癬) | 厚いあかのような角質に非常に多数のダニが寄生。かゆみが軽いこともある | 極めて強い(短時間の接触・寝具経由でも感染しうる) | 免疫が低下した方・高齢者など |
疥癬の主な感染経路は肌と肌の長時間の直接接触です。寝具・衣類・タオルの共用でもうつることがあります。ただし、通常疥癬の場合、短時間触れただけですぐに感染するわけではありません。過度に心配せず、冷静に対処することが大切です。
疥癬は何科を受診すべき?
疥癬が疑われる場合は、皮膚科を受診してください。皮膚科では、ダーモスコピーや顕微鏡検査によってヒゼンダニや卵を直接確認する「確定診断」が可能です。
疥癬の皮疹は、湿疹・じんましん・アトピー性皮膚炎・虫さされなど他の皮膚疾患と見た目がよく似ているため、自己判断や市販薬での対処は診断を遅らせるリスクがあります。「かゆみが続いている」「家族にも同じ症状が出た」という場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
皮膚科を選ぶべき理由
疥癬の診断には、皮膚科専門医によるダーモスコピー検査や顕微鏡検査(検鏡)が必要です。内科・整形外科などでは対応が難しい場合があります。かゆみや発疹が気になる方は、まず皮膚科にご相談ください。
皮膚科で行う検査(ダーモスコピー・顕微鏡)
疥癬の確定診断には、主に以下の2つの検査が用いられます。いずれも外来で短時間で行える検査です。
① ダーモスコピー検査
ダーモスコピーは、皮膚を拡大して観察できる専用の拡大鏡(皮膚科用拡大鏡)です。疥癬トンネルの先端にいるヒゼンダニを、皮膚を傷つけずに視覚的に確認できます。痛みはほとんどなく、短時間で行えます。
② 顕微鏡検査(検鏡)
疥癬トンネルや皮疹の部分から皮膚の表面を少量採取し、顕微鏡でヒゼンダニ本体・卵・糞などを直接確認する検査です。ダニや卵が確認できれば確定診断となります。採取時に軽い刺激を感じることがありますが、大がかりな処置は不要です。
どちらの検査も保険診療の範囲内で受けられます(※診察内容により異なります)。検査時間は短く、当日に結果がわかることがほとんどです。
受診前に知っておきたい注意点
疥癬が疑われる場合、受診前の対処法を誤ると診断が難しくなったり、症状が悪化したりすることがあります。以下の点に注意してください。
【やってはいけないNG行動】
- 市販のステロイド外用薬を自己判断で塗る:かゆみが一時的に和らいでも疥癬そのものには効果がなく、症状が変化して診断しにくくなる場合があります。また、免疫を抑制する作用により、角化型疥癬に移行するリスクが指摘されています。
- 「湿疹だろう」と放置する:感染が拡大し、家族や同居者への二次感染につながる可能性があります。
- インターネットで薬を購入・自己治療する:疥癬の治療薬は医師の診察・処方が必要です。自己判断での使用は適切な治療につながりません。
「もしかして疥癬かも」と感じたら、市販薬で対処する前に皮膚科を受診することが、最も確実で安全な対応です。
疥癬の治療法
疥癬は適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。治療は保険診療で対応可能です(※公的医療保険適用)。主な治療法は以下のとおりです。
内服薬:イベルメクチン(ストロメクトール)
ヒゼンダニに効果のある内服薬です。体重に応じて医師が用量を決め、1回内服後、通常1〜2週間後にもう一度内服します。服用回数は症状や経過により医師が判断します。
外用薬:フェノトリンローション(スミスリンローション)・クロタミトン(オイラックス)
フェノトリンローションは首から下の全身に塗布し、一定時間後に洗い流す外用薬です。1週間間隔で複数回行います。かゆみ症状に対してクロタミトン(オイラックス)を用いることもあります。外用薬の使い方・回数は診察で医師が指示します。
| 治療法 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 内服薬 | イベルメクチン(ストロメクトール) | 体重に応じた用量を医師が決定。複数回内服 |
| 外用薬 | フェノトリンローション(スミスリンローション) | 全身塗布・洗い流し。1週間間隔で複数回 |
| かゆみ対策 | クロタミトン(オイラックス)など | かゆみ症状の緩和目的で使用することがある |
感染対策も治療の一部です
治療と並行して、寝具・衣類の洗濯・乾燥、同居家族や接触者の確認・必要に応じた治療を行うことが重要です。一人だけ治療しても、周囲からの再感染が起こる可能性があります。感染対策についても、受診時に医師・スタッフにご相談ください。
なお、治療後もかゆみがしばらく続くことがあります。これはダニが死滅した後も皮膚の炎症反応が残るためで、治療が効いていないわけではありません。治療効果や必要な回数には個人差があります。症状の経過は必ず担当医に相談してください。
受診の目安(こんな症状はすぐ皮膚科へ)
以下に当てはまる場合は、早めに皮膚科を受診してください。
- 夜間に強いかゆみが続いている(特に就寝時に悪化する)
- 指の間・手首・わきの下・陰部などに赤いブツブツや線状の皮疹がある
- 家族や同室者にも同様の症状が出ている
- 介護施設・病院など集団生活の場で感染が疑われる
- 市販薬を使っても症状が改善しない
- 免疫が低下している方・高齢者で皮膚に厚い角質(あかのようなもの)が増えている
角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は感染力が非常に強く、施設内での集団感染につながることがあります。「施設でかゆみを訴える入居者が複数いる」という場合は、速やかに皮膚科に相談することをおすすめします。
花ふさ皮ふ科グループでの疥癬診療
花ふさ皮ふ科グループでは、保険診療にて疥癬の診断・治療に対応しています。千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面エリアにお住まいの方はお気軽にご相談ください。
