脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とは、皮脂の分泌が多い部位に赤み・かゆみ・フケ(鱗屑)・皮むけが生じる、くり返しやすい湿疹です。顔では小鼻の脇・眉間・眉毛・おでこの生え際などに起こりやすく、「洗っても治らない」「市販薬で一時的に改善してもすぐ再発する」とお悩みの方が多い疾患です。
本記事では、顔に出る脂漏性皮膚炎の原因・症状・治し方・スキンケアのポイントを、皮膚科専門医・アレルギー専門医の資格を持つ花房崇明理事長(医学博士)の監修のもと、わかりやすく解説します。
目次
脂漏性皮膚炎とは?顔に出やすい理由
脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が発達した「皮脂分泌の多い部位」に集中して炎症が起こる湿疹です。頭皮だけでなく、顔もとくに皮脂腺が密集しているため好発しやすい部位です。成人では30〜70歳の男性に多くみられますが、女性にも起こります。
原因として有力視されているのが、皮膚の常在真菌(カビの一種)であるマラセチアの関与です。マラセチアは誰の肌にも存在する菌ですが、皮脂を栄養として増殖し、その過程で生じる脂肪酸が皮膚を刺激して炎症を引き起こすと考えられています。
脂漏性皮膚炎は人にうつる病気ではありません。マラセチアは誰の皮膚にも常在する菌であり、感染症ではないため、家族や他の人への感染を心配する必要はありません。
顔の好発部位と症状の特徴
顔の脂漏性皮膚炎は、皮脂腺が多い部位に集中して現れます。各部位の症状の特徴を確認しましょう。
| 好発部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 小鼻の脇・鼻周囲 | 赤み、皮むけ、べたつき、かゆみ |
| 眉間・眉毛の上 | フケ状の皮むけ、赤み、かさぶた |
| おでこ・生え際 | 赤み、鱗屑(りんせつ:細かい皮むけ)、かゆみ |
| 頬・あご周り | 赤み、皮むけ(比較的軽度なことが多い) |
| 耳の中・耳の後ろ | かゆみ、フケ、湿り気 |
症状は一度改善しても繰り返しやすいのが特徴です。「季節の変わり目に悪化する」「ストレスがかかると再発する」という方が多くいらっしゃいます。
似た病気との見分け方(酒さ・ニキビ・乾燥)
顔の赤みや皮むけは脂漏性皮膚炎以外の疾患でも起こります。自己判断でケアを続けると症状が長引く場合があるため、以下の違いを参考にしてください。ただし、最終的な診断は医師の診察が必要です。
| 疾患 | 主な特徴 | 脂漏性皮膚炎との違い |
|---|---|---|
| 脂漏性皮膚炎 | 皮脂が多い部位の赤み・皮むけ・フケ | — |
| 酒さ(しゅさ) | 頬・鼻の赤み・毛細血管拡張、熱感 | 皮むけ・フケは少なく、熱感・ほてりが目立つ |
| ニキビ(尋常性痤瘡) | 毛穴に一致した丘疹・膿疱 | 毛穴単位の炎症。フケ状の皮むけは少ない |
| 乾燥性皮膚炎 | 全体的な乾燥・小じわ・つっぱり感 | 皮脂分泌は少ない。部位の偏りが少ない |
| 接触性皮膚炎 | 化粧品・外用薬などの刺激・アレルギー | 原因物質に接触した部位に限局しやすい |
脂漏性皮膚炎と酒さは合併することもあり、皮膚科専門医でも慎重に診断する疾患です。「鼻の脇の赤みが長引いている」「市販薬を試しても改善しない」という場合は、自己判断を続けずに皮膚科を受診することをお勧めします。
原因と悪化させる要因
脂漏性皮膚炎の発症にはマラセチアの関与に加え、皮脂量・加齢変化・体質が複合的に関わっています。以下のような生活習慣が症状を悪化させる誘因になりうるとされています。
- 洗顔・入浴不足:皮脂の洗い残しがマラセチアの栄養源になる
- ストレス・睡眠不足:皮脂分泌が乱れ、免疫バランスに影響することがある
- ビタミンB2・B6の不足:皮脂代謝に関わるビタミンの不足が誘因になりうる
- 不規則な食生活:脂っこい食事・糖分の多い食事・アルコールの過剰摂取は悪化の誘因になりうるとされている(ただし極端な食事制限は不要。バランスのよい食事が基本)
- 刺激の強いスキンケア:アルコール高配合の化粧水や摩擦は皮膚バリアを傷める
【やってはいけないNG行動】
- 「皮脂を落とそう」と洗顔を1日に何度もくり返す(過度な洗顔は皮膚バリアを壊し逆効果)
- かゆいからといって患部を強くこする・掻く
- 市販のステロイド外用薬を自己判断で長期間使い続ける
- スキンケアを一切やめて放置する(適切な保湿は必要)
顔の脂漏性皮膚炎の治し方
顔の脂漏性皮膚炎の治療は、マラセチアへの対処と炎症のコントロールが両輪となります。いずれも医師の診察・処方のもとで行うことが重要です。
