脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、頭皮・顔・胸・背中など皮脂の分泌が多い部位に赤み・かゆみ・フケ(鱗屑)・かさぶたが繰り返し生じる湿疹です。「シャンプーしてもフケが止まらない」「鼻の脇や眉の周りが赤くなってポロポロ剥ける」といった症状でお悩みの方は少なくありません。
この記事では、なぜ脂漏性皮膚炎が起こるのか——常在真菌「マラセチア」のはたらき、皮脂・加齢・体質の関与、そしてストレスや睡眠不足などの悪化因子——を皮膚科専門医・アレルギー専門医の監修のもとわかりやすく解説します。原因を正しく理解することが、症状をコントロールする第一歩です。
目次
1. 脂漏性皮膚炎とは?症状と好発部位
脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹とも呼ばれます)は、皮脂の分泌が盛んな部位に繰り返し炎症が起きる慢性的な湿疹です。一度よくなっても再燃しやすいのが特徴で、根気強いケアと治療の継続が大切です。
主な症状
- 赤み(紅斑)・かゆみ(掻痒感(そうようかん))
- フケ・皮むけ(鱗屑(りんせつ))
- 黄色みがかったかさぶた(痂皮(かひ))
- 患部のべたつき感
好発部位
頭皮・髪の生え際・眉間・眉毛・鼻の周囲(小鼻の脇)・耳の中や後ろ・胸・背中などに多くみられます。成人では30〜70歳の男性に多いとされていますが、女性にもみられます。また、赤ちゃんにも生後数か月ごろに乳児脂漏性湿疹として現れることがあり、多くは自然に軽快します。
2. 脂漏性皮膚炎の主な原因:マラセチアと皮脂の関係
脂漏性皮膚炎の原因を理解するうえで最も重要なのが、常在真菌「マラセチア」と皮脂の関係です。
マラセチアとは?
マラセチアは健康な人の皮膚にも存在する真菌(カビの一種)で、特に皮脂の多い部位に多く生息しています。通常は皮膚と共存しており、それ自体が病気の原因になるわけではありません。
【炎症が起きるしくみ】
マラセチアは皮脂(皮膚から分泌される脂)を栄養源として分解します。この分解の過程で生じる遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)が皮膚への刺激となり、炎症・赤み・かゆみを引き起こすと考えられています。つまり、「皮脂が多い」+「マラセチアの過剰な活動」が重なることで症状が出やすくなります。
皮脂・加齢・体質の関与
皮脂の分泌量は年齢・ホルモンバランス・体質によって異なります。皮脂分泌が増える思春期や、男性ホルモンの影響を受けやすい中高年男性に多くみられる背景には、こうした皮脂量の変化があると考えられています。また、もともと皮脂の分泌が多い体質の方は、マラセチアが活動しやすい環境になりやすいとされています。
3. 悪化させる要因(悪化因子)一覧
脂漏性皮膚炎は、マラセチアと皮脂の関係だけでなく、日常生活の様々な要因によって症状が悪化することが知られています。以下の悪化因子を把握し、できるところから改善することが症状のコントロールにつながります。
| 悪化因子 | 具体的な内容 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 洗い不足 | 皮脂・汚れの洗い残しがマラセチアの栄養源になる | 適切な洗顔・シャンプーの習慣化 |
| ストレス | 自律神経の乱れが皮脂分泌を促進するとされる | 休息・リラクゼーションの確保 |
| 睡眠不足 | 肌のターンオーバーが乱れ、バリア機能が低下しやすい | 規則正しい睡眠習慣 |
| ビタミンB群不足 | ビタミンB2・B6は皮脂の代謝に関わる栄養素 | バランスのよい食事(肉・魚・乳製品・緑黄色野菜など) |
| 不規則な生活 | 免疫・ホルモンバランスの乱れにつながる | 生活リズムの安定 |
| 刺激の強いスキンケア | 洗いすぎ・アルコール系製品による皮膚バリアの破壊 | 低刺激・適切な洗浄力の製品を選ぶ |
| 食生活の乱れ | 脂質・糖質の過剰摂取、アルコールの多飲は悪化の誘因になりうる | 極端な制限より全体的なバランスを重視 |
ストレスと脂漏性皮膚炎の関係
「仕事が忙しくなるとフケやかゆみがひどくなる」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。ストレスは自律神経やホルモンバランスに影響し、皮脂の分泌量を増やす可能性があるとされています。また、免疫機能の低下によってマラセチアへの皮膚の対応力が落ちることも一因と考えられています。ストレスを完全になくすことは難しくても、睡眠や休息を意識的に確保することが症状の安定につながる場合があります。
【やってはいけないNG行動】
- フケが気になるからといって、爪で頭皮をゴシゴシ強くかく(傷つけると悪化・二次感染のリスクがあります)
- 「洗いすぎると乾燥する」と思い込んで、皮脂の多い部位を十分に洗わない
- 市販のステロイド剤を自己判断で長期間使い続ける
- 「うつるかも」と誤解して、過度に生活を制限する
- 特定の食品だけを極端に制限する(バランスのよい食事が基本です)