- 診断:ダーモスコピーによる観察と、皮膚を少量採取して顕微鏡でヒゼンダニ・卵を確認する検鏡を実施
- 治療:内服薬(イベルメクチン〈ストロメクトール〉)・外用薬(フェノトリンローション〈スミスリンローション〉、クロタミトン〈オイラックス〉)に対応
- 感染対策のご相談:寝具・衣類の処理方法、同居家族・接触者への対応についてもご案内します
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田、千里中央駅から徒歩約5分)のほか、江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(吹田市・江坂駅徒歩約1分)、みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府箕面市・箕面萱野駅直結)でも同様に対応しています。いずれも皮膚科専門医・アレルギー専門医の資格を持つ理事長 花房崇明(医学博士)の監修のもと診療を行っています。
疥癬の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医・難病指定医の監修のもと、ダーモスコピーや顕微鏡検査で疥癬虫・卵を確認して正しく診断し、内服薬(イベルメクチン)や外用薬(フェノトリン=スミスリンローション、クロタミトン)による保険診療に対応します。ご家族・施設での感染対策もご相談いただけます。
強いかゆみ・うつる発疹、疥癬が心配なときは花ふさ皮ふ科グループへ
疥癬は早期の診断と治療、そして周囲への感染対策が大切です。ダーモスコピーや顕微鏡検査で正しく診断し、保険診療で治療します。自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。
まとめ
まとめ|疥癬は皮膚科専門医にご相談を
疥癬は適切な診断と治療によって改善が期待できる感染症です。自己判断や市販薬での対処は診断を遅らせるリスクがあります。以下のポイントを覚えておいてください。
- 受診すべき科は皮膚科:ダーモスコピー・顕微鏡検査で確定診断が可能
- 自己判断でステロイドを塗らない:診断が難しくなる・悪化するリスクがある
- 治療は保険診療で対応可能:内服薬(イベルメクチン)・外用薬(フェノトリン等)を医師が処方
- 感染対策も並行して行う:寝具・衣類の洗濯、家族・接触者の確認が重要
- 治療後もかゆみが続くことがある:効果・回数には個人差があるため、経過は医師に相談
最終的な診断・治療方針は、必ず医師の診察を受けたうえで決定してください。千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面エリアで疥癬が心配な方は、花ふさ皮ふ科グループへお気軽にご相談ください。
疥癬についてもっと知る(関連記事)
強いかゆみ・うつる発疹、疥癬が心配なときは花ふさ皮ふ科グループへ
疥癬は早期の診断と治療、そして周囲への感染対策が大切です。ダーモスコピーや顕微鏡検査で正しく診断し、保険診療で治療します。自己判断せず、皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険予約からどうぞ。
FAQ(よくある質問)
Q1:疥癬かどうか、自分で判断できますか?
A.
疥癬の皮疹は、湿疹・アトピー性皮膚炎・じんましん・虫さされなど他の皮膚疾患と見た目が非常によく似ているため、自己判断は難しいとされています。「夜間に強いかゆみがある」「指の間や手首に線状の皮疹がある」「家族にも同じ症状がある」といった場合は、自己判断せずに皮膚科を受診してダーモスコピーや顕微鏡検査による確定診断を受けることをおすすめします。
Q2:疥癬の検査は痛いですか?どのくらい時間がかかりますか?
A.
ダーモスコピー検査は皮膚を傷つけずに観察するため、ほとんど痛みはありません。顕微鏡検査(検鏡)では皮膚の表面を少量採取しますが、大がかりな処置は不要で、軽い刺激を感じる程度です。いずれも外来で短時間で行えます。当日に結果がわかることがほとんどです。
Q3:疥癬の治療薬は市販されていますか?
A.
疥癬の治療に使用するイベルメクチン(ストロメクトール)やフェノトリンローション(スミスリンローション)は、医師の診察・処方が必要な医薬品です。市販薬として自由に購入できるものではありません。必ず皮膚科を受診し、医師の指示のもとで使用してください。自己判断での薬の入手・使用はお控えください。
Q4:治療後もかゆみが続いています。治っていないのでしょうか?
A.
治療によってヒゼンダニが死滅した後も、皮膚の炎症反応が残るためにかゆみがしばらく続くことがあります。これは治療が効いていないわけではなく、多くの場合は時間の経過とともに改善していきます。ただし、かゆみが長引く・新しい皮疹が増えるなど気になる症状がある場合は、再感染や他の疾患の可能性もあるため、必ず担当医に相談してください。治療効果や回数には個人差があります。
Q5:家族も一緒に受診・治療した方がよいですか?
A.
疥癬は肌と肌の長時間の接触でうつるため、同居する家族や長時間接触した方も感染している可能性があります。一人だけ治療しても、周囲からの再感染が起こることがあります。症状の有無にかかわらず、同居家族や密接な接触者は皮膚科を受診して確認してもらうことが望ましいです。受診の際に「家族も心配」とお伝えいただければ、対応についてご案内します。
Q6:介護施設でスタッフや入居者に疥癬が疑われます。どうすればよいですか?
A.
介護施設・病院などでは、疥癬(特に角化型疥癬)が集団感染につながることがあります。複数の方に強いかゆみや発疹が見られる場合は、速やかに皮膚科に相談してください。感染が広がらないよう、早期の診断・治療と適切な感染対策(寝具・衣類の処理、接触者の確認など)が重要です。花ふさ皮ふ科グループでは、感染対策についてもご相談に応じています。