① 抗真菌薬の外用(治療の中心)
マラセチアの増殖を抑える抗真菌薬(ケトコナゾールなど)の外用薬が治療の中心です。医療機関で処方される薬剤(例:ケトコナゾール配合クリーム)は、市販の抗真菌成分配合スキンケアとは異なる医療用医薬品です。効果・副作用には個人差があり、医師の指示どおりに使用することが大切です。
② ステロイド外用薬(短期・適切使用)
赤みやかゆみが強い時期には、ステロイド外用薬を短期間だけ組み合わせることがあります。ステロイドは正しく使えば有用な薬ですが、自己判断での長期連用や急な中断はしないようにしてください。顔への使用は特に医師の指示に従うことが重要です。
③ 抗アレルギー薬・ビタミンB製剤の内服
かゆみが強い場合には抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服を併用することがあります。また、皮脂の代謝をサポートする目的でビタミンB2・B6製剤が処方されることもあります。
④ 市販薬・シャンプーについて
市販品では、ケトコナゾール・ミコナゾール・ピロクトンオラミンなどの抗真菌成分を配合したシャンプーが、頭皮の脂漏性皮膚炎に有効な場合があるとされています。顔への使用は製品の用法・用途を必ず確認してください。市販薬で改善しない場合や、顔の症状が続く場合は、自己判断を続けずに皮膚科を受診することをお勧めします。
「ニゾラール」について:ケトコナゾール配合の医療用医薬品「ニゾラール」は、市販では購入できません。医療機関で医師が処方する薬剤であり、市販の抗真菌シャンプー・薬とは別物です。インターネット等での個人輸入は安全性・品質が保証されないため、医師への相談をお勧めします。
毎日のスキンケア・生活習慣のポイント
治療と並行して、日常のセルフケアが症状のコントロールに大切です。
- 洗顔:泡立てた低刺激の洗顔料で優しく洗い、ぬるめのお湯でしっかりすすぐ。ゴシゴシこすらない
- 保湿:洗顔後は刺激の少ない保湿剤で肌を整える。乾燥は皮脂の過剰分泌を招くことがある
- スキンケア選び:アルコール・香料・刺激成分が少ない製品を選ぶ
- 食事:ビタミンB群(B2・B6)を含む食品(緑黄色野菜・豆類・魚など)を意識したバランスのよい食事を心がける。脂っこい食事・糖分の多い食事・アルコールの過剰摂取は悪化の誘因になりうるとされているが、極端な食事制限は必要ない
- 生活リズム:十分な睡眠・ストレスのコントロールを意識する
こんな症状はすぐ受診を
以下に当てはまる場合は、早めに皮膚科・アレルギー科を受診してください。
- 市販薬・セルフケアを2〜4週間続けても改善しない
- 赤みやかゆみが強く、日常生活に支障がある
- 皮むけ・かさぶたの範囲が広がっている
- 「脂漏性皮膚炎かどうか」自分では判断できない
- ステロイド外用薬を長期間使い続けている
花ふさ皮ふ科グループでの診療について
花ふさ皮ふ科グループでは、皮膚科専門医・アレルギー専門医のダブル資格を持つ花房崇明理事長(医学博士・大阪大学大学院)の監修のもと、脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)に対して保険診療で対応しています。抗真菌薬外用を中心に、症状に応じてステロイド外用・抗アレルギー薬内服・ビタミンB製剤内服などを組み合わせ、個々の状態に合わせた治療方針をご提案します。
「鼻の脇の赤みが長引いている」「おでこや眉間の皮むけが繰り返す」「市販薬では改善しない」などのお悩みは、ぜひ一度ご相談ください。
グループ各院のご案内
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府豊中市上新田)— 千里中央・豊中・吹田エリア。千里中央駅から徒歩約5分、駐車場9台完備。皮膚科・アレルギー科・形成外科・美容皮膚科。
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府吹田市江の木町)— 江坂駅から徒歩約1分(北大阪急行/御堂筋線)。
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(大阪府箕面市西宿)— 箕面萱野駅直結。箕面・茨木・池田エリア。
※脂漏性皮膚炎の治療は公的医療保険適用(保険診療)で受けていただけます。
脂漏性皮膚炎の診療は、花ふさ皮ふ科グループ3院で受けられます
- 千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(千里中央・豊中・吹田)