4. 脂漏性皮膚炎はうつる?よくある誤解
「家族にうつってしまうのでは?」と心配される方がいますが、脂漏性皮膚炎は人から人へうつる病気ではありません。原因となるマラセチアは、健康な人の皮膚にも普通に存在する常在菌であり、接触によって感染するものではないため、過度に心配する必要はありません。
5. 原因に合わせたセルフケア・生活習慣の見直し
脂漏性皮膚炎の症状をコントロールするためには、医療機関での治療と並行して、日常のセルフケアが重要な役割を果たします。
正しい洗い方のポイント
- 頭皮・顔の皮脂は毎日丁寧に洗い流すことが基本。ただし、ゴシゴシと強くこするのは避け、指の腹で優しく洗う
- シャンプー・洗顔料はよく泡立ててから使い、すすぎ残しがないようにする
- 市販の抗真菌成分(ケトコナゾール・ミコナゾール・ピロクトンオラミンなど)配合シャンプーが症状の緩和に役立つ場合があります。ただし、効果・適合性には個人差があり、使用前に医師や薬剤師へご相談ください
【市販薬と医療用医薬品の違いについて】
医療機関で処方されるケトコナゾール製剤(クリーム・シャンプーなど)は医療用医薬品であり、市販では購入できません。市販の抗真菌シャンプーや薬とは成分濃度・規格が異なります。市販品で改善が乏しい場合は、医師の診察のうえで適切な処方薬を使用することをご検討ください。
食事・生活習慣の見直し
- ビタミンB2・B6を含む食品(肉・魚・卵・乳製品・緑黄色野菜・豆類など)を意識して摂るようにしましょう
- 脂質・糖質の過剰摂取やアルコールの多飲は悪化の誘因になりうるとされています。ただし、特定の食品を極端に制限するのではなく、全体的なバランスのよい食事を心がけることが基本です
- 睡眠時間の確保と、規則正しい生活リズムを整えることが皮膚の回復力を支えます
6. 治療法:抗真菌薬を中心とした保険診療
セルフケアで改善が乏しい場合や、症状が強い場合は皮膚科での治療が必要です。脂漏性皮膚炎の治療は保険診療(公的医療保険適用)の範囲で対応できます。
| 治療法 | 目的・特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 抗真菌薬の外用 (ケトコナゾールクリームなど) | マラセチアのはたらきを抑え、炎症の根本原因にアプローチする中心的な治療 | 効果・副作用には個人差があります |
| ステロイド外用薬 | 赤み・かゆみが強いときに短期間使用し、炎症を速やかに抑える | 医師の指示のもと適切に使用することが大切。自己判断での長期連用・急な中断は避けてください |
| 抗アレルギー薬の内服 | かゆみが強い場合に併用することがある | 眠気などの副作用が出る場合があります |
| ビタミンB2・B6製剤の内服 | 皮脂の代謝をサポートする目的で用いることがある | 単独では効果が限定的な場合があります |
ステロイド外用薬については「副作用が怖い」というイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、医師の指示のもとで必要なときに短期間・適切に使用すれば有用な薬剤です。自己判断での長期連用や急な使用中断は避け、必ず医師の指示に従ってください。
7. 花ふさ皮ふ科グループでの診療について
花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブル資格を持つ理事長 花房崇明(医学博士)の監修のもと、脂漏性皮膚炎に対して抗真菌薬外用を中心とした保険診療に対応しています。繰り返しやすい疾患だからこそ、症状が出ない状態を目指した継続的なサポートを大切にしています。
グループ3院はいずれも北大阪エリアに位置し、千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面・茨木・池田など幅広いエリアからご来院いただいています。
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田):千里中央駅から徒歩約5分、駐車場9台完備
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(吹田市江の木町):江坂駅から徒歩約1分
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府箕面市西宿):箕面萱野駅直結
市販薬やセルフケアで改善が乏しい場合、または症状が強い・広範囲に及ぶ場合は、お早めにご相談ください。予約システムによる受診で待ち時間の短縮にも対応しています。
脂漏性皮膚炎の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医の監修のもと、抗真菌薬の外用を中心とした保険診療に対応。頭皮・顔のくり返す症状もご相談ください。通いやすい院をお選びいただけます。
くり返す赤み・かゆみ・フケは花ふさ皮ふ科グループへ
脂漏性皮膚炎は、原因に合った治療とスキンケアでコントロールしやすくなります。市販薬で良くならない・くり返すときは、自己判断せず皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