- 江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(江坂駅から徒歩約1分・吹田)
- みのお花ふさ皮ふ科・美容皮膚科(箕面萱野駅直結・箕面・茨木・池田)
いずれも理事長・皮膚科専門医/アレルギー専門医の監修のもと、抗真菌薬の外用を中心とした保険診療に対応。頭皮・顔のくり返す症状もご相談ください。通いやすい院をお選びいただけます。
くり返す赤み・かゆみ・フケは花ふさ皮ふ科グループへ
脂漏性皮膚炎は、原因に合った治療とスキンケアでコントロールしやすくなります。市販薬で良くならない・くり返すときは、自己判断せず皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
まとめ
まとめ|顔の脂漏性皮膚炎は皮膚科専門医へご相談を
顔の脂漏性皮膚炎は、マラセチアと皮脂が関与するくり返しやすい湿疹です。正しい治療とスキンケアで症状をコントロールすることが期待できますが、自己流のケアでは悪化・長期化しやすい疾患でもあります。
- 好発部位:小鼻の脇・眉間・眉毛・おでこの生え際など皮脂が多い部位
- 治療の中心:抗真菌薬(ケトコナゾールなど)の外用。症状に応じてステロイド短期使用・内服薬を組み合わせる
- セルフケア:刺激の少ない洗顔・保湿・バランスのよい食事・規則正しい生活
- 受診の目安:市販薬で改善しない・症状が繰り返す・自己判断に不安がある場合は皮膚科へ
最終的な診断・治療方針は医師の診察によって決定されます。千里中央・豊中・吹田・江坂・箕面エリアでお悩みの方は、花ふさ皮ふ科グループへお気軽にご相談ください。
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脂漏性皮膚炎は、原因に合った治療とスキンケアでコントロールしやすくなります。市販薬で良くならない・くり返すときは、自己判断せず皮膚科専門医にご相談ください。通いやすい院の保険診療WEB予約からどうぞ。
FAQ(よくある質問)
Q1:脂漏性皮膚炎は顔だけに出るのですか?
A.
顔だけでなく、頭皮・耳の中や後ろ・胸・背中など皮脂腺が多い部位にも出ることがあります。顔と頭皮の両方に症状が出る方も少なくありません。複数の部位に症状がある場合も、皮膚科でまとめてご相談いただけます。
Q2:脂漏性皮膚炎は人にうつりますか?
A.
脂漏性皮膚炎は人にうつる病気ではありません。原因に関与するマラセチアは誰の皮膚にも存在する常在菌であり、感染症ではないため、家族や周囲の方への感染を心配する必要はありません。
Q3:市販の抗真菌シャンプーで顔も洗ってよいですか?
A.
市販の抗真菌成分(ケトコナゾール・ミコナゾール・ピロクトンオラミンなど)配合シャンプーは、主に頭皮用として販売されているものが多く、顔への使用は製品の用法・用途の確認が必要です。顔の脂漏性皮膚炎には、医師が処方する外用薬(ケトコナゾールクリームなど)が有効な場合があります。自己判断での使用に不安がある場合は皮膚科にご相談ください。
Q4:ステロイド外用薬は顔に使っても大丈夫ですか?
A.
ステロイド外用薬は、医師の指示のもと適切な強さのものを短期間使用することで、赤みやかゆみのコントロールに役立ちます。顔への使用は特に慎重な判断が必要なため、自己判断での長期連用や急な中断は避けてください。効果・副作用には個人差があります。必ず医師の指示に従って使用してください。
Q5:治りますか?一生付き合う病気ですか?
A.
脂漏性皮膚炎はくり返しやすい疾患ですが、適切な治療とスキンケアを続けることで「症状が出ない状態を維持する(コントロールする)」ことが多くの方で期待できます。治療の効果や経過には個人差があります。症状が落ち着いた後も、生活習慣やスキンケアを継続することが大切です。
Q6:おでこや鼻の脇の赤みがニキビなのか脂漏性皮膚炎なのか分かりません。
A.
ニキビ(尋常性痤瘡)は毛穴に一致した丘疹・膿疱が特徴で、脂漏性皮膚炎のようなフケ状の皮むけは少ないことが多いです。ただし、見た目だけでは区別が難しい場合もあり、酒さなど他の疾患が混在していることもあります。自己判断でのケアが症状を悪化させることもあるため、皮膚科専門医による診察を受けることをお勧めします。
Q7:食事で気をつけることはありますか?
A.
特定の食品を完全に避ける必要はありませんが、脂っこい食事・糖分の多い食事・アルコールの過剰摂取は症状悪化の誘因になりうるとされています。ビタミンB2・B6を含む食品(緑黄色野菜・豆類・魚など)を意識したバランスのよい食事を基本とすることをお勧めします。極端な食事制限は必要ありません。