8. こんな症状はすぐ受診を
以下に当てはまる場合は、セルフケアだけで対処しようとせず、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
- 市販薬・シャンプーを2〜4週間使用しても改善がみられない
- かゆみや赤みが強く、日常生活や睡眠に支障がある
- 患部が広がっている・皮膚がジュクジュクしている
- 頭皮以外(顔・胸・背中など)にも症状が出ている
- 乳児(赤ちゃん)の症状が長引いている、または悪化している
9. まとめ
まとめ|原因を知って、症状をコントロールしよう
脂漏性皮膚炎は、常在真菌マラセチアが皮脂を分解する過程で生じる脂肪酸が皮膚への刺激となり、炎症を引き起こす疾患です。繰り返しやすい性質がありますが、原因と悪化因子を正しく理解し、適切な治療とセルフケアを継続することで症状をコントロールできる場合が多いとされています。
- 主な原因:マラセチアによる皮脂の分解産物(遊離脂肪酸)が炎症を招く
- 悪化因子:洗い不足・ストレス・睡眠不足・ビタミンB不足・不規則な生活・刺激の強いスキンケア
- うつらない:マラセチアは常在菌であり、人への感染はありません
- 治療の中心:抗真菌薬の外用(保険診療)+必要に応じてステロイド・内服薬
- 受診の目安:市販薬で改善しない、症状が強い・広範囲、日常生活に支障がある場合
最終的な診断・治療方針は医師の診察によって決まります。気になる症状がある方は、千里中央・豊中・吹田エリアの千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科へお気軽にご相談ください。
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脂漏性皮膚炎は、原因に合った治療とスキンケアでコントロールしやすくなります。市販薬で良くならない・くり返すときは、自己判断せず皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
FAQ(よくある質問)
Q1:脂漏性皮膚炎の原因は何ですか?
A.
皮膚の常在真菌「マラセチア」が皮脂を分解する際に生じる遊離脂肪酸が皮膚への刺激となり、炎症を引き起こすと考えられています。皮脂の分泌量・加齢・体質のほか、ストレス・睡眠不足・洗い不足・ビタミンB不足なども症状の悪化に関わります。
Q2:ストレスが脂漏性皮膚炎を悪化させるのは本当ですか?
A.
ストレスは自律神経やホルモンバランスに影響し、皮脂分泌の増加や免疫機能の低下を招く可能性があるとされています。「仕事が忙しい時期に症状が出やすい」という方は、睡眠の確保や生活リズムの安定を意識することが症状のコントロールに役立つ場合があります。ただし、効果には個人差があります。
Q3:脂漏性皮膚炎は人にうつりますか?
A.
脂漏性皮膚炎は人から人へうつる病気ではありません。原因となるマラセチアは健康な人の皮膚にも存在する常在菌であり、接触によって感染するものではないため、日常生活で過度に心配する必要はありません。
Q4:市販のシャンプーや薬で治りますか?受診は必要ですか?
A.
ケトコナゾール・ミコナゾール・ピロクトンオラミンなどの抗真菌成分を含む市販シャンプーや外用薬が症状の緩和に役立つ場合があります。ただし、医療機関で処方されるケトコナゾール製剤は医療用医薬品であり、市販品とは異なります。市販品を2〜4週間使用しても改善がみられない場合、または症状が強い・広範囲に及ぶ場合は、皮膚科への受診をお勧めします。最終的な診断・治療方針は医師の診察によって決まります。
Q5:ステロイド外用薬は使っても大丈夫ですか?
A.
医師の指示のもとで必要なときに短期間・適切に使用すれば、赤みやかゆみを速やかに抑える有用な薬剤です。自己判断での長期連用や急な使用中断は避け、必ず医師の指示に従ってください。副作用や使用上の不安がある場合は、遠慮なく担当医にご相談ください。
Q6:食事で気をつけることはありますか?
A.
特定の食品を極端に制限する必要はなく、バランスのよい食事が基本です。ビタミンB2・B6(肉・魚・卵・乳製品・緑黄色野菜・豆類などに含まれる)は皮脂の代謝に関わるとされており、意識して摂ることが勧められます。脂質・糖質の過剰摂取やアルコールの多飲は悪化の誘因になりうるとされていますが、過度な食事制限はかえって栄養バランスを崩す可能性があります。
Q7:千里中央・豊中・吹田エリアで脂漏性皮膚炎を診てもらえる皮膚科はありますか?
A.
千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田・千里中央駅から徒歩約5分)では、皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブル資格を持つ医師の監修のもと、脂漏性皮膚炎の保険診療に対応しています。豊中・吹田エリアからも多くの方がご来院されています。お気軽にご予約・ご相談ください。なお、診断・治療方針は医師の診察によって決定します。













